転載おわり

某所からの転載はだいたい終わりました。強烈なものが多いですが、供給が非常に少ないタイプのものばかりなので、肌に合えば楽しんでいただけるかと思います。今より文章が下手なものもあるでしょうが、昔書いたやつが大半なので、勘弁して下さい。

今はロリ小説の販売ばかりしていますが、いずれまた、エログロものも書いてみたいですね。
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テーマ : SM・拷問・調教・凌辱 
ジャンル : アダルト

正邪ちゃんのドキドキ初体験(正邪/グロ)

正邪は幻想郷のはきだめのような妖怪であった。様々な悪事をするので煙たがられているが、
そこまで大きな害があるわけでもないので、放置されているチンケな小悪党である。子鬼らしいちっちゃな角は、
鬼の中でもことに小さく、そんな正邪の性質をよくよく表していた。

今日の正邪は両手にヤツメウナギの串を持ちながら、人気のない森の小道を歩き続けていた。小さな口がヤツメウナギの肉をちぎる。
やはり、焼きたての食べ物は美味しい。その上、ただで貰ったものとなっては、美味しくないはずがない。二重の意味で美味しい。
もっとも、貰ったというよりは力の差を利用してカツアゲしたと言った方が事実を正確に表しているのだが、
あまりに日常的に横暴を働いているので、正邪にはもう奪うと貰うの区別が殆どつかなくなっていた。

鼻歌を歌う。濁りきった心とは裏腹に、その歌声は澄んだ小川のせせらぎに似ていた。音感はあんがいあるのだ。

正邪は森を行く。何をするというあてもない、正邪には何の義務もない、ただ好き勝手に生きているだけの存在だからである。
そのような生活、どこぞのお嬢様ならともかく、食い扶持を得られない以上、普通は長く続けられるわけがないのであるが、
正邪は奪うことになんのためらいも感じない子鬼である。自分より弱い妖怪から巧妙に金銭や物品をまきあげて、
巫女のような強制力が働かないように慎重にラインの上を踊りながら、幻想郷というシステムに寄生している。
そうして手に入れたのがこの自由気ままな生活である。はぐれもの、外れもの、やくざ者、
正邪という少女にはそのような表現がふさわしい。正邪は気楽で、幸福だった。

鼻歌のキーがあがる。今日の正邪は珍しく機嫌が良かった。上手いこと食料を巻き上げられたからだろうか。
ミスティアの悔しそうな顔はいつ見ても傑作だ――あるいはただの気まぐれで、本当に偶然、機嫌を損ねていないだけなのだろうか。

分かれ道に差し掛かる。そこで正邪はふと思いついたように、ポケットの中から財布を取り出した。
もちろん、愚鈍そうな人間からすりとったものである。

人里で遊ぶのもいいかもしれない。聞く所によれば、近頃幻想郷にも映画館というものが出来たそうだ。正邪は刺激に飢えていた。
分かれ道を右にすすむと鼻歌はさらに陽気になる。空の上には真っ白な太陽がきらきらと輝き、森の葉に遮られて、
やわらかい木漏れ日を道の真中にまばらに落とすのである。時刻はまだ正午、人間たちはせわしなく働いている時間である。
そんな時間に金で人を使ってやることが、正邪のようなあまのじゃくの心にはうるおいになる。

「大ちゃーん!? 大ちゃんどこ? かくれんぼはもうやめようよぉ、つまんないよー! 全然みつけられないんだもん! もー!!」

そして、正邪の浮かれた心に水を差すように、豊かな森の情景を汚すように、やかましいガキの声が鼓膜に響いてくるのである。
正邪は一瞬で不機嫌そうな顔になり、声のした先を睨んだ。正邪の視力はすさまじい、木々の合間のさらに先、かすかに見える湖のほとりに、
氷色のはなたれ妖精が頬をふくらませて闊歩するのが見えていた。

「こんな静かな場所で騒ぎやがって」

舌打ちをする。最近は妖精の失踪が多発していて、外出を控えるものも多かったのだが、どこにでも例外はいるものである。

「ねえ、大ちゃん! こんどはおにごっこがいいなー! ねえ、どこ、だいちゃーん!?」

正邪は進行方向を人里から湖に変える。正邪はあまりに自由なので、自分の喜びを邪魔する輩は、自分より弱い奴である限り、
絶対に許せないのである。正邪は道を外れ、下草と根っこを踏みつけながら一直線に妖精に近づいていった。

「おい、お前、そこの妖精」

あからさまに不機嫌そうな声で目の前の妖精を呼び止める。水晶のような羽がぴくりと揺れた、騒音の正体は氷の妖精チルノであった。

「なに、あたいになんかようか?」
「そうだよ。ちょっとこっち来い」

森をようやく抜けて、あまりにも大きな霧の湖を見る。太陽がさんさんと降り注いでいる。
霧の向こうにはうっすらと、人の鮮血のように明るい洋館が蜃気楼のように揺らめいていた。
チルノは首をかしげながらちょこちょこと歩いてくる。猫のようなくりくりとしたつり目で、正邪の顔を見る。
いかにも何も考えてなさそうな、ぼけっとした表情。正邪には、可愛く思えなかった。むしろ憎たらしかった。
どうせその小さい指で、いつも鼻くそでもほじってるんだろう。汚い、うるさい。憎たらしい。
憎たらしかったので、正邪は何の挨拶も警告もないまま、その小さな鉄拳で、一切の手心なく、チルノの顔を打ち抜いた。

水の袋を叩いたようなバンという音がして、チルノの頬が腫れ上がる。

チルノの小さく華奢な体は地面に叩きつけられ、ごろごろと転がっていった。膝がすりむけ、鼻から血が流れる。
いきなり殴られるのだからたまったものではない。びいびいと幼児そのもののように泣きわめき始めるまで、そう時間はかからなかった。



霧の湖のほとり、いつも子供のような妖精が集まって、きゃいきゃいと騒ぎながら、裸足で芝生を踏みしめて走り回っている場所だ。
いつまでも小さく幼い妖精たちにとっては、ただ開けた場所というだけでも絶好の遊び場であった。今、そこには三つの子供の姿がある。
大妖精、チルノ、そして黒髪に小さな角、いっけんおとなしいちんちくりんにしか見えない、鬼人正邪という子鬼の三人がいた。

「チルノちゃんを放してあげて下さい!」

そのうちの一人、大妖精は目の前で友達の胸ぐらをつかんで意地悪そうな子鬼に、地面に頭がつかんばかりの角度で頭を下げていた。
しどろもどろになりながら、思いつくままに謝罪の言葉を並べる。

「チルノちゃんが失礼なことをしたのなら謝ります。ごめんなさい! その子、他の妖精より少し足りなくて、ですから、きっと悪気はなくて」
「はぁ、何言ってんのかな、お前。失礼なんかあったら、即座に殺してるよ」

震える大妖精の姿にいくばくかの快楽を覚えながら、にやついた顔でその後頭部を見下す。

「足りなくて、バカで、ヘラヘラ笑ってる声がむかついたの。だから殴ってるの。何をしたとか、悪気があるかなんて全然関係ないの」
「そんなッ……、それじゃあ、チルノちゃんは……何も悪いことしてないのに何度も殴られたんですか……?」
「私を不快にさせた、十分悪いことだよ。それとも何? お前、鬼の私が間違ってるとでも言うつもりなのかな?」

チルノは胸ぐらをつかまれ、身動きがとれない。腫れ上がった頬、鼻から血を流し、ひゅうひゅうと荒い息を繰り返してる。
足をだらりと下げている。体は恐怖で固まって、塩辛い涙だけが、目元から止めどなく流れ、地面に雨粒のような染みを作っている。
そんなボロボロの姿を見る。しかし臆病ながら正義感の強い大妖精とはいえ、それ以上強く出ることは出来なかった。
ただ頭を下げ、気まぐれの許しを期待するほかにどうしようもなかった。

強気を助け、弱きをくじく、鬼人正邪のくつくつ笑いが聞こえる。さらりと流れるような黒髪がひらひらと風でゆらめいていた。

正邪の頭にある二本の角、それは紛れも無く鬼の証であった。鬼は、幻想郷最強種族の一角。平均値を取れば、あらゆる種族を圧倒している。
種族全体が地底に引っ込んでいるため、地上で表立って力を奮うことはまれだが、その力はすさまじく、人間にも劣る妖精という立場では、
弾幕ごっこのような遊びでない限り、もとより抵抗することさえ難しい、それが幻想郷の現実であった。

大妖精はチルノより少しだけ知的であったため、そのような力関係をわきまえている。
機嫌を損ねれば殺されるかもしれない。妖精は死んでも一回休みになるだけとはいえ、痛みも恐怖も鮮烈で、喪失感は本物である。
大妖精は自分の顔が青ざめていくのを感じながら、ただ友達の無事のために、頭を下げ続ける。

「お願いします。馬鹿な子なんです。良く良く言って聞かせますから、どうかお許し下さい……、お願いします……!」

腰の骨を折らんばかりに頭を下げる。絶望的な空気の中、チルノのすすり泣く声が聴こえる。
そもそも出かけるべきではなかった。最近は妖精が消える事件があり物騒なので、チルノと一緒に家で遊ぶつもりだったのだが、
チルノがどうしてもどうしてもとだだをこねるので、外でかくれんぼをしていたのである。

「ぐず、もう゛いいよ、だいちゃん……、ひっぐ、もう逃げてよぉ……」

チルノちゃんは何も悪いことしてないのに!

何も出来ない自分が悔しくて、大妖精は泣きわめきたくなった。子供のように泣いて、誰かに助けを求めたかった。
しかし自分まで折れてはチルノを助け出すことが出来なくなってしまうので、自分を殺して、何度も何度も頭を下げる。

「ねえ」

低く威圧するような声で正邪が言う。

「は、はひ」
「この子を助けたいなら、誠意を見せてよ。そうだなぁ……裸で土下座するとかさ」

正邪の心臓はドキドキと高鳴っていた。苦痛と恥辱に歪む大妖精の顔を想像するだけで、期待で胸が一杯になった。
チルノのような馬鹿は殴って泣かせるに限るが、大人しそうな娘には精神攻撃が一番。カメラでもあれば、写真をとってばらまいてやれるのだが。

「はっ、裸……!?」
「そうだよ、裸にして、滅茶苦茶に踏んでやる」

わずかに動揺を見せる大妖精、視線を泳がせ、傷ついたチルノを見る。チルノの顔には痣が浮かび、血液で汚れている。

「早くやれよ、殺すよ?」

これ以上、チルノを酷い目にあわせる訳にはいかない。大妖精は顔をくしゃくしゃに歪ませると洋服のボタンに手をかけた。
正邪はまた、愉快そうにくつくつと笑った。ああ、楽しい、楽しい。不機嫌に染まった正邪の心も、ようやく落ち着いてきたところだ。
人里とか映画館とかもういいや。これが楽しい。正邪の関心はすでに楽しさをいかに収奪するかに移り変わっていた。

しかし、そこで新たな風が吹き込んでくる。ピーマン色の髪の毛をした脇丸出しの巫女が、東の空から弾丸のように飛来したのである。
巫女は正邪と大妖精の間を通り、飛行機のようにランディング、ぱたぱたと芝生を歩いてようやく止まる。その風圧、大妖精は小さく悲鳴を上げた。
芝生ががさがさと騒ぐ。スカートがめくり上がりそうになるほどはためいてしまう。そして新緑の色が印象的な後ろ姿が、大妖精の視界に捉えられる。

「早苗さんっ!」
「はい、呼ばれて飛び出て東風谷早苗です」

ダブルピースをしながら振り返る早苗、肩からかけられたみかん箱大のクーラーボックスは何なのだろう、買い物帰りか何かだろうか。

「いや、大妖精さんお久しぶりです。血の臭いがしたので飛んできました」

正邪は突然乱入した新顔に怪訝な顔をする。さらりと長い緑色の長髪、ぱっちりとした瞳、
根拠の無い自信にあふれるその雰囲気、優等生か何かのようで、見るだけで胃がムカムカする。
博麗の巫女と対になるようなあの服装、あの女もどこかの神社の巫女に違いない。
この間の異変、正邪一世一代の大騒動は、幻想郷を滅茶苦茶にする前に巫女に鎮圧されてしまった。それからというもの、
正邪は巫女のような異変解決を生業とする輩は内心苦手、はっきりいえば大嫌い、超気に入らないのであった。

早苗は湖のほとりにいた三人を見る。ボロボロになったチルノ、涙目の大妖精、動揺を見せる正邪。早苗は顎に手を添え考える。

「早苗さん! チルノちゃんが、何も悪い事してないのにこの鬼に捕まって……、殴られて、何度も……、酷いよ……ぐす」

安心感から涙腺が緩む。

「むむ、弱いものいじめと聞いては、この早苗、黙っていられませんね!」

正邪の表情が険しくなる。気付かれないように小さく、不快感から舌打ちをする。

「知り合いかよ……面倒だな」

せっかく弱いものいじめを楽しんでいたのに、どんだ邪魔が入った。これからボコボコにして泣かせて、洋服も燃やして、
悲しみと恐怖でひきつる顔が見たかったのに、良い子ちゃんに邪魔されたんじゃ最悪だ。それに、あの巫女、半分神だ。しかも強い。
全身から信仰による力がみなぎっている、ある種の超人だ。得意な弾幕ごっこならともかく、暴力ではおそらく勝ち目はない。
鬼は鬼であるが、下の下、ずる賢いことだけがとりえ、正邪は鬼の中でも随一の小物である。萃香や勇儀とは悪い意味で次元が違った。
正邪は相手の強弱を見極める持ち前の嗅覚で、目の前の少女を見事に状況を分析していた。その分析は、実際、九割方正しいものであった。

「へ、へへ、お、お姉さん。あのさ、違うんだよ。これには深い事情があって……」
「あなたは黙ってて! あなたに言い訳なんてする資格なんて無いのよっ!! この屑妖怪!」
「ぐっ……お前!」

猫なで声で下手に出る正邪を、大妖精の大声が牽制した。立場が逆転した途端に豹変しやがって。正邪は奥歯を強く強く噛んだ。
早苗はといえば、左手にお祓い棒、右手は暇をしているのか、長髪の先っちょをくるくると弄んでいた。

「そうですねぇ、大妖精さんの言い分は分かりましたので、そこの子鬼さんの話も聞きたいですね、そういうことでいいですよね、大妖精さん?」

てくてくと歩み寄りながら大妖精に尋ねる早苗、しかし大妖精はそれどころではないと思った。
早苗の乱入でチルノは正邪の手を離れ解放されてはいたが、いまだ正邪の足元から逃れられてはいない。
何度も殴られ痛めつけられて、体力を失っているのか、意識が朦朧としているのか、とにかく逃げることも出来ないほど弱っているのである。
チルノの体がピクピクと動く、呼吸の度に小さい背中が上下する。しかし、起き上がることはできないようで、
弱々しい虫のような声で、苦痛のうめき声をあげているのである。

「いっ、今はそんな場合じゃないんです! 早くチルノちゃんを手当してあげないといけないんです!」
「はぁ、そうですか? まだ息があるように見えますけど」

大妖精は笑顔の早苗と満身創痍のチルノを見比べる。息があるかという問題ではない、あんなに傷ついているチルノを放っておいていいわけがない。
すぐにでもどこかの医者に見せて治療してもらわないとまずい。

「息の問題じゃありません、チルノちゃんが怪我してるのに……!」
「妖精なんて仮に死んでも生き返るじゃないですか? 後回しですよ、そんなの。両者の言い分を聞かないと不公平ですし。
 殴られても仕方のないことをしたのかもしれないじゃないですか」
「そ、そんなっ! いくらなんでも酷すぎます!」

生き返るとはいえ、死ぬ事ほど恐ろしい体験はない。おかしい、痛がってるのに、いくらなんでもチルノが可哀想だ。
人間に向かって、どうせ完治するから全治一年の複雑骨折をしてもかまわないと言い放つぐらい、ひどい暴言である。
早苗に迫る大妖精。大妖精の背丈は早苗の胸程度までしかない。服にすがり、上目で見上げ、必死に訴える。
早苗の顔色が変わる。大妖精を、早苗はメッセ顔で見下した。

「はあぁぁーーーー……もう、いいです」

あからさまに不快そうなため息をつく早苗、大妖精の困惑は更に深くなり、怯えの影がさし始める。

「あのですね、私、貴女の意見なんで一度も求めてないんですよ」
「え、あ、ぁ……? さ、早苗さん?」

早苗の右手が突然握りこぶしになる。大妖精の頬を容赦なく殴る。手加減のない、全力の打撃であった。
大妖精は口と鼻から血を流しながらふらりと芝生の上に倒れ、わずかに転がる。脳がグラグラして、世界がぐるんぐるんと回る。
どくどくと血を流す高い鼻を両手で押さえ、痛みにうずくまる。口の中もも少しだけ切ってしまった。

「あ゛ぁぅ……、うぅ、ぅ……!?」
「黙っていて下さいね」

早苗は正邪に向き直る。正邪はぽかんと口を開け、一切、何の反応も出来ずにいた。絶句していたのだ。
正邪の分析は9割方正しかった、一点、早苗の本性を除いて。早苗の真面目さ、実直さ、丁寧な言葉づかいは全て虚飾である。
糊付けされた仮面のようにへばりついた人格、しかし、一度必要が無くなればこの通り、一瞬で豹変する。
早苗は生粋のサディストであり、あらゆる命に平等に価値を見出さないサイコパスであった。

東風谷早苗16歳、生まれながらの現人神であり、神職であり、進学校の生徒であり、きらめくような美人であり、
そして、やりたいことをやりたい通りに押し通す一直線の半人間、趣味は人殺しである。え、本当? 嘘でしょう、あの早苗さんが?
早苗はクーラーボックスの蓋を開けて、毛むくじゃらのボールのようなものを取り出す。それはわかさぎ姫の生首であった。
美味しそうなわかさぎが住み着いたと魔理沙が冗談めかして言ったので、いっそ本当に食べてしまおうと今朝、朝一で殺しに行ったのである。
生首と可食部位だけが綺麗に詰め込まれたクーラーボックス、これから数日間、飽きるほどに天ぷらを楽しめるだろう。

血液と涙と鼻水で汚れたわかさぎ姫の生首を、正邪に投げてよこす。
うっすらと開いている瞼からは、突然殺された恨みと無念が凝縮されていた。

「きゃっ……!」

避けた。わかさぎ姫の生首はごろごろと転がって、ぼちゃんと大きな音を立てて霧の湖に落ち、沈んでいった。
正邪の全身から冷や汗が吹き出して、小さな乳歯がかちかちと音を鳴らす。
良心を失った正邪であったが、社会と決定的に敵対する恐怖から、自己保身から、殺しだけは手を出さなかったのだ。
その殺しをなんの躊躇もなく、娯楽のようにやってのける人間がいた。その刃物のように冷酷な視線が正邪に突き刺さる。

機嫌を損ねれば、あの生首のように殺されるのではないか、そんなリアリティのある恐怖が正邪をたじろがせていた。

「弱い者いじめって、楽しいですよね……お名前は?」
「せ、せいじゃ……きじん、せいじゃ」
「ああ、あの正邪さんですか。霊夢さんから話は聞いていますよ。いい名前ですね、ワルって感じで……でも、これじゃ名前負けですよね」

長髪をさらりとかきあげる。早苗はさきほどの清楚さとは完全に異なったにたりとした笑みを浮かべ、くすくすと笑う。
そして巫女服の胸元、豊満な乳房の合間から、青白く光る血まみれの小刀をしっとりと抜く。まだ温かい。
その温度は早苗の乳房の体温でもあったが、同時に、わかさぎ姫の血液の熱の名残でもあった。

「見てられませんでしたよ。まどろっこしいんですよ、貴女のやり方。もっと過激にやりましょうよ」
「う、うん……」

内心ビクビクと震えながら、努めて心の中を隠して、正邪はうなずく。冷たい、しかし満ち足りた早苗の表情。
恐ろしくて、とてもではないが逆らう気にはなれなかった。早苗は足元にいる大妖精のサイドテールを掴み、体全体を引き上げる。
毛根に体重がかかる苦痛から、大妖精は悲痛な声を漏らす。そして恐怖よりも悲しみよりももっと深い絶望の表情で、早苗の笑顔を見るのである。

「何で、弱い物いじめは見過ごせないって……」
「そりゃあ見過ごせませんよ、一緒にいじめたほうが楽しいですからね」

大妖精の顔が引きつる。神社で会った早苗は笑顔で妖精をもてなし、お菓子まで出してくれる、優しいお姉さんだった。
その記憶が大妖精を安堵させ、助かるのではないかという希望の原因になったのである。
それなのに、目の前の早苗は快楽殺人者だった――先ほど転がっていった人魚の女の子の首は、どう見ても本物にしか見えなかった。
人の心はわからない。どのような人間であるかという認識は、アウトプットされた仕草、容姿、発言や行動からの類推でしかない。
一種の想像、ある種の信仰なのである。早苗という人間は、その生まれもあって、無垢な者の信仰心を操ることに非常に長けていた。

「あっ……!」

刃が首にあてがわれた。

「暴れたら殺しますから」

大妖精の体が震えている。恐怖で感情が昂って、涙がぼろぼろとこぼれてきた。

「正邪さん、私も一緒に遊んでもいいですよね?」
「う、うん、勿論だよ」
「わぁ、ありがとうございます! 私ね、一緒にこういう遊びができる友達が、ずっと欲しかったんです」

早苗の声はあくまで優しかったが、そこには有無をいわさない冷酷さが滲み出ていた。絶対に逆らってはいけないタイプの人間だった。
とぼとぼと歩く正邪、その顔に大妖精の視線が刺さる。

「助けて……!」

先ほどまで危害を加えていた正邪にまで助けを求めるほど、大妖精の生存本能は警鐘を打ち鳴らしていた。
しかし、正邪も早苗には逆らえない。正邪は人の言うことに素直に従うような子鬼ではなかったが、命の危険があるなら別である。
いくらでも湧いてくる妖精の命より、自分の命のほうが大切、生き物として当たり前の行動である。

「じゃあまず、服を脱がせましょうか。ですよね、正邪さん?」
「うん……」

手にとったナイフで上半身の服を切り裂いてゆく。血に濡れたナイフのぬるりとした血液が、大妖精の背中に染みこみ、恐怖を倍増させる。
空気を察しさ正邪も、スカートに手をかけ、引きずり下ろしてゆく。ほっそりとした二本の生足が、柔らかく露出するのであった。
穴だらけになった衣服、小さな臍と、ほんのわずかに膨らんだなだらかな胸の丘、ほとんど肌色に近いピンクの乳首など、美しさにはこと欠かない。
その裸体はまさに妖精、地上の汚濁や老化の醜さもまだ知らない、少女として完成された肉体であった。

「下着も下ろしますね」
「ゃ……っ!」

小さく抵抗の声を上げるが、行動に表すことは出来なかった。まだ蒙古斑が消えきっていないかわいいお尻、真っ白いお餅のようなそれ。
そして、下腹部の下で可愛らしいくぼみを作っている大妖精の膣は、具が全く見えないほどに純粋で、性を知らなかった。
早苗はそこに遠慮無く手を伸ばす。大妖精は早苗の巫女服のそでを掴むが、抵抗にはならなかった。中指がくぼみに沈む。
まだ成熟していない、敏感な部分を触られた痛みで、大妖精は苦しそうな声を上げた。当然、一本の陰毛もない。

「正邪さん、私のケータイで写メ撮ってくれませんか? 記念に残しとくんで」

強いものには弱い正邪は、まるで召使いのように無抵抗で頭を下げで、早苗のケータイを受け取る。
屈服する自分が嫌で、正邪は奥歯を噛む。人の命令に従うことほど正邪が嫌うことはなかったが、背に腹は変えられなかった。
早苗のケータイははたてのようなガラケーではなく、今を時めくアップルのスマホであるが、通信キャリアが河童なので、しょっちゅう圏外になる。
とはいえ、写真を撮影するだけなら問題にならない。早苗は大妖精の首に小刀を突きつけて笑顔でピースサインを作る。
正邪は使い慣れない外の世界の道具に戸惑いながらも、早苗と二言三言のやりとりをして、すぐに操作を心得た。

「ほら、大妖精さんも笑って」

小刀が頸動脈スレスレの位置にある。皮膚の薄皮を切り裂きかねないほど、手元が狂えば大量に出血する。
泣き笑いの表情でカメラに媚びる大妖精、裸の写真を撮られるという恥辱、喪失感。大妖精の荒い息遣いが静かな湖のほどりに響いている。

「はい、チーズ!」

カシャリ。

「上手く撮れてますか?」
「えっと……うん、大丈夫だよ。ちゃんと撮れてる」

スマホを返す正邪、早苗は自分でもその写真を見て、満足そうににっこりと笑った。
そしてポケットにスマホを仕舞うと、大妖精が逃げないように羽交い締めにする。そして手元にある小刀を正邪に手渡した。

「それじゃあ正邪さん、よろしくお願いします」
「えっ?」

わかさぎ姫の血を吸い、先程まで大妖精の首につきつけられていた小刀。その刀身から発せられる光は、
わかさぎ姫の血でうっすらと赤く染まっている。正邪がその柄を握ると、ビリビリとした電流のようなものが
正邪の両手に走り、手を引っ込めて取り落としてしまった。

「ちょっと、気をつけて下さいよ、神社に伝わる宝剣なんですから、壊したら怒られます」
「う、うん、ごめん。何か電気みたいなのが来て、ビックリしたんだよ。わざとじゃないんだ……」
「ふーん……? ああ、そっか、当然ですね、退魔の宝剣ですから、正邪さんみたいな邪悪な妖怪が持つと反発するんですね。
 でも多分大丈夫です。正邪さん程度の妖怪なら、そこまでダメージはないでしょう」

正邪は自分よりも目の前の巫女のほうが邪悪に思えたが、口には出さなかった。宝剣とやらもいい加減なものである。

芝生に落ちた小刀を恐る恐る拾う。また電流のようなものが来て手のひらが痺れたが、今度は意識を集中していたので、
再び取り落としてしまうことはなかった。小刀の先が震えている。痺れのためではない。取り返しがつかないことをする恐怖がそこにはあった。
正邪は良心の欠片もない妖怪だが、大きな悪行に耐えられるほどの器はなかった。

「この宝剣はですね、刺した相手の肉体だけでなく、同時に魂まで切り裂くものなんですよ。私の代になるまで長らく廃れていましたが、
 守矢の血に連なる巫女は、代々、あらゆる妖怪や霊の類を滅ぼしてきました。仮に霊体が相手であろうと、不可逆に消滅させることができる。
 その宝剣は、守矢の巫女が大切に受け継いできた、退魔の基本装備なんです。で、この剣で妖精を殺すとですね」

早苗はにっこりと笑った。大妖精は恐怖で膝が笑い、ぽろぽろと泣いている。

「死にます。そして魂まで壊れるので、もう二度と復活できません」

大妖精の体がひとりでに震えはじめる。早苗は嬉しそうに、ぺらぺらと宝剣の素晴らしさについて語り続けた。

「妖精が復活しないって、本当に……?」
「ええ、何度か実験しましたけど、生き返った妖精は居ませんでしたね。サニーちゃん、ルナちゃん、スターちゃん、リリーちゃん……
 どの子もとっても可愛い悲鳴をあげて死んでくれましたよ。ふふ、くくくく……」

指を折りながら手折った花の数を数えてゆく。しかし、手には十本しか指がないので、残念ながら数えきれない。
妖精だけで数えきれないほどの人数を殺していると分かったので、早苗は考えるのをやめた。
大妖精の顔は真っ青に青ざめた。自分も殺されるんだ。今にも気絶しそうな綱渡りの中、なんとか平衡を保っている。
妖精が失踪する事件はかねてから噂になってはいた。妖精は死なない種族だと盲信している妖精たちは、すぐに帰ってくると信じて疑わなかったが、
それは間違いだったのだ。早苗の挙げた妖精たちは、ここ一ヶ月で行方不明になった子たちばかり、決して偶然ではない。

早苗の言葉は真実なのだ。早苗は本当に何人もの妖精を殺して、罪の意識もなく、こんなに楽しそうな顔をしている。
しかし、大妖精の心は矮小な恐怖心で満たされていたので、知り合いや友達を殺された義憤が現れる余地はなかった。

「さ、説明はこれぐらいにして、殺しちゃいましょうか。ね、大妖精さん?」
「いッ……!? や、嫌です、お願いします、ごめんなさい、死にたくない、いや、いや……!」
「こ、殺すの? 本当に殺しちゃうの?」

正邪が震える声で聞き返す。

「当たり前ですよ。あなたのやり方は生ぬるいんです。裸で土下座させるより、殺したほうが絶対楽しいですよ。
 殺しておけば露見する心配もありません。それに、そんなんじゃいつまでたっても可愛い子鬼ですよ」
「……でも、そこまでしなくても。可哀想だし……」

早苗は呆れて声を張り上げた。

「はぁ、何ですか、今更この子の身を案じるんですか? 正邪さんはそんな子じゃないですよね、小人を騙して異変も起こさせたんですよね?
 さっきまで妖精をいじめて楽しんでましたよね? 殺すのが怖いから、そんな言葉が出てくるんでしょう?」
「なっ……」

正邪の顔が赤くなる。

「怖くなんか無い! いままでだって、人間を殺して、食ってきたんだ!」
「人間は殺せるのに、妖精は殺せないんですか?」
「そ、それは」
「嘘ですよね。殺したことなんてありませんよね? そんなにビビってるんですから、私にだって分かりますよ。
 他人を陥れて楽しむ貴女が、殺しをできないでどうするんですか? くくく、あれ、どうしたんですか、泣かなくてもいいじゃないですか」

早苗はとっくに、正邪が小物の子鬼であることを見抜いていた。殺しをためらう時点で、それなりの存在であると推察できるし、
そもそも名のある鬼のような気圧される感覚がなく、巫女の直感も、正邪を並みの妖怪だと告げていた。

「泣いてなんか……!」
「お目目がうるうるしてますけど」
「……!! うるさい、うるさい!」

力の差がなければ、こんな奴、すぐにぶっ飛ばしてやるのに。

「本当は殺しもできない自分が嫌いなんじゃないですか? いじめたり盗んだりするぐらいなら、取り返しがつきますもんね。
 上手くやれば退治もされないんでしょう。賢いやり方です。でも、それって弱い妖怪の発想ですよ。正邪さん、一緒に大妖精さんを殺しましょう?
 ね? 大丈夫ですよ、苦しむのは貴女じゃない、大妖精さんなんですから」

そんな小物の正邪だからこそ、殺しをさせれば楽しめるのではないか、早苗のサディスティックな本能が主張していた。
生娘の初めてが血で汚される瞬間は、見ているだけで気持ちが良い。しかし、早苗の動機はそれだけではなかった。

「それにね、さっきも言いましたけど、私、友達が欲しいんです。うすっぺらな仮面ごしに付き合うんじゃなくて、一緒に殺しを楽しめるような、
 そんなお友達です。でも、こんな時代ですから、おおっぴらに殺し好きを公言するわけにいきませんでした」
「……」
「でも、正邪さん。貴女みたいな子なら、きっと仲良くやれると思うんです。ね、正邪さんも殺して、こっち側の住民になりましょう?」

たまたま見かけた正邪の姿、その歪み、徹底した悪童ぶりは、二つの顔を使い分ける早苗には魅力的に思えた。
そんな純粋な気持ちを、はにかみながらぽつぽつと告白するのである。

「ただの食わず嫌いなんですよ、ね?」

追い詰めてから優しい言葉をかける。作為か偶然か、正邪の心は揺さぶられていた。

両手で宝剣の柄を握る。ビリビリとした刺激が手のひらから肘のあたりにまで滞留している。柄を握っているだけでも
ほんの少しだけ魂が削られていくのが分かる。刺された時の痛み、想像するだけで恐ろしかった。
はあはあと荒く息をする。正邪は人も妖怪も殺したことがない、いじめて泣かせたりするのを面白がってただけのちんけな妖怪である。
命を奪うこと。それも、妖精の少女を二度と再生できないように破壊すること、そこには体験したことのない恐怖があった。
何か、拭えない罪を犯してしまうような、戻れない一線を踏み越えてしまうような感覚。目の前の大妖精はすすり泣いている。

そして、早苗は顔を冷たく書き換え、正邪の背中を押した。

「殺せないなら貴女から殺すだけです」
「……ッ!!」

全身が寒気に襲われた。躊躇いなんてつまらないものは捨ててしまえ、こんな妖精のために自分が死ぬなんて、まっぴら御免だ。

「分かったよ」
「……!? いや、嫌、嫌っ、嫌ああっ!?」

宝剣の切っ先が大妖精の腹に突きつけられる。大妖精は迫り来る事実を否定するかのように、いやいやと首を振って逃避を試みる。
早苗から羽交い絞めにされて、目の前に迫るのは刃、何人もの人妖を殺してきたその刀身に全身から鳥肌が立つ。

「やめろよ……、だいちゃんを放せ……」
「あら、居たんですか、チルノさん。ほら、貴女のお友達が殺されちゃいますよ? くく、くふふふ……」

チルノはボロボロの体に鞭打って、早苗の足元まで這い寄っていた。足首を掴むが、すでに力はなく、早苗が一蹴りするだけで足首が解放される。
それでもしがみついてくる。まるでそれが意味のある抵抗であるかのように、何度も足首にしがみついてくる。
早苗はまるでクリスマス前夜の小学生のように愉快な気分で、タップダンスを踊るようにチルノの両手を蹴飛ばした。

「いぎッ!? はあ、はあ、やめろぉ、やめろよぉ……! だいちゃんはお前なんかに殺されちゃいけないんだ……!」
「はぁ? くく、何ですか、それ。妖精なんて殺したいときに殺していいんですよ。ボウフラみたいに湧くんですから、
 少しぐらい間引いたほうが世の中のためです」

そうだ、妖精は虫みたいなもの、殺しても良い存在なんだ。正邪は自己暗示をかけ、心を落ち着かせようとする。
大したことじゃない。何度も深呼吸して、深いまばたきを五回ほどする。そして両手に力を込めて、大妖精の臍の少し上を突いた。

「あがッ、ギィああああああああああッッ!!!!」

肉体の痛みだけではなかった。存在を規定する魂が削り取られる激痛が大妖精の体に、落雷のような衝撃をもって襲いかかってきたのである。
小さい体に見合った高く可愛らしい声で、しかしまるで獣のように、痛みからの絶叫を発し続ける。
犬歯をむき出しにして、野良犬が吠えるようにがあがあと、言葉にならない音を喉から絞り出す。

「だいちゃん……?」

聞いたこともない大妖精の絶叫、物静かな少女の姿とはかけ離れていた。チルノはかすれるような声でその名前を呼ぶ。
そして正邪が刀身を引き抜くと、ガッと血を吐いて、悲鳴はピタリと鳴り止んだ。正邪の手の中はべたべたした冷や汗で一杯だった。
大妖精は痙攣する。大妖精の腹の傷口からは、薄く脂肪が滲んだ血液が、だくだくと止めどなく流れているのである。

「ああ、良い、良いです。これこそ悲鳴、この世で最も美しく心に響く音……です! さあ、もっともっと奏でましょう!
 正邪さん、大妖精さんのお腹を滅茶苦茶にしてあげてください!」
「ひイッ! やめでっ、いだい、いだいのぉ、ぞれずっごぐいだいのおぉ!!!」

錯乱気味に許しを請う大妖精、しかし興奮した早苗が止めさせない限り、正邪が殺人を止めることはない。
正邪も命がかかっているのである。ここで殺せなければ、自分が殺されるだけだ。正邪はまた腹に宝剣を突き立てる。

「あギャあ゛あ゛ああああああああぁぁぁぁぁッッ!!!?? い、ぎいいぃあ゛ア゛、あ、あ、ああ゛あああああああぁぁあ!!!!
 痛い、いだいいだいいだい!!!! やめでぐだざい! やめで、や、あああ、あ、あ、あ、あ゛ァァ……ッッ!?」

どす。ぐちゅ。どす。ぐちゅ。どす。ぐちゅ。どす。ぐちゅ――

刺される度に絶叫する大妖精。七度刺されて7つの穴が開くと、ほっそりした可愛らしいお腹は、血まみれの大河に変わっていた。
ビクビクと痙攣する。両目はぐるんと上を向き、ほとんど白目になっている。血の涙を両目から流している。
そして呼吸するたびに傷口はわずかに開き、大妖精の顔は苦痛で歪んでいくのである。

「もしもーし? 大妖精さん、起きてますかー?」

ぺちぺちと手のひらで頬を叩くが、反応はなかった。ただ震える大妖精のびくつきが伝わってくるだけである。

「起きないともっと酷いことしちゃいますよー? もしもーし?」

気絶しているのか、意識はあるが反応する体力がないのか、いずれにせよやはり返事はない。
早苗は7つのうちで一際大きな穴に着目すると、片手をその中に挿入し、皮を掴んで思いきり横に引っ張った。

「いぎあ゛ッッ!?」

最悪の激痛を経験した今となっては、腹を割かれる程度の痛み、痺れの中に埋もれてしまう。数ある痛みのうちの一つにすぎない。
ただ反射として悲鳴が上がる。そして細いお腹いっぱいに詰まったソーセージの皮が、こぼれるように溢れ出てくる。

「大妖精さんのはらわた引きずり出しますよー! ほら、正邪さんも手伝って」
「……うぇ」

早苗は嬉々として、正邪は嫌そうな顔をして、細長い十二指腸は引きずり出す。
何度も腹を刺されたことで、ダメージは内蔵にも達していた。腸はところどころに穴が開いており、大便の素になるような
生消化の食べ物が傷口からこぼれおちているような場所さえある。他の臓器も似たような惨状、穴だらけ傷だらけである。
早苗はそんなぐちゃぐちゃのお腹に手を入れて、泥遊びをする子供のように内蔵をかき混ぜる。早苗は躁に陥っていた。

「ほらほら、大妖精さんのお腹の中身がミックスジュースになっちゃいますよー!」

そして早苗は奥の方にある生暖かい器官を鷲掴みにし、そしてぶちりと引きちぎった。
赤い肉々しい、赤黒いその物体、肉の塊から二本だけ細長い器官が伸びている。それは大妖精の子宮だった。

「ほら、子宮ですよ? 見えますか、大妖精さんの赤ちゃんのお部屋ですよ! ふふ、大妖精さんの子宮、他の子のより少しだけ大きいんですね。
 やっぱり妖精にも育ってる子と育ってない子がいるんですね。数百年したら、皆さんも大人の妖精さんになったんでしょうか? ねえ、正邪さん?
 子宮ですよ、どうです? とっても可愛いと思いませんか?」
「あ、う、うん、うっ、うえ……げ」

卵管の片方を指でつまみ正邪に見せびらかす早苗、そこで耐え切れなくなり、正邪は生暖かい吐瀉物をげろげろと吐き出す。
地面にくずれ、胃の中の物を全て吐き出す。血の臭い、胃液の臭い、糞尿の臭い、それがないまぜになって正邪の喉を容赦なく刺激したのだ。

「あらら、お気に召しませんでしたか。こんなに可愛いのに、ねぇ、大妖精さん?」

大妖精の眼の焦点はもはや合っていなかった。意識も朦朧としている。ただ、気を失っては死んでしまうから、
それだけが恐ろしいから、全ての力を振り絞って意識をつなぎとめているだけ、そんな風前の灯の命である。

「だいちゃん……、やだよ……、お別れなんてやだよ……」

チルノは耳を塞いで、目を瞑って、ただ念仏のように似た言葉を繰り返し、嵐が過ぎ去るのを待っている。
恐怖のあまり、チルノはなかば錯乱していた。三者三様の絶望、苦しみ、早苗は少女たちが奏でるその協奏曲を、
全身、五感を使って浴び続けるのであった。

早苗の手は腹の中を登り、大妖精の心臓を掴む。まだ、とくんとくんと、弱々しい鼓動を繰り返していた。
大妖精は心臓を触られてももはやかすかなうめき声しかあげることができず、両手両足にも最早力が入っていない。
早苗が心臓から手を離し、ゆっくりと腹の中から手を抜くと、大妖精の体は力なく地面に崩れ落ちたのである。

「あー、楽しかった。それじゃあ、死んでもらいましょうか。大妖精さん、もしもーし? 抵抗しないと死んじゃいますよー?」

大妖精からの反応はなかった。あまりにも多くの血を流してしまったその小さいからだ、統一された意思はなく、本能も壊れていた。
正邪を見る早苗、正邪はすでに嘔吐を終え、虚ろな瞳で目の前の惨劇を見守っていた。最後の一撃のため、小刀を片手にふらりと立ち上がる。
もう戻れない。殺さなければ殺されてしまう。正邪は大妖精の小さな胸を直視する。
宝剣をふりかぶった。一撃で殺すつもりだった。チルノが泣きじゃくりながら嗚咽を漏らす。

「やだ、やだぁ……」

チルノのか細い懇願が聞こえたが、正邪は意識してその声をシャットアウトした。
宝剣の青白い刀身に太陽の光が交じる。大上段からの一撃は燃え盛る流星のようだった。そして大妖精の両胸の合間に突き刺した。
悲鳴はなかった。もはや声帯が潰れており、意識も失われていたからだ。体がビクリと跳ね、傷口から血液が止めどなく溢れる。
終わった。ただ静かに、大妖精という存在の体と魂が破壊された。大妖精という人格が、この世とあの世の両方から永久に消滅した。

それは現世と彼岸が曖昧な幻想郷という世界において最も理不尽な死、存在自体の抹消である。

「……」

殺ってしまった。

正邪は、こうして初体験を終えた。風のような花のようなあの少女を、消してしまった。正邪は血まみれの手のひらを見る。
言葉はなかった。正邪の目の前の世界には、血色じみた色が広がり、全ての現象の意味が書き換えられてゆく。

「わぁ、凄い」

早苗はうきうきした声色で大妖精の死体に近づき、その死に顔を見る。死体にはもはや何の感情もなかった。
温かかった、熱を失いつつある少女の心臓から宝剣を引き抜くと、傷口が鯨の潮のように血液を吐いた。顔に血糊がかかる。
早苗の服、手足、頭の上から足の指先まで血液で彩られる。迷彩服のようにまだらだった。

「あはは、もう着替える服もってきてないんですけどねー」

普通の人間にとって不快でしかない血の臭いが、早苗には愛おしかった。大妖精の胸元から血を掬い、ごくごくと喉を鳴らして飲む。
抱きしめられているかのような血液の温かさ、温水プールのような夢心地、早苗はうっとりとため息をつく。
そして宝剣を握りしめ、大妖精の小さな首を切断した。少女の未発達な細首を切り落とすのは、丸太を切断するより数段官能的である。
大妖精の生首を抱きしめ、早苗は恍惚の笑みを浮かべた。大妖精の頭は噴出する血液を滅茶苦茶にかぶっており、
見る影もないほどに真っ赤に染まっていたが、早苗の美的感覚はむしろそれを肯定していた。

「持って帰ろう。持って帰って、剥製にして保存しようかなぁ。ふふふ……」

外の世界の早苗は優等生で、少し変わった所もあるけれど、おしとやかで出来た娘さんだと近所でも評判であった。
しかし、それは虚飾、社会という幻想に溶け込むためのカモフラージュでしかなかった。部屋の片隅で自慰にふける時は、
たおやかな体の下級生や近所の幼女の首を絞めながら交配するイメージを頭に浮かべ、刺激いっぱいの虚構の中で絶頂するのが常であった。
早苗がなぜそのような方面に興味をもつようになったか、神職というイメージへの反発か、両親を亡くした事実の埋め合わせか、
本人にもそれは定かではなかったが、早苗自身は、そのようなことどうでもいいと思っていた。死という甘美に見を浸す喜びを知ることが出来た。
重要なのは過程ではなく結果なのだ。暴力を愛する自分という結果が素晴らしいのならば、あとはどうでもよい。

とはいえ、早苗が外の世界で妄想を現実にすることはなかった。過去の少年犯罪を振り返っても、一介の女子高生が
警察という国家権力の目を盗んで欲望を満たすことは難しいように思えたし、少年とはいえ連続殺人をすれば、神社の存続にもかかわる。
早苗の信仰心は本物であったので、二柱に迷惑をかけることは出来なかったのだ。
しかし幻想郷は違う、そこには秩序があったが、それは完全に利益と力のバランスにより構築されたものであり、外の法のような厳密性はない。
早苗のような権力者に連なる存在であれば、その秩序を乱さない限り、いくらでも例外を作る余地があった。

何の後ろ盾もない野良妖怪や妖精、外来人は、そのような例外の好例であった。

初めて殺したのは、何の後ろ盾もない哀れな傘の付喪神である。一流の妖怪に仕立て上げる秘法があると騙して、
廃屋につれこんで、熱い口付けをしながら柔らかな布で首を絞めて、包丁で柔らかな肉体の感触を味わいながら、
哀れなオッドアイの少女の全てを貪りつくしたのである。

そうして早苗は快楽殺人者になった。二柱にはすぐに露見したが、もとよりサディスティックな一面を垣間見せることがあったため、
とくに意外に思われることもなく、血と暴力の支配する古い時代の神なので、そのような嗜好にも寛容だった。
なにより、二柱は早苗を信用していたので、早苗ならやり過ぎることはないだろうと、楽観的に傍観していた。
おかげで早苗は幻想郷に満ちる様々な少女たちの剥製を保管しておくことが出来るようになった。

早苗は良い子だ。早苗は尊敬する二柱の期待に応え、殺しても問題のないような妖精や弱小妖怪、保護されていない外来人を殺して心を満たしていた。
酒は飲んでも飲まれるな、殺人も、社会が認める範囲で行わなければならない。

大妖精の首、血まみれのそれはあまりにも無垢で、剥製にしておけばインテリアとして映えそうな素材であった。

そして早苗の関心は、側に居た大妖精の友人に移る。一人だけじゃ刺激が足りない、何人も何人も殺して、初めて満ち足りた気分になれる。
わかさぎ姫、大妖精、チルノ。今日は三つも殺してしまう。たった24時間で三つの花を手折ることほど、贅沢な経験はない。
少女たちは今日という日を迎えるために何年も(妖怪や妖精なのでひょっとしたら何十年も)生きてきたのだ。
数十年間ものあいだ熟成されたシャトーワインのようなもの。それを三つも開けてしまったのだ。

「正邪さん、チルノさんは私が頂いでもいいですよね?」

正邪からの返事はなかった。初めての殺しについて、心の整理が付いていないのだろうか、ぼうっとして反応がない。
早苗はその沈黙を肯定を受け取って、チルノの小さな幼女顔を見下ろした。

「さて、おまたせしました、チルノさん……いや、大妖精さんみたいに、チルノちゃんって呼んであげましょうか」

チルノは仰向けのまま虚ろな目で早苗を見る。その視線が、早苗の視線と絡み、ほどけなくなる。
快感でらんらんと輝く早苗の顔が恐ろしくて、目を離すことができないのだ。死ぬ、チルノは毒薬を注射されたモルモットのような気分でだった。
そしてその恐怖の上に、友人を奪われた真っ赤な怒りが重ね塗られてゆく。

「チルノちゃん、悲しいですか、悔しいですか? ねぇ、あなたのお友達、正邪さんに殺されちゃいましたよ」
「うぞだ、うぞだぁ……! 大ちゃんは、大ちゃんは……!」
「嘘じゃありませんよ。大妖精さんはもう、二度と動かない、笑わない、喋らない。もう二度と生き返りません。残念でした」
「うそ、うそ、うそ……! 絶対生き返るもん……! 一回休みになるだけだもん……!」

チルノの視界に大妖精の死体が入ってしまった。血まみれの、変わり果てた姿だ。
聞き分けのない子供のように反抗するチルノに、早苗はため息をつく。

「馬鹿も休み休み言ってください。さっきの話、聞いてましたか? ねえ? 魂まで壊れて、もう二度と生き返れなくなるんですよ。
 説明したじゃないですか。チルノちゃんも聞いてましたよね? 死にました。大妖精さんはかんっぜんに死にました」
「う、うあ、やだ、やだ、やだあぁ……! 違うもん! ちがうもん……!」

チルノは目を見開いて、涙をいっぱいにためて、恐れに満ちた表情で、早苗の言葉を拒絶しようとする。
大妖精の絶叫が耳に染み付いていても、すぐ真横に死にたての死体があっても、あの宝剣の力が本物であったとしても、
目の前の現実から逃げれば悲しい思いをせずに済む。しかしそれは虚しい抵抗であった。

「お友達と突然お別れなんて悲しいですよね。でもね、これが現実なんですよ。なんなら試してみますか?」

早苗はにっこりと笑って宝剣をチルノにつきつける。馬乗りになって、チルノの八歳程度の小さな顔を、血まみれの手で撫でる。
むせかえるような血の臭い、大ちゃんの命のもと、チルノはいいしれない吐き気を覚える。

「いっぺんこの剣で死んでみます?」
「あ、あぁぁ……!」

チルノは情けなく失禁する。もはや恐怖で体のコントロールがきかない。分かっていた。早苗の言葉に偽りはない。
直感で理解していたが、認めたくなかった。そして今度は自分が、大ちゃんと同じ目にあることになるのだ。
絶対的な死、あまりにも恐ろしい。涙がまた溢れてくる。早苗の加虐心がどくどくと満たされてゆく。

「この剣で殺されても生き返るっていうなら、試してあげますよ。凄く痛いみたいですけど? 生き返るなんて絶対にありえませんけど?
 言っときますけど、大妖精さんと同じ場所になって行けませんからね。これで死んだら死後はありませんから、ただ消えるだけです」
「ぐず、や、や、や……! たすけ、だ、だれかぁ……!」
「それじゃ……ズタズタにして殺してあげますからね♪」

頭の上に振り上げた宝剣が一直線にチルノの肩を貫く。

「あがああああああああああぁぁぁぁっっ!!!!!!」

チルノは大妖精のように魂からの叫び声をあげる。

「もっと、もっとです! まずは、腕が千切れるまで刺してあげますからね!」
「やだあああああああ!!!! だいぢゃああああああん!!! だずげでええええええ!!!!」
「大妖精さんならもう居ませんよッ!」

ぴいぴい泣き始めるチルノ、八歳前後の幼児を彷彿とさせるその小ささ、大妖精が破壊されるのを見るのとは、また違う喜びがあった。
滅茶苦茶にする。滅茶苦茶にしてはいけないものを滅茶苦茶にする。宝剣の刃がチルノの小さな肩に刺さり、肉をえぐり、骨を破壊する。
刺されるたびにチルノは泣きじゃくり、助けを求めるが、興奮する早苗の欲情をさらに煽るだけに終わった。
そして十回ほど振り下ろすと骨と肉が完全に切断され、ぶちりと肉の音をたててチルノの右手の感覚が無くなった。
腕が取れた瞬間、泡を吹いて気絶するチルノ、その顔に早苗の鉄拳が放たれ、鼻から血を流しながら覚醒するのである。
そして早苗は切断されたばかりの片腕を拾い、ちゃんばらごっこのように振り回すのであった。

「あはは、チルノちゃん、もうお手手使えませんね!」
「ひぐ、あ、はあ、はあ、ぐず、やだ、やだよぉ、かえして、こんなのやだぁ……!」

そしてもう片方の腕も同じように切断する。出来の悪い人形の関節が外れてしまったかのよう。
両腕を失ったチルノの姿は、あまりにもアンバランスで、それゆえの倒錯した可愛らしさが、早苗の心を掴んだ。

「ほらほら、まだ寝るには早いですよ! そうですね……次はチルノちゃんのおまんこを処刑してあげます」
「ぇ……?」

ぽかんとした顔をする。出血で意識が朦朧としていることもあったが、早苗の言葉の意味がそもそもとれなかった。

「おまんこ、おまた。おしっこが出るところですよ。そこをね、この剣でぐちゃぐちゃにするんです。
 男の人のおちんちんも入ったことがないような穴を、ザクザクってね。サニーちゃんにもやってあげたんですけど、
 すごい悲鳴でしたよ。サニーちゃんには色々な拷問をしてあげたんですけど、指を1ミリづつスライスされるよりも痛いって言ってました」
「うぇ、は、はへ……?」
「どうしたんですか、ボケーっとして。貴女がこれからされちゃうことについて話してるんですよ?」

早苗は一度立ち上がり、今度は性器方面に向かうようにチルノに乗って、水色のスカートを躊躇なくめくりあげた。
細い枝のような骨が少しだけのお肉で彩られた、細い子供のふともも。真っ白い、股間部がわずかに黄ばんだ子供の下着。
早苗が下着の端を切ってはがすと、大妖精のそれよりさらに幼い、尿の臭い漂う子供まんこが早苗の目の前に姿を表した。

「きゃっ、可愛い」

血糊でぬめった人差し指でその膨れた膣肉を撫でる。プリンのように柔らかい。
早苗は内ふとももに頬ずりしながら、その一本筋に舌を這わせた。汗と尿の混じった濃い味がする。
そして早苗は、チルノの体がひどく震えているのを直に感じた。足はピクピクと震え、頬を通して愛おしいほど振動が伝わってくる。
早苗は宝剣の切っ先をチルノの何の装飾もない縦筋に、切断してしまわないようそっとあてがう。

「チルノちゃんの初めて頂きますね」
「あぅ……なに、いたいのやだ……」

チルノの意識はすでに朦朧として、気を抜けば今にも失神してしまいそうだった。早苗の尻が二重に見える。

「それ、入刀っ!」

そして血まみれになってなお鋭い刃物がチルノの膣に入り込んでゆき、処女膜と膣口を無残にも引き裂いた。
破瓜の血と傷口からの血液がちくわの穴のように狭い膣の中を、刀身とともに満たしてゆく。一番敏感な部分の痛覚神経が悲鳴を上げた。

「ああ゛あああああああ゛あああぁぁぁぁあ!!!??」

チルノの朦朧とした意識は突風のような激痛で現実に舞い戻った。そこには喜びも無ければ快感もない。
ただ性器が蹂躙される純粋な痛みがあるだけだ。ぐちゃぐちゃという音を立てながら、性交を模すように、宝剣が膣を出入りする。

「ほら、分かりますか? 今、剣が入ってますよね? 先っちょが少しだけ刺さってる部分が、子宮口です。この奥が赤ちゃんのお部屋ですよ」
「い゛いいいぎぃぃぃいいい!!!!! びいいぃ、ひいい、ひい、ひいい、ひいい!!!」
「もっと奥まで入れてあげますからね」

悲鳴のように息を繰り返すチルノにもはや理性はなかった。ただ痛覚の受容器官である。
早苗はさらに剣を押し込む。すると小さな子宮口は簡単に真っ二つになり、無菌室であったはずの子宮の中は、
雑菌と血液でいっぱいに満たされてしまった。早苗はさらに押し込む、刀身が全て飲み込まれるまで、ぐりぐりと肉を刳りながら押しこむ。
先ほどまで2つの肉の谷間でしかなかったチルノの膣が、太い物を飲み込んでいる。
膣口から滝のように血を流してさえ居なければ、これほど扇情的な光景も無かったように思える。

「あ゛あああぁぁーーーーー!!! あああああ゛ああぁぁーーーーー!!!! ひいい、ひいい、ひいい、い゛いいぃぃぃーーー!!」

チルノが早苗のスカートを握って滅茶苦茶に引っ張っている。電気椅子のスイッチを押された実験用チンパンジーの抵抗のようで、
早苗はつい笑ってしまった。早苗は肉の鞘と化したチルノの膣から宝剣を引き抜く。真っ赤な刀身、血まみれの膣。
いくら願おうとも、もう子供をなすことは出来ないだろう。もちろん、チルノはこれから死ぬので、杞憂といえば杞憂なのだが。

「他の部分もバラバラにしてあげますね。チルノちゃんはお馬鹿みたいですから、ついでに性教育もしてあげましょうか?」

早苗はチルノの小さなクリトリスを引っ張る。無理矢理引っ張って、その小豆の子供のように小さい肉豆を露出させる。
そして根本に刃をあてがって、一息に切除してしまった。

「ア゛ああああああああ゛ああぁぁーーー!!!!」
「今取っちゃったのがクリトリスです。ここを優しく撫でるととっても気持ちがいいんで、オナニーのときは重宝するんですけど、
 チルノちゃんにはないからもう関係ありませんね。そしてクリトリスの皮のそばから伸びてるのが小陰唇です」

まだ黒ずんでいない、薄い耳たぶのような小陰唇を、つまみ、引っ張り、切除する。もちろん、左右両方である。
刀身を前後させて丁寧に切り取ったが、わずかに切り残しが出来たので、膣の肉から、刃でえぐるようにそれを掘り出した。

「ひい、ひいい、いだ、いだい、痛い……!」
「痛いって言えるなら、まだ痛くない方の部位ですかね? ま、その小陰唇もなくなってしまったわけですけど?」

泣くように息をするチルノの声、喘ぎ声よりも淫靡で情欲をかきたてる。もっとこの音を聞きたいと思った早苗は、
尿道に刃の先を挿入し、一気に切り裂いた。チルノの体が一際大きく痙攣する。ビクビクビク。

「ここがおしっこの穴ですね……あれ?」

抉った尿道からは、血液に混じって尿がこぼれ、流れ続けていた。

「チルノちゃん、おもらしですか? おもらしばかりしてたら、きちんとした大人になれませんよ? ふふ……」

チルノの股間はすでに様変わりしていた。2つの肉の丘だけの純粋なすじしかなかったそこは、真っ赤な血の吹き出す滝に変貌していた。
2つの肉穴から鮮血がだくだくと流れ、チルノの意識を奪ってゆく。クリトリスも小陰唇も割礼されて、ぼろぼろになったそこは、
繁殖の用途としてはもちろん、快楽を得る器官としても使い物にならなくなっていた。生きて返したなら、尿をする度に激痛に苛まれ、
今日というトラウマをフラッシュバックしてしまう、可哀想な女の子になってしまうだろう。
それはそれで可愛らしい結末だと思ったが、もはやチルノの出血量は絶望的で、刺された回数も凄まじいので、
このまま消滅する以外の結末を願うのは、早苗の力を持ってしてももはや無理なのであった。放置しても死ぬ、いわゆる手遅れである。

ひゅうひゅうと荒い息が聞こえる。チルノの瞳は半開きで、もはやまともな思考力が残っているようにも思えなかった。

「そろそろ、お別れですかね……」

大妖精よりも幼い、しかしより鮮烈な悲鳴を聞かせてくれたチルノ。殴られた傷がおままごとであるかのごとく、
徹底的に痛めつけられた幼いからだ、大量の血液が、事切れた大妖精のものと混ざって、芝生を赤茶色に染め上げている。
早苗は体勢を変えて、再びチルノに向き合う形で馬乗りになった。

「チルノちゃん、おまんこ壊れちゃいましたね、どうですか? 生まれて初めての拷問の味は?」
「……」

チルノからの返事はなかった。チルノはもう半分死んでいた。

「言葉も出ないぐらい痛かったですか? そうですよね、私も女の子ですから分かりますよ。生理痛なんて問題にならない痛さでしょうね。
 私がされたらなんて想像もしたくありません。ショック死しなかったチルノちゃんはとっても偉い子ですよ?
 ルナちゃんやスターちゃんはおまんこの穴をズタズタにしただけで壊れちゃいましたからね、偉い偉い」

早苗は膣からの血液と大妖精の腹の血液で二重に真っ赤な手のひらで、虫の息のチルノの頬にそっと触れるのであった。
いつのまにか空は、先ほどの青天が嘘のように雲に満ちていて、ぽつりぽつりと細かい雨がここにいる全ての少女の体に
涙のような水のしずくを与えていた。

早苗は宝剣を振り下ろす。血液がビシュリと吹き出して、早苗の服を汚す。

「あはは、まだ血が残ってるんですね! いいですよ、チルノちゃんの中身を浴びるの、とっても気持ちいいです!」

そしてチルノの顔を殴る。胸や肩、腹を刺す。わざと急所を外して、この小さい氷の少女との交わりを楽しむ。
早苗の顔は興奮で真っ赤になっていた。自然と笑みがこぼれ、刀身も楽しく踊る。

「えへへ、死んでください。死んで、可愛い死に顔を見せてください、えへ、えへへへ……!」

馬乗りになって蹂躙する早苗はもはや鬼神のような存在に見えた。その体が、両手が踊る度、罪もない幼子の血液が雨のように降り注ぐ。
しかし、ある種のトランス状態にある早苗は、通常の注意力を失っていた。後ろからゆらりと迫る影にも気づかなかった。
早苗の誤算は――チルノに集中するあまり、周りが全く見えなくなっていたことにあった。

「お前も死ねッ!」

突然、早苗の後頭部が鈍器のようなものでかち割られた。視界が歪む。早苗の頭が出血し、瀕死のチルノ上に崩れ落ちる。

「がはっ……!?」

確かに早苗は人間を超えた超人であり、正邪に抵抗の余地は無かった。ただ、それには奇跡と信仰の力を十分に使うならという条件があった。
突然後頭部を殴られた早苗の防御力は人間のそれと大差ない。脳震盪を起こし、世界が揺れて、吐き気がする。
追い打ちの一撃が血にまみれた早苗の後頭部を再び襲う。早苗は河原で調理して味見したわかさぎの刺身が、胃液と混ざって酸っぱくなったものを、
滝のようにチルノの顔に吐き出す。早苗は口を抑えたが、指の間からどろどろと吐瀉物が漏れて止まらなかった。

状況を把握しようとするが、まともな意識を取り戻る前にまた一撃、脳天を割られる。

痛い、誰だ、分からない、怖い。早苗にとっては初めての感覚だった。ぼんやりした視界、宝剣を取り落とす。
平衡感覚が壊れている。それでも首と視線だけを背中の方向に流すと、そこには大妖精の生首の髪の毛を鷲掴みにした正邪がいた。

「はぁ、はぁ、……死ねッ!」

大妖精のサイドテールを握って、鉄球のように早苗の頭にぶつける。大妖精の生首は正邪が使用できる中で唯一武器として役立ちそうな物体だった。
頭部は体に占める体積の割合とは裏腹に非常に重い。そのため、上から下に振り下ろせば、ハンマーのような鈍器と同じような
ダメージを与えることが出来るのだ。大妖精の頭と早苗の頭、どちらから溢れたか分からない血液が草の上に折り重なってゆく。
早苗に隙を与えてはいけない。殺さなくてはいけない。もし反撃されたら正邪が殺される。
一度妖精を殺した正邪にはもはや一片のためらいもなく、ただ早苗の絶命を目指して打撃を繰り返した。

「死ね、死ね、死ね!」

正邪がこのような行動に出たのは、善意からでも、良心の呵責からでもない。ただ、生き残りたかったからだ。
早苗のようなサイコパスに目をつけられた以上、いつその矛先がやってくるか分からない。
仲間かどうかなんて関係ない。こいつはどんな生き物も殺す怪物だ。
友達なんて冗談じゃない。早苗と正邪の力関係では、正邪が一方的に利用されるに決まっている。

そして正邪は大妖精を殺してしまった。早苗のような力あるものなら、その程度の罪は無いも同然だが、
正邪のような野良鬼であれば、退治の口実になるかもしれない。そしてそれは、早苗がつけこむ弱みになる。
十数分のあいだ早苗に従うだけであんなに気分が悪くなったのだ。弱みを利用され、人間にいいように使われる未来は御免だった。

だから待った。大妖精の生首を片手に、チルノが痛めつけられている中、早苗に大きな隙が生まれるのを待った。
そして今に至る。正邪はすでに、早苗を前後不覚に追い込んでいた。脳震盪、あるいは脳内出血で、早苗の反撃能力は失われた。
正邪はボロボロになった大妖精の生首を投げ捨て、芝生に落ちた血まみれの宝剣を手に取る。

「やめ……! やめて、殺さないで……!」

体が動かない。だからせめて、声だけでも使って抵抗をする。命は一つ、絶対に失いたくない。
命の危機を感じる。早苗は何度も妖精や妖怪を殺してきた。退治という名目が伴うこともあったが、そうでない事のほうが多かった。
しかしいずれにせよ、早苗は自分より弱い存在を甚振ることに喜びを感じていたので、有効な反撃を受けることも、
ましてや命が奪われる危機に瀕するなど、初めてのことなのである。早苗の顔が恐怖で引きつり、
獅子に追い詰められた子鹿のような瞳で正邪を見上げる。

「いい顔じゃん、すっごくそそる」
「なんで……?」
「お前が教えてくれたんだ。ありがとう。殺しはとっても楽しいよ」

大妖精の心臓を貫いた瞬間、言い知れぬ喜びが正邪の体から溢れてきて、頭がぼうっとした。気持ちよすぎてしばらく何も出来なかった。
正邪は変わってしまった。ふっきれてしまったのだ。後戻りできないならば、前に進めば良い。それに、体験して分かったことだが、
一線の向こう側も、陥ってしまえばなかなか心地が良いのである。

早苗が震えている。両手からこぼれるような豊かな乳房も震えている。殺す側から殺される側に転落した絶望は、正邪の歪んだ心を満たした。

「ばいばい」

あまりにも鋭い赤の刀身が、早苗の首に飛び込んでくる。全てがスローモーションだ。払いのけようと手を伸ばす。
しかし早苗はもう、手の一本さえ自由に動かせる状態になかった。刃が迫る。死ぬ。どうして、私がこんな目に?

「嫌あ゛あ゛あああぁあああああぁぁぁーー!!!!!!」

早苗の首が飛ぶ。放物線を描いて綺麗に回転しながら、空中を舞って、地面と接吻をしながらサッカーボールのように転がり、
長い髪の毛が草と絡まって、引き止められるようにそこに停止した。

「へ……?」

吐瀉物と血液にまみれたひどい顔で、チルノが目を覚ます。もはや全身の感覚は失われ、痛みも苦痛もない。
薄れゆく意識の中、脳内麻薬が発狂しかねない激痛を相殺している。目の前には首をなくした早苗の豊満な死体があった。
温かい温泉のような早苗の血液が、チルノの首、胸と肩をさらさらと流れている。
どさりとチルノの上に崩れる。重い。けれど知能の低いチルノにも、自分を殺そうとしていた狂人が死んだ事実だけは理解できた。
ぼんやりとした視界の中で生きているのは、ふらふらと歩いてくる黒髪の少女だけである。

「あたい……、たすかったの……?」

しかし次の瞬間、チルノの首も飛んだ。飛距離は早苗の首に敵わなかったが、死の一秒前の希望に満ちた顔はなかなか愉快だった。

「くく、くくく」

正邪にはもう、殺傷へのためらいはなかった。大妖精、早苗と殺した。もう一人増えた所で、罪が重くなる心配はなかった。
どちらにせよ捕まれば死刑、死んだ後は地獄で100億年の懲役刑である。いずれ破滅するならもう関係ない。
これで、正邪に平穏はなくなった。弱い物に寄生して上手く世の中を渡っていくのが正邪のやり方だったのに、これではお尋ね者だ。
二匹の妖精ならまだしも、早苗は幻想郷に影響力を持つ力のある人間なのだろう。
そんな人間を殺して、社会に拒絶されないはずがない。それは正邪が恐れていた結末であったが、
早苗を生かして奴隷のように従い続けるよりは、よっぽど自由で妖怪らしい、マシな生き方のように思えた。

雨脚が強い。正邪という子鬼に、早苗という異分子が衝突して、偶然の作用によりここまでの惨劇が起きてしまった。
そして惨劇はまだ終わっていない。正邪という、早苗以上に悪辣な殺人鬼が生まれてしまったのだ。
むしろ、宴会はこれから始まる。

「……ふふ」

はらわたを陵辱された大妖精、両腕を失い性器を破壊された挙句に首を切られたチルノ、今もなお首の断面から血液を吹いている早苗。
楽しい。このような最後を恐れていた自分が、今ではあまりに矮小に思える。正邪は一人前の妖怪になったのだ。

この楽しさ、いつまでも続いて欲しい。正邪はまず、鬼としての力をつけることにした。

正邪は無言のまま早苗の首なし死体を裏返し、仰向けにして、巫女服の胸の部分を切り裂いた。
Fカップほどの豊かで真っ白な乳房が露出する。男性ならば血管が破裂しかねないほど勃起しても不思議ではない塊であったが、正邪はそれを無視し、
乳房の間を切り裂いて、肋骨を引っ張り、無理矢理に胸の中身を開いた。
そこにはまだ温かい、一分前まで鼓動していた早苗の新鮮な心臓が、宝物のように眠っている。

集落随一の戦士、あるいは敵集落の戦士が死んだ時、その肉を食らうという文化があった。
肉を食らうことによって、それに宿る戦士としての力を身につけようというのである。
正邪は力をつけなければならない。神の力を備えた早苗の心臓は、一片残らず食べつくす価値があるに違いなかった。
赤子を取り出す助産婦のように、赤い心臓を引きずり出した。火さえ通っていない血まみれのそれに、正邪はしゃぶりつく。
噛み付かれて穴の空いた早苗の心臓から、生暖かい血液がぐじゅぐじゅと、肉汁のように漏れだしてきた。

雨が強い。早苗の胸の中が雨水で満たされ、赤い洪水になる。しかし正邪はかまわず心臓に噛み付き、食いちぎり、むしゃむしゃと咀嚼した。
早苗の心臓はまるで一流シェフのストロベリーケーキのような味がして、正邪という少女の口元は、自然にほころぶのであった。

テーマ : SM・拷問・調教・凌辱 
ジャンル : アダルト

忘年会(うどんげ/いじめ)

ある朝、夢を見た。首吊り自殺をする夢である。小川の側の木にロープを引っ掛けて、そこで首をつる。
全身がビリビリと痺れる。首の周りが不自然に苦しくなる。まるで本当に首を吊っているかのような感覚であった。
そりゃあ苦しいし辛いけれど、だんだんと感覚がなくなって、麻酔をかけられるようにすっと意識を失うのである。苦しいのは一瞬なのだ。
それはうどんげにとって怖い夢には思えなかった。むしろ、自殺をしている時の心には不思議な高揚感があった。
ここではないどこかに旅立てるのだという救いが、そこにはあったからである。
世界はだんだんと白くなる。視覚を司る脳の部分がダメージを受けて戻らなくなっていく。そして真っ白になった意識は、一瞬で真っ黒になる。

うどんげは死んだ。そして、死んだと思ったその時、ぐにゃりと世界がゆがむ気がして、布団から飛び起きた。

「あれ、朝……」

おかしな夢を見た気がした。

うどんげにとって朝ほど憂鬱な時間はなかった。朝になれば辛い世界と直面しなければならないからだ。
それでも外に出なければ辛い現実が余計に辛くなるだけだ。寝ぼけ眼で着慣れたブレザーに着替え、廊下に歩み出た。
渡り廊下の先から、数年前まで格下扱いだったはずのてゐと一般兎たちが談笑しながら歩いてくる。

「あ、お、おはよう……」
「でさー」
「あははは」

うどんげはあいさつをするが、てゐと兎たちはまるで少女など居ないかのようにその脇を通り過ぎていった。
心の底が凍るような悲しい気持ちになって、談笑する一行の背中を寂しそうに見送っていた。

その日の夜。季節は冬、新年も近く、忘年会やらクリスマスやら行事が多く、幻想郷のような小さな社会もほんの少しだけ活気を溢れさせる時期である。

幻想郷の忘年会は永遠亭で行われていた。幻想郷の隅々から、弾幕ごっこつながりの友人、多くの少女たちが純和風の広間に招かれていた。
忘年会の会場は不文律ながら有力者の持ち回りと相場が決まっている。今年は永遠亭、主人が主人だから、もてなしも豪勢だ。
幻想郷内部ではなかなか手に入らない海の幸や、遠く南蛮からもたらされたスパイスが惜しげも無くふんだんに使われている。
爪に火を灯すような生活をしている下級妖怪たちは見たこともない料理に驚き、
その反応ぐあいを見る度に、主人の鼻は高々に高くなってゆくのである。

そして料理の豪勢さとは対照的に、食事の風景は気楽そのもの、酒瓶をあおる鬼たちや、大声で騒ぐ河童たち。
酒に溺れた人妖が二百人ほどワイワイと騒ぎあっている。ネクタイで鉢巻き、半裸になって笑う者もいる。
白い電球も煌々と輝き、星もきらびやかな幻想郷の暗い夜の中で、ここだけは場違いのように明るいままであった。

しかし、明るく騒ぐ宴会の中心とは裏腹に、部屋の隅には葬式のように暗い雰囲気が漂っていた。

うどんげだけは宴会場の隅で、幽霊のように真っ青な顔でうつむいていて、輪の中に加わる気配もなかった。
赤い瞳は充血でますます赤くなり、今にも泣き出しそうな表情である。口は一文字に閉じて、誰とも目を合わせないように畳を見ている。
耳がぴくぴくと揺れている。震えているのだ。うどんげを気にかける者は誰も居ない。彼女は宴会の席に加わることを許されてはいなかった。
顔にはバカだの淫乱兎だの、とても人前で晒せない酷い落書きが頬と額の大部分を陣取っていた。

妖怪の一部がうどんげを指さしてはひそひそと話し、愉快そうに笑い出す。

何が切っ掛けかは分からない。だが、最近のうどんげは以前にもまして悲惨な扱いを受けていた。いじめを受けていたのだ。
そもそも、月人にとって兎は下等生物でしかないのだが、世渡りの上手いてゐと違って、うどんげにその視線を潜り抜けるだけの力は無かった。
見下され、踏みつけられ、実験台にされ、そしてそんな永遠亭の雰囲気は徐々に幻想郷全体に広がっていき、始まったのが、うどんげへのいじめである。
誰がいじめたというのでもない。様々な人が、人外が、うどんげを殴り、嗤い、軽蔑して、あるいは見て見ぬふりをしてこの状況に加担していた。
うどんげに味方はいない。味方をすれば同類だと思われるからだ。
氷雨のような孤独が、うどんげの心に降り注いでいる。宴会の日も、うどんげの席は用意されない。
うどんげにはまともに触らないという空気感が、宴会の会場には漂っていた。

ただ、そんなうどんげにも一つだけ役割が与えられていた。

「うどんげ」

酒を浴びてわずかに赤らんだ顔の永琳が、意地悪い笑みを浮かべながら、隅のうどんげに声をかける。そろそろ、会場の空気が温まる頃合いであった。
うどんげはビクリと肩を跳ねさせ、暗い表情のままゆっくりと立ち上がる。深呼吸を二度して、意を決するとスカートと下着を脱ぎ捨ててしまった。

「はい、みんな見て! ウチの兎が宴会芸しまーす!」

どっと笑いが起きて、酔っ払った妖怪たちがわあわあと騒ぎ始める。目をまん丸くする者もいれば、下衆な笑みを浮かべる者もいる。
そのような公衆の場で、うどんげは下半身を丸裸にさせられた。ワイシャツとネクタイだけで、座敷の中心にいるのだ。
陰毛は割れ目を覆い隠すように柔らかに生え揃っている。そして二つの足はわずかに肉づき、女性らしい丸い曲線を帯びていた。
尻は満月のようにまんまるく、しっかりつまめるほどに尻肉が育っていた。
しかし奇妙なのは、その肌に青いアザが浮かび、丸い火傷のような跡や、切り傷のようなものが散見されることである。
そして肌と傷の上にはブスだの死ねだの便器だの、考えられる限りの罵詈雑言が、そうそう消えることのない油性のマジックで描きつけられていたのだ。
日常的に暴力を振るわれているうどんげの境遇を良く表す姿であった。うどんげは半泣きになりながら深呼吸する。台本通りの台詞を吐き出す。

「鈴仙・優曇華院・イナバ! あ、う……、うんち食べます!」

言い切ると顔を両手で覆った。悲鳴と笑いが上がり、うどんげをますます追い詰めてゆく。
目元からは涙が溢れかけていたが、笑われては悔しいので、顔を拭って見えないようにする。
その惨めな姿がまた人妖たちの加虐心を煽るのである。喝采を浴びる。しんと静まりかえり、そして四百の瞳。
悲しみで顔をくしゃくしゃにしたうどんげは、漆塗りの上品な器の上にしゃがむと、そのまま脱糞しようとする。

「ん、うぅぅ……」

食糞はうどんげの十八番であった。糞を食う姿が汚らしく、嘲笑えば泣き出すので、うどんげにやらせるにはもってこいの芸であった。
食糞は初めてではなかったが、何度繰り返そうとも慣れることはなかった。うどんげの繊細な心は、いつでも彼女を苦しめ追い詰めるのである。
そして、心理的な緊張が体の不調を呼ぶ。人の目に晒されて排泄できるほどうどんげは無神経ではなかった。
アナルが固まってしまったかのようにすぼまっている。力もうとしても力が入らない。うんちが外にでることを拒否しているように思えた。
長い長いバナナうんちどころか、チョコボールのようなかけらでさえ出てこない。

うどんげが手間取っている姿に苛つくのか、永琳は氷のような視線でうどんげを見る。永琳の冷たい声が鼓膜に届く。

「あなたねぇ……ふざけてるの?」

永琳が不機嫌そうに頭をかかえると、うどんげの顔には恐怖が塗りたくられた。

「ねぇ、出来るって言ったわよね? 約束したわよね?」
「あ、ぁぅ……」
「場をしらけさせないで頂戴」

叱られた子犬のような顔をする。そしてまた笑われる。うどんげは何をしえも笑われる。
うどんげにとっての永琳は決して逆らえない存在だった。うどんげは意を決したように、自分の排便先、赤い器の底をじっと見つめた。
ここに出すのだ、そして出しただけでは終わらない。けれども、出さなければキツイおしおきが待っている、これ以上に耐え難い責め苦だ。
ぷすと、屁の音がする。くすくすと笑われる。顔をあげると、大勢の人妖たちが好奇の視線でうどんげを見ていた。
あるものは興奮し、あるものは軽蔑していた。

「う、うぅぅ……!」

茶色くコロコロとした便が顔を出すと、会場が悲鳴と爆笑に包まれる。好奇と軽蔑と失笑が入り混じった視線が雨のように突き刺さる。
肛門の皺が一際広がると、かため粘土の玉をぎゅっとひとつなぎにしたような長い便がぬるりと現れ、器に落ちる。
そして丸い兎のようなうんち、そしてそれらが栓になっていたのか、その後ややゆるめの便が、ぷすぷすという屁の音とともに器に盛り付けられていった。
悪臭が広がる。シャッターを切るものもあった。

「あっはー! いいぞー!」
「マジで糞してやんの、あはははははっ!」

おちょこがうどんげに投げつけられ、どっと爆笑がおこる。会場の人妖の反応は、この時点で三つに分かれた。
萃香、早苗、魔理沙などは率先して囃し立て、うどんげのいじめに加担し、積極的にこの催しを楽しんでいた。
妹紅、咲夜、霊夢は、わずかに同情しながらも、酒を片手に事の成り行きを観察している。消極的に、その痴態を嘲笑っていた。
ミスティア、大妖精、小傘など立場の弱い妖怪たちは、自分がターゲットにされないよう、空気を読んで引きつり笑いをしている。
幻想郷は自由に見えても、実際は、徹底したヒエラルキー社会である。そもそも、「生まれ」それ自体によって覆せない力の差が生まれる世界だ。
そのような世界で弱い妖怪がターゲットになることは、逃げ場のない破滅を意味している。

排泄を終えたうどんげは畳に座ると、おまる代わりの器を前に正座した。顔を真っ赤にして、震えながら山盛りの大便を見る。
その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。シャツの裾を握る。心臓がバクバクと鳴った。加虐心を呼び起こすその姿は、何枚もの写真を撮られた。
この手の悪趣味な遊びに、敏感に動くのが天狗たちである。彼らはうどんげの痴態を新聞等でばら撒くことによって、うどんげのいじめに加担していた。

うどんげが外で連れまわされ、裸で永遠亭まで帰らされた日、うどんげは初めて紙面でその姿を晒された。
ショックからうどんげは手首を切ったが、すぐに永琳に治療されて、罰として鞭で打たれ、いじめは続行されることとなった。

そんな衝撃も、もはや日常茶飯事である。うどんげは幻想郷という社会にいじめられているのである。
撮られた写真がばら撒かれ、幻想郷中に痴態が知れ渡ると思うと、背筋の芯まで恐怖で凍ってゆくように思えた。
それでも食べないと、もっと酷い目にあわされる。うどんげは震える指先で箸を取った。しんと静まり返る。

「うわぁ」
「ホントに食べるんだな」
「気持ち悪い」

静かな部屋では、忍び笑いやひそひそ話が、否が応にも聞こえてくる。
うどんげの箸が、ねっとりとした便に触れた。うどんげは胃の中がぐるぐるして吐き出しそうな気分になった。
そして親指ほどの便を拾い上げ、口元に持ってゆく。最前列の、最も積極的な人妖たちは、哀れな兎が糞を食べるのを下品な笑みで観察している。
ひどい臭いだった。全身に鳥肌が立つ。これは食べてはいけないものだと、全身が拒絶反応を起こす。冷や汗があふれていた。
それはただの嫌悪感ではない。様々な汚物と毒の集合体である便は、体全体が拒否する物体だ。
好きも嫌いもない。口に入れるだけで内蔵が危険信号を発する。そして、そんな物体だからこそ、食べる表情は見ものなのである。

「あ、ぁ」

涙どころか鼻水まで垂らしているうどんげは、しかし、従わなかった時の制裁がどんなに苛烈なのか知っていたので、
その柔らかな唇を、本能に逆らいながら大きく開け、瞳をぎゅっとつむりながら自らの排泄物を口に入れた。
悲鳴と歓声、うどんげはそれを聞きながら出来るだけ味わわないように飲み込んだ。
それでも口全体に苦味が広がり、すぐにでも吐いてしまいそうだった。

「わあ、ウサギって本当にフンを食べるんですね!」
「うへぇ、ありえねー、吐きそう」
「いくらなんでも、普通の神経してたらあんなもの食べないわよね」

うどんげは作り笑いをする。作り笑いで、湧き上がる感情に、わずかな抵抗をしようとする。
シャッターの音がする。口の周りに大便がべっとりと付いたおぞましい図が、フィルムに記録されているのだ。
周りの人妖たちはいかにも愉快そうに、その一部終始を鑑賞していた。苦しさ、悔しさで失神しそうだ。
うどんげのプライドは、踏みにじられ、心と合わせてズタズタに切り裂かれたも同然の惨状であった。
涙がだらだらと溢れる。呼吸が乱れ、ひいひいと発作のように激しく呼吸をする。

「ちょっと」

姫の退屈そうな声。

「まだまだ残ってるじゃない。えーりん、もっと食べさせてよ。これじゃつまんないわ」
「はい、分かりました」

永琳はスプーンのような物を持ってうどんげの側に座る。そして大便を一掬いしてうどんげの顔に押し付ける。
うどんげは肩で呼吸をしながら、うつろな瞳でそれをじっと見た。

「ほら、食べなさい。全部食べないと食べたことにはならないわよ」
「ぁ……」

無言で口を開ける。スプーンに山盛りになった大便が押し込まれる。涎と便が混ざった汚水が口元からだらりと垂れてゆく。

「すぐに飲み込まないで、よく咀嚼なさい」

口をもごもごと動かす。髪の間から汗が溢れる。眉間に皺がより、肩はふるふると震えている。
歯の間に満ちる不気味な大便の感触、うどんげは失神しそうな気分だった。漸く飲み込むと、目の前に次の大便があった。

「はい、口開けて」

口の中も食道も、便所を超えるレベルで汚れきっていた。口から鼻孔に逆流して、ひどい頭痛がする。
それでも大便を食べさせられる。逆らえばもっと酷いことをされるから。戻しそうになりながら咀嚼して飲み込む。苦しくて、大声で泣き出しそうになる。
だが、永琳は酔った赤ら顔で心底楽しそうに、この哀れな兎を痛めつけているのである。
嫌がれば嫌がるほどそそられる。

「はい、ほら。まだまだあるわよ」

うどんげの視線が大便が盛られた皿に向けられる。まだ半分以上。精神が減耗していた。
三口目の大便を口に入れようとした瞬間、うどんげは口を両手で覆った。胃の内容物が逆流する感触があったのだ。

「ん゛うぅ゛!!」

観察していた者たちが、我先にと逃げ出す。うどんげは真っ赤な瞳をぐるぐるさせながら、錯乱したように手を伸ばす。
がしゃんと大きな音とともに台が倒れ、大便が床に散らばった。そして両手を床につき、一瞬だけ耐えたが、もう駄目だった。
ゲロと糞の混じった最悪の排泄物が、うどんげの口からあふれた。水音とともに四方に飛び散る。
第二陣、うどんげの糞は胃液や食物と混ざり合い、その全てを異物として、腸と食道に拒絶反応を起こさせていた。

「あらあら」

ぜいぜいと息をする。この場の畳は糞と吐瀉物で汚れ、もはや宴会を続けられる状態ではなくなっていた。
だが人妖たちは、食べ物よりもむしろこのおぞましい余興こそを酒の肴としていた。そして会場はさらなる熱気に包まれる。
そして永琳は、汚物をまき散らした兎を冷酷な笑みで見下ろしていた。

「言ったわよね。出来るって」
「イ゛ッ!」

うどんげの体が、いままでにないほどに震えはじめた。

「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ゴメンナサイ!」

糞とゲロまみれであるのも構わず、おでこを必死に床にたたきつけて土下座する。しかし、永琳の腕には鞭があった。

「お許し下さいおゆるしくださいお許しくださいいぃぃ……!!」
「許さない」

鞭が飛ぶ。ワイシャツごしに背中に叩きつけられた鞭は、皮膚を抉り、肉を切り裂いた。血液が障子に飛び、いくつかの小さなシミを作る。
うどんげは吠えるような悲鳴をあげたが、すぐにまた土下座を始める。大声で泣くような、命乞いをしながら。

「嫌ああああ、嫌、嫌です、いっっ!! や゛ああああああ゛ああああ!!!! お願いします! お願いしますうう!!」

永琳は無言で鞭を振るう。あまりにも凶悪なその一撃は、うどんげの理性を奪うには十分で、
一撃打たれるたびに、うどんげは泣き叫び、小を失禁しながらふらふらと床を這い、気絶するとより強力な一撃で無理矢理覚醒させられた。
七発、それだけで背中は血まみれになり、シャツはもとから赤だったかのように、一面の血液で染め上げられている。
あちこち逃げまわったおかげで手足に汚物が絡まり、髪の毛はぐしゃぐしゃに乱れていた。
恐怖は頂点に達しているようで、うどんげは両手て頭を守り、肘で耳を塞ぎ、部屋の隅で哀れに丸まっている。
この惨劇に、半数の人妖は引いていたが、残りの半分はむしろ血に飢えていたようで、弱ってゆくうどんげを見ながら酒盛りをする有様であった。

「痛かった?」
「痛いですうう、痛いですうう!!!」
「じゃあやめるわ」

うどんげは驚いたような、すがるような表情で永琳を見る。弱り切った兎の頭を、いやに優しくなでるのだ。

「ね、痛かったわね」
「はいいいいい、はいい!!! 痛かったです! じしょお! ありがとうございます! ありがとうございます!」
「それじゃあ、続きにしましょうか」
「……ふぇ!?」
「貴女のうんことゲロで床が滅茶苦茶でしょう? 掃除なさい。もちろん、口でね」

柔らかい安堵から、ふたたび地獄に突き落とされる。糞と吐瀉物でべとべとの口をぽかんと開けている。
ギャラリーは笑いながらうどんげの間抜け顔を鑑賞する。そしてうどんげはまた床に這いつくばり、畳の上の大便の塊を食べた。
食べては吐き、食べては吐き、喉がボロボロになるまで続けられた。手加減も手心もない。死んでも壊れても構うまいという過激さで鞭打たれ、罵倒された。
解放されたのは一時間後である。宴会芸もまともに出来ない馬鹿というレッテルを貼られて、茶碗や皿などで袋叩きにされる。
それが、この遊びの終わり。うどんげの余興は失敗して終わる。最後の最後まで弱いものをいじめる快感を絞り出すのである。
宴会は別の部屋で仕切り直しとなった。もちろんうどんげは、汚物まみれの部屋に一人残り、夜通し掃除である。

そして真夜中。

宴会の終了から既に数時間の時が経過していた。うどんげは風呂に入ることも許されていなかったので、裸で竹林の中を歩き、
竹の森を割くように流れている一条の小川で、刺すような寒さに震えながら体の汚れを落としていた。

「落ちない、落ちないよぉ……」

全身から漂う大便の臭いは、川で水浴びをしたところで落ちるものではない。
便のかけらは洗い流したものの、便の臭いはいまだ体全体から漂っている始末である。

「ひぐっ、ぐず……!」

咽び泣く。最初は静かに、やがて声は止まらなくなって、大声でわんわんと叫ぶように泣きはじめた。
鞭の傷がじくじく痛む、不快感が喉にこみ上げてきて、空っぽの胃の中から吐瀉物を吐き出そうとする。
腹を抱えてうずくまり、川の中に茶色と黄色の液体をげえげえと吐き出す。大便と胃液が混ざり合った汚いシロップ。
口の中が苦さと酸っぱさで刺激される。口を濯ぐが、こびりついた大便の臭いはそうそう落とせるものではない。
口の中から鼻にまで登ってきて、常に不快感が付きまとい、そして先程までの恐ろしい虐待の光景がフラッシュバックされるのである。

「綺麗にしなくちゃいけないのに゛……っ」

こんな姿で明日の朝を迎えれば、きっとまた馬鹿にされる、殴られる、いじめの口実を作ってしまう。
兎達にも患者たちにもかわいそうなものを見るような目で見られて、殴られないように、誰かの気分を害しないように、震えながら一日を過ごすのだ。
今日こんなことをされて、明日また酷い目に合うなら、もう耐えられないと思った。今までも同じことを考えていた。
もうだめだ、もう無理だ。そう思った瞬間は何度もあったような気がするが、実行できたことは一度もなかった。

「はぁぁー……、もう……やだ、やだ、やだぁ」

明日なんか、もう二度と来なければいいのに。頭の中が沸騰したように暑くなって、両手で髪の毛をくしゃくしゃにする。
ぼろぼろと止めどなく涙が出てくる。うどんげはその赤い瞳で天に浮かぶ月にすがるように見つめた。
歯車が狂い始めたのはいつだったのか、もう分からない。軍から脱走した日からもう、うどんげの命運は尽きていたのか。
あるいは産まれた瞬間からか。いずれにせよ、もうやり直しは出来ない。この狭い幻想郷では、仕切り直しをすることもできない。
霧のように消えてしまうことができたら、もう苦しまずに済むのに。

そう、消えてしまえば。その考えに至った瞬間、うどんげの心はふっと楽になった。

「あ、そっか……」

死ねばいいんだ、私。

「死ねばきっと、もう酷いことなんて起こらないもん」

どうせ皆、私のことなんて嫌いなんだから。もう、死んだっていいんだ。

そう思うと、行動は早かった。洗い終わってぐしょぐしょのワイシャツをロープにして、太い樹の枝に括りつける。
そしてシャツの反対側の輪を首にかけて、準備完了である。うどんげはワイシャツを引っ張ってみるが、固く結ばれたシャツはびくともしなかった。
全体重をかけたとしても、シャツが解けることはないだろう。高さに関しては不満があったが、足がついていても首吊りは出来る。
首の圧迫が重要なのだ。格闘技の絞め技と同じ、極まり方が良ければそのまま意識を失い、楽に死ぬことが出来る。
軍隊で得た知識が久々に役立った瞬間であった。

「……うぅ」

バクバクと心臓が鳴る。今までのことが走馬灯のように思い返される。月で飼われていたころはまだ幸せだった。
軍隊は辛いことばかりだった。地上に来てしばらくは上手くいっていたが、しばらくするといじめが始まり、火の手が止むことはなかった。
そして生きていれば地獄は永遠に続く。それでも、死んでしまうのは怖かった。死んでしまえば後戻りすることは出来ないのだから。
歯がカチカチと鳴る。だが、この恐怖には勝たなければならない。今我慢して死ぬことができれば、もう苦しまないで済むんだ。

大丈夫、怖くない、怖くない。すぐに逝ける。死ねばもう誰にもいじめられないはずだ……!

うどんげは解放されるのだ。

目の前では済んだ小川がさらさらと流れている。そしてうどんげは体を傾ける。首に体重分の力がかかり、首が絞められてゆく。
息が出来ない。苦しい。しかしそう思ったのは最初だけで、指先からだんだんと痺れていって、感覚がなくなり、お湯にひたすような心地よさに包まれた。
目の前の闇がだんだんと霞んで、白い霧の世界が目の前に広がってゆく。そしてブレーカーを落とすように、うどんげの意識は真っ暗になった。

そして翌日の朝、布団から一人の少女が起き上がった。

「あれ、朝……」

おかしな夢を見た気がした。

少女にとって朝ほど憂鬱な時間はなかった。朝になれば辛い世界と直面しなければならないからだ。
紫色の髪の毛をして、くたくたになった人工耳を頭に取り付けていた。寝ぼけ眼で着慣れたブレザーに着替え、廊下に歩み出た。
渡り廊下の先から、数年前まで格下扱いだったはずのてゐと一般兎たちが談笑しながら歩いてくる。

「あ、お、おはよう……」
「でさー」
「あははは」

少女はあいさつをするが、てゐと兎たちはまるで少女など居ないかのようにその脇を通り過ぎていった。
少女と話せば自分たちまでいじめに遭うかもしれない。そんな空気が少女を更なる孤独に追い込んでいた。
といって、挨拶をしなければ挨拶をしなかったことを理由に殴られたり貶されたりすることもある。八方塞がりの閉塞感。
少女はとぼとぼと廊下を歩く。死んでしまいたい、そんな暗い気持ちを腹の中に抱えながら。
あの夢のように死んでしまえればどんなにいいか。しかし未だ、少女に実行する勇気はなかった。

「はぁ……」

そして入るのは永琳が調合や実験を行う永遠亭中央部の一室である。

「師匠、おはようございます」

永琳は机の上にある分厚い資料に目を通していたが、挨拶をされても顔を上げることさえなく、存在を黙殺した。
少女は永琳を刺激しないように棚にある薬品類を足元の籠に入れる。人里へ薬を売りに行くのは、相変わらず少女の役目であった。
そしていつも通りの量を籠に入れると、少女はそれを背中に背負った。

「失礼します……」

また返事は無かった。麩が閉じられる。そして永琳は本の文字列に視線を滑らせながら、一言だけ、確かめるようにつぶやいた。

「異常なし、ね」

非現実的なことを簡単にやってのける所こそ、永琳が天才である根拠であった。

昼がやってきた。うどんげは外で働かされ、てゐと兎達は食堂で質素な和風の昼食をいただいている。
そして輝夜と永琳は、数人の兎の料理人に豪勢な料理を作らせ、二人で談笑しながらつつくというのが常であった。
食事一つとってみても、永遠亭の序列が浮かび上がってくる、そういう塩梅である。
黒く高級感のある皿の上に無数の料理が少しづつ乗せられていた。太古の食卓と現代の食卓の折衷なのか、料理には西洋の品も含まれている。
竹林がざわざわと騒いでいる。波の音のようであった。静かな部屋の中、永琳は青い花の描かれた小さな皿から栗きんとんを拾いながら、口を開いた。

「うどんげが死にました」
「そ」

輝夜は興味なさげに箸を迷わせる。そしてマグロの刺身を口に頬張り、ゆったりと味わうように咀嚼した。

「何回目だっけ」
「今月は三回目、通算では十ニ回目かと」
「様子はどう? 感付かれるような気配はあった?」
「今のところありません。記憶消去薬が上手く作用しているようで、自分が生きていることを全く疑問に思っていないようです」
「ならいいわ。変な所で気付かれても興ざめだもの」

味噌汁をすする。雀が鳴きながら竹やぶの間を飛び交っている音が聞こえる。

「死にたくて死ねない体になってるって気づいたら、あの子はどうするのかしら」
「そうなればいよいよ逃げ場がないわけですから、本当に壊れてしまうでしょうね」
「廃人ってやつ?」
「ええ。永遠に虐げられ続けるのですから、そんな現実、気弱なあの子じゃ耐え切れません」
「そうなったら、やっぱりもう戻らない?」
「いいえ。殺して記憶を消せばまた元通りです。姫様が望むなら、何度だっけ絶望してくれますよ。何なら夜にでもやってみましょうか」
「うーん。でも最初の一回は大切にしたいかも」
「そうですか」

いじめが始まって半年ほどが経過した頃、初めての自殺未遂を起こした。それは所有物であるうどんげの命を侵害する罪深い行為であった。
ムチ打ちに次ぐムチ打ち、そんな罰を与えることで一応済ませたものの、そのうちまた自殺を図るのは明白であるように思えた。
一度あることは二度あって、二度ある事は三度ある。輝夜のお気に入りのおもちゃがやがて壊れてしまう。
おもちゃが壊れるのは輝夜としても不満であったし、愛しい輝夜が悩むなら、永琳も対策を練るしかなかったようである。
そして最終的に、うどんげは蓬莱の薬を投与され、知らぬ間に不老不死になったのである。

不老不死になってからは、うどんげへのいじめもエスカレートしていった。
永遠亭の外の人々を巻き込んで、芸をさせたり、晒し者にしたりした。天狗に写真を撮らせて広めることも日常茶飯事になった。
極限まで過激化したいじめに耐え切れず、うどんげは自殺をした。うどんげの死体は自殺の度に永琳に回収され、覚醒する前に記憶消去役を投与された。
そしてうどんげは、自分が死んだことにも、死のうとしても死ねない体になっていることにも気付かず、自殺を繰り返しているのだ。
12回死んで、12回生き返って、13回目の人生を歩んでいるのがうどんげであった。

二人の蓬莱人の永遠の奴隷になることが定められたに等しい。生きる自由も無ければ、死ぬ自由もなかった。

そのころ、竹林。ちょうど先日自殺した木の近く、うどんげは虚ろな目をしながら小川の側を歩いていた。
小川はさらさらと流れている。竹の合間から漏れる光が小川に反射し、砂金の雨のようにきらきらと輝いていた。

「……うぅ」

今日も薬が売れなかった。うどんげのような厄介な兎と関わり合いになろうとする人間はなかなかいない。
影で笑われたり、哀れみの視線を投げかけられたり、ボールをぶつけられたり、乱暴されそうになったりしながら、
それでも一人でも多くの顧客を得ようとする。成果なしで帰れば、またいじめの口実を作ってしまう。

もちろん大抵の場合は今日のように成果無しで終わる。薬の行商自体、もはやいじめの口実作りの行為に等しかった。
まずはムチ打ち百回だ。裸で一晩中晒し者にされて、また思い出したくもない記憶を作らされてしまうのかもしれない。
過去の記憶がせり上がってくる。うどんげは唸りながら頭を抱えてうずくまる。思い出したくない。早く消えて。おかしくなる。
無心になろうとして、少し思い出してしまって、気分が悪くなって嘔吐した。思い出したのは、好きな子に無視された瞬間。
咳き込む、四つん這いの姿勢に崩れ、半消化の白米を吐き出す。胃液にはなぜか大便の臭いがあった。

「う、う、うううぅ……!」

帰りたくない。帰ったら死にかけるまでいたぶられるに違いないのだ。
うどんげは四つん這いのまま土の上を這う。そして、早く帰らなければならないにもかかわらず、ぺたりと座り込む。
なんでこんな思いをしなきゃいけないんだろう。何度死のうと思ったことか。
死ねたことは一度もなかったけれど、それでも何度も自殺しようとした。

「……」

死ぬのは怖い。勇気を振り絞って、なお出来ないものなのかもしれない。
それでも、自殺はうどんげにとって唯一の逃げ道であった。救いの道ではないのかもしれないけれど。

「……そうだ、もう、死ねばいいんだ」

こんなにつらい思いをするぐらいなら。

「死ねばきっと、もう酷いことなんて起こらないもん」

どうせ皆、私のことなんて嫌いなんだから。もう、死んだっていいんだ。
うどんげは手慣れた様子でシャツの縄をつくり、首をくくって死んだ。翌日、うどんげは自室で目を覚まし、絶望の朝に憂鬱としながら、
ふらふらとブレザーを着込んで渡り廊下へと歩みだした。少女は今もうどんげであった。

テーマ : SM・拷問・調教・凌辱 
ジャンル : アダルト

パチュリーおいしい肉日和(パチュリー/カニバリズム)

全裸のパチュリーが寝そべっているのは、無骨な鉄板の上であった。良い肉夢気分。
それもそのはず、今日は良い肉の日。紅魔館でもっとも上質な肉であるパチュリーが食されるのは、不思議でもなんでもない。
いや、紅魔館は悪魔の館なのだから、こんなグロテスクで悪趣味でとっても美味しそうなイベントが催されてこなかったことこそ、
むしろ、不自然であったといえる。レミリアは肉あまりでぷよぷよとした親友のお腹にうっとりと頬ずりしながら柔らかな胸を揉んでいる。

「レミィ、今すぐこの縄を解いて。この世の中には、許される冗談と許されない冗談というものがあるのよ」

あまりに悪趣味な冗談。パチュリーの体が以前よりぽっちゃりとしてきていることは、パチュリー自身が一番良く理解していた。
これは、肥満しつつある自分に対するあてつけだろうか。だとしたら、本の角で頭を殴られても仕方のないぐらい悪質な冗談だ。
なにより、睡眠薬で眠らせて縛り上げるという手口、いたずらとして許容できる範囲を既に超えていた。

「冗談、冗談ねぇ、クックック……」

太ももの付け根と足首、脇の下と手首、これらが縄で結ばれており、さらに太い縄が胴を鉄板に括りつけていた。
そして背中には魔封じの札が貼り付けられており、パチュリー最大の力である魔法も、もはや使うことができない。
そんな完全無防備になった愛しい親友の腹、スイーツを食べながら図書館に篭っている、そんな出不精な生活で育て上げられた脂肪。
柔らかな丸みを帯びたふとももの感触、まんまるなおへそ、たっぷりと膨れ情欲を刺激するマシュマロのような尻。
そして肌の全ては、肉色の赤よりもむしろ白桃の白に近くて、深窓に育つ彼女の美しさを象徴していた。

「こんな上質な肉、食べないほうが悪い冗談よ」
「な……」

レミリアの声に冗談めかすような色は見られなかった。親友を食べるなんてそんな悪趣味、いくら吸血鬼でもありえない。
しかしそれを裏付けるような言動は、レミリアとの会話から独り言に至るまで何処にもなかった。

「わーい、お肉だお肉だ」
「いけませんよフラン様、パチュリー様が怯えていらっしゃいます。もう暫くは、ご配慮くださいね」
「だっ、誰が怯えてるですって……?」

フランはまるで普段の食卓のような無邪気さではしゃいでいる。咲夜はそれを窘めて、椅子に座らせる。
すべてが日常であった。食卓に上るのがパチュリーというだけの、日常の食卓風景。昨日までは、パチュリーも食べる側であった。

「小悪魔、ワインは用意できたわよね?」
「はい! 肉料理にピッタリの品を地獄から調達しておきました。このワインなら、きっとパチュリー様のお味も引き立つと思います」

パチュリーの下僕であったはずの少女は、パチュリーを助けようともしないどころか、むしろ後押しするかのように、準備に奔走していた。

「小悪魔ッ! 貴女までこんな……、いい加減にしなさいよ、いますぐこの縄を解きなさい!」
「えぇ、何でそんなことしなきゃいけないんですか? 折角楽しい良い肉の日なのに、パチュリー様が居なくなったら台無しじゃないですか」
「質問を許した覚えはないわ、今すぐ私を開放しなさいって言っているの! 貴女は私の使い魔でしょう!?」
「そうでしたっけね。まぁ、昨日までは、使い魔に甘んじるのもいいかなって思ってたんですけど……」

小悪魔は口元に手を当てて笑う。

「寝返っちゃいました♪」
「なっ……!?」
「だって"レミリア様"との契約がとーっても魅力的だったんですよ」
「……契約を破ったら魂ごと貰い受ける契約になっているはずよ」
「そんなもの、パチュリー様が死んでしまえば関係ありません」
「……」
「契約の権利も、死んでしまえば行使出来ません。それ以前に、魔法を封じられた今のパチュリー様じゃ、契約の行使さえ出来ませんけど」

小悪魔は愉快そうに笑う。パチュリーの肌が怒りで熱くなる。
怒鳴りつけて罵りたかったが、動揺を見せるのは小悪魔を喜ばせることにしかならないと思いとどまった。
歯を食いしばり、涙をこらえる。この場においてパチュリーはただの肉、ゴブリンどもよりも格下の存在だった。

「パチュリー様も意外と無邪気な所があるんですねぇ。私の事、とっても信頼してくれてたんですよね?
 だからこそ、パチュリー様の一部とも言える書物を触らせてくれましたし、あんなに優しい表情も見せてくれたんですよね?
 私の用意した睡眠薬入の紅茶も、何の疑いもなく飲んでくれましたよね。……嬉しかったなぁ。私、本当はドキドキだったんですよ。
 あの薬、図書館の資料を見て調合したんですもん。パチュリー様が知らないはずはありませんでした。私の事を信頼していなかったら、
 薬が入ってたことなんてすぐに気がついたはずです。ね……、パチュリー様は私のことを信頼してくれてたんです」
「わっ、私は、貴女のことなんて、信頼してなんか……!!」
「論より証拠ですよ。パチュリー様は私の事が好きだったんです。恥ずかしがらなくていいんですよ?」
「……」
「早合点しないで下さいね。私もパチュリー様のことは好きです。お慕いしています。でも、ですね。パチュリー様のことを愛しているからこそ、
 貴女の怯える顔や、怒りに震える顔、泣き叫ぶ顔、体全体で表現される負の感情を味わってみたいという気持ちも、抑えられなかったのです。
 そう空想している時に、偶然レミリア様から今回のお話を聞いて……パチュリー様を裏切ったのです」

パチュリーの怒りは失せ、悲しみと後悔がこみ上げてきた。

「理解できないわ……」
「絶望に染まったパチュリー様も素敵ですよ」

小悪魔の言葉には魂がこもったような迫力があった。気の迷いでも冗談でもないことは、痛いほど分かった。
そして、その狂った願望が館に染み渡っているのだ。紅魔館の人々は、一点の曇りもない瞳でこの場に居合わせている。

「……レミィ、本気なの?」

数十年の付き合いになる。お互い気難しい質であるとはいえ、心の底から理解しあった仲であると思っていた。

「そっちこそ、本気で冗談だと思っているのかしら?」
「……何でこんなことを」
「悪魔だからかな? 親友でさえ食べちゃうなんて、とっても残酷で吸血鬼らしいと思わない?」
「ふざけないで、そんな訳のわからない理由で殺されるなんて御免よ。すぐに縄を解いて」
「ごめん、今のは冗談」
「……はぁ?」
「怒らないでよパチェ。本当の理由はね、貴女のことが好きだから、よ。食べることは愛することなの。
 ほら、セックスすることを、食べるって表現するでしょう。それと同じよ、好きだから食べるの、それ以上の理由はないわ。
 パチェの困った顔や怖がる顔も見てみたかったしね」
「ふざけないで」
「ふざけてないわよ。私は本気よ。あなたを殺して、骨の髄まで食べ尽くしてあげる」

全身が震え上がった。レミリアはパチュリーの怯える顔を見ながら、楽しそうに心の中を披露した。

そう、パチュリーは怯えていた。パチュリーは今まで勘違いしていたのだ。パチュリーは魔法使い、人間の延長線上にある存在だ。
だから、レミリアとの関係も、紅魔館の中の関係も、人間におけるそれを類推し、人間の感覚に置き換えて理解してしまっていた。
無意識の内に、パチュリーはレミリアや小悪魔を人間に準ずる存在として考え、その世界観の中で把握してしまったのだ。
しかし、違った。悪魔というのはもっと身勝手で、残酷で、ほんの些細な気まぐれで他者の命でさえも享楽に用いるような存在なのだ。
たとえ、唯一無二の親友であっても。

「レミリア様、準備が整いました」
「あら、それならもう始めようかしら。……パチェ、貴女が死ぬ所、良く目に焼き付けておくからね」
「ちょっ、ちょっと、待って、待ちなさい、待ちなさいよっ!!」

パチュリーが縛り付けられている鉄板の上には、あまりに高く紅い天井が空のように広がっている。
その天井からいくつものシャンデリアがぶらさがって、パチュリーの豊満な体を見下ろしていた。
そして、そんな天井に、あまりにも大きな真四角の鉄塊が場違いにも吊り上げられていた。
重さ数トンにもなる鉄塊である。魔法で防御も出来ない今のパチュリーにとって、これほどの脅威もない。
鉄塊はパチュリーの真上にある。もしあれがパチュリーめがけて落下でもしようものなら、パチュリーはぐちゃぐちゃになって跡形も残らないだろう。

「パチュリー様、あの塊が見えますか? 頭の良いパチュリー様ならもう察しがついていますよね?
 今から数分もしないうちにあの塊が落ちてきて、パチュリー様はぐちゃぐちゃの肉塊になります。形なんて残りませんよ。
 ミンチ肉みたいなものです。いえ、それよりも酷いでしょうね、内臓も骨も筋肉も脂肪も全部潰れて交じり合うんですから」
「そ、そんな、なんでよぉ……!」

もう堪え切れない。涙があふれる。百年生きようと、死はなおも恐ろしい。安らかさもない、人為的な突然死。
いくら理性を働かせた所で、この恐怖からは逃れられない。小悪魔はカチカチと鳴るパチュリーの歯の音色を心地よく聞いていた。

「大丈夫ですか、パチュリー様? 青くなってますよ? 怖いんですよね、死ぬのは怖いんですよね?」
「あ、あぁ、こッ、怖くなんて……! 私は貴女が思ってるような、臆病者じゃないわ……!
 私の怯える姿を慰み者にするつもりだったんでしょうけど、残念だったわね……ッ!!」
「はぁぁ……♪」

小悪魔はうっとりとして、パチュリーの小さな頬を擦る。

「今のパチュリー様、とっても可愛らしいですよ、私のような最低の悪魔の玩具になんてならないって、強く強く決心して……。
 でも、ほら。この鏡を覗いてみて下さい。今の貴女がどんな顔をしているのか、ご覧になって下さいよ……」

パチュリーは鏡を突きつけられ、自分の顔を直視してしまう。紫色の瞳は充血し、潤み、涙がこぼれそうになっている。
恐怖のあまり青ざめて、怯えた表情。鼻の先が赤くなって、鼻水が垂れている。顔の輪郭は小刻みに震えている。
そして恐ろしさのあまり呼吸は荒くなって、涎がこぼれていることにさえ気付くことがない。

「ほら、ね。だからやせ我慢なんてしても無駄なんですよ。顔に出てるんですから。いくらなんでも、分かりますよね?
 怖いよー。助けておかーさーん。って……そんなパチュリー様の本心が丸出しになっているんです」
「あ……あぁっ……!!」

パチュリーの肩がガクガクと震える。自分の本心と直面して、歯のカチカチと当たる音も、止め難く大きくなっていく。
パチュリーは紅魔館の参謀であり、優秀な魔法使いであり、常に強者として幻想の世界を渡り歩いてきた。
それゆえに、ここまで生々しい死の予感に打ち震えた経験は、一度も無かった。もうとまらない。恐怖に染め上げられてゆく。

「許して、お願い、なんでもするから、私を放してっ!」
「駄目ですよー。パチュリー様はここで死ぬんです」
「そんな、どっ、どうして……どうしてよおおッッ! 貴女もッ、レミィも、正気に戻ってよ、お願いだからっ!! ねえ、放してよぉ!!」
「あぁ、可愛い。素敵……パチュリー様が養豚場の豚みたいに命乞いしてる……! パチュリー様の恐怖がビンビン伝わってきますよ。
 おしっこ漏らしちゃいそうですよね、だってこんなに怖いんですもの。恥ずかしがらなくてもいいんですよ、もっと惨めではしたない姿を見せて下さい!」

パチュリーは狂乱して暴れまわろうとするが、鉄板に縛り付けられた全身は、もはやほんの僅かな抵抗も許されていない。
そんなパチュリーの体を、小悪魔は優しく撫で回す。両手からこぼれ落ちるほどの巨乳、胸のように柔らかな二の腕。
だらしのない、しかし美しいお腹の肉。白く上品な脂肪の乗ったふともも、ふくらはぎ。涙と汗で汚れた可愛らしい顔。
そしてプリプリの脂肪が詰まった尻、いやらしく肉づいた膣。全てを、悲しそうに、愛おしそうに、別れを告げるように撫でまわす。

「こんなにも愛らしいパチュリー様、可哀想に、あの塊に潰されて、ミンチになってしまうんですね。ねえ、パチュリー様。
 死んだらもう何もかも終わりですよ。楽しいことも辛いことも全部無くなるんですよ。とっても寂しくて、恐ろしいでしょう?
 想像してみてくださいよ。あなたはもうすぐ、肉塊になります。今日のうちに、ハンバーグにでもなるんでしょうかね」
「う゛、うぇ、う゛うううううううあああ゛あ゛ああああああああぁぁぁぁッッ!!!!!!! 許して、許してェッッ!!!」
「あはは、凄い。こんなパチュリー様はじめて見た。ねぇ、現実逃避しないでくださいね、壊れないで下さいね。
 最期の瞬間まで恐怖して、命乞いをして下さいね。ふふ、あはは、あははははははっ!!!」

小悪魔は心底愉快に哄笑すると、名残惜しそうに視線を絡めながら、少し離れた場所で鑑賞している紅魔館の住民の所に戻っていった。

「なかなか良い見世物だったわ。冷静なパチェがあんなに取り乱すなんてね」
「悪魔ですから」
「ふふっ、この手の余興はお手の物ってことね」

レミリアは親友の狂乱を見て股間をびしょびしょに濡らしていた。大事な親友の命が弄ばれている。可愛い親友が潰れて死ぬのだ。
そんな光景を見て、レミリアのサディスティック、そしてマゾヒスティックな側面が同時に刺激され、急激な興奮となって体に現れているのだ。
クリトリスはビンビンに勃起している。このままパチュリーが潰されたら、レミリアは達してしまうだろう。

「咲夜、処刑を」
「はい」

咲夜はナイフを構える。狙うは鉄塊を吊るす縄である。咲夜のナイフで縄が断ち切られた瞬間、パチュリーという命が終焉する。

「嫌ああああああああッッ!! やめてえええええええ!!!!」

パチュリーは大粒の涙を流しながら懇願する。

「フランッ! 私を助けて、あの鉄塊を壊して、出来るでしょう!?」
「えー、やだよ。パチュリー助けたら、パチュリーのハンバーグ食べられなくなっちゃうもん」
「咲夜ッ! 早まらないで! 主人の命令ならこんな残酷なこともするっていうの!? ねえ!?」
「はい。レミリア様の命令は、他の全てに優先します」
「小悪魔ッ!! 怖いのも苦しいのももうたくさんよ!! 貴女ももう満足でしょう!? 早く縄を解いてぇ!!」
「ふふ……、可哀想なパチュリー様。そんな説得に聞く耳を持つと思ってるんですか……?」
「レミィッ! 私達親友よね!? お願い、こんな死に方嫌なのっ! 考えなおしてよぉっ!!!」
「ごめんね、パチェ。貴女のこと、食べたくて仕方がなかったの。もう我慢出来ないのよ……咲夜、もう楽にしてあげなさい」

咲夜の手の中にはすでにナイフがあった。振りかぶる。投擲すれば、一瞬で、一撃で縄を切り裂く。
無防備なパチュリーは一巻の終わり。パチュリーという存在が終わる。

「いやっ、いや、嫌、嫌、嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌あああああああああああ!!!!!!」

銀色に輝く光の一閃、そして重さ数トンの鉄塊は解放される。重力にからめとられ、物理法則にしたがって落ちてゆく。
パチュリーの体に、黒い影が浮かび、そしてだんだんと色濃く染まっていった。まるで、忍び寄る死神の衣のように。
パチュリーは目を見開いて、落ちてくる鉄塊から逃げようとする。逃げられないのはわかっていたが、反射と本能がどうしようもない悪あがきをさせる。

「はひ、あ、いや、いやあ゛あ゛ああああああああああああぁぁあぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!!!」

そして結末は一瞬。

鉄塊と床がぶつかり合う轟音。パチュリーの肉と血液と内臓が、ぐちゅりという音を立てて潰れる音が、かすかに混じっていた。
鉄塊は床にめり込んでいる。あまりに重量が大きく、高いところから落としたために、床を割って沈み込んでいた。
これではもう、助かる見込みはない。もとよりここにいる誰もが、パチュリーを助ける気なんて1ミリも持ち合わせていなかったのだが。
パチュリーは原型を留めないぐらいぐちゃぐちゃになって死んだ。骨も歯も砕けて、体毛と肉に交じり合っている。
美しさも、可愛らしさも、面影さえも見られないぐらいに、パチュリーという存在は徹底的に破壊された。

真っ赤な血液が鉄塊と床の隙間から漏れでている。生臭い死臭が部屋の中に滞留しはじめていた。



数時間後。パチュリーの肉片は選り分けられ、ふさわしい部分だけを集めた上で、咲夜によって調理された。
鉄塊をどけた瞬間、血なまぐさい臭いとともに、パチュリーの直視できないほどにグロテスクな死体が晒された。
骨が細かい粒になって混ざり、とてもではないがそのまま料理に使うことはできない。食べられないこともないが、美味しくないだろう。
しかしそこも計算済み。咲夜の能力と小悪魔の魔法で、十分もしないうちに綺麗で美味しい肉片だけが、巨大なボウルに収まった。
そして、玉ねぎとパン粉と卵で、オーソドックスに仕上げていく。出来たのはもちろんハンバーグであった。

茶色く焼けて湯気を立てるハンバーグ。デミグラスソースで彩られ、側にはにんじんやブロッコリーが添えられていた。
空腹を誘う肉の香りは、先ほどの血なまぐさい死体からはかけ離れていた。肉の合間で、パチュリーの脂がぷくぷくと泡立っている。
胸も尻も腹もふとももも、全て味わえるハンバーグ。ナイフを入れると、色んな部分の脂が混ざり合った肉汁が、だらだらと溢れるのである。

「うわぁ、美味しそう」

切断したハンバーグの断面から、肉の香りを帯びた湯気がもうもうと立ち上る。フランが大口でパクパクと箸を進めてゆく。

「こら、お行儀が悪いわよフラン。それに、パチュリーが残してくれたお肉なんだから、もっと味わって食べないと駄目でしょう」
「そっか……全部食べちゃったら、もうパチュリー食べられないもんね……」

咲夜は笑う。

「ご心配なく。パチュリー様のお肉ならまだまだありますよ。潰しちゃったのでステーキ等は出来ませんが、
 ミートボールにメンチカツ、簡単には味わい尽くせません」
「わぁ、凄い。それじゃあ明日はパチュリーのお肉でミートソースのスパゲッティがいいな」

小悪魔も食卓に居る。パチュリーの死体は思いの外美味しかった。それだけ上質な脂肪を蓄えていたということだろう。
あるいは、パチュリーの体に溜まっていた魔力が、悪魔の舌を喜ばせているのかもしれない。一口一口、宝物のように噛みしめる。
噛み砕いて、飲み込んで、胃の中で消化する。その過程を通じて、小悪魔とパチュリー、二つの存在が交じり合う、そんな快感。

「パチュリー様、こんなお姿になって……、貴女の美しい体が、ただの肉料理に……、あぁ、感激です」
「良い肉の日って最高。来年もお肉パーティーしようね!」
「そうねぇ。来年は誰を食べようかしら」
「私を召し上がってはいかがでしょうか?」
「咲夜かー。美味しそうだけど、咲夜がいなくなったら、お掃除やってくれる人がいなくなっちゃうなぁ」
「あはははは」

笑い合う。楽しい、楽しい悪魔の食卓であった。

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ホームレス霊夢ちゃん(霊夢/レイプ)

群馬県の路地裏で、美少女ホームレスちゃんを強姦しちゃいました。
日本にもまだ秘境はあるみたいで、特に群馬県は酷いものです。街中がジャングル的な植物に覆われ、至る所にスラム街があります。
ま、そんなところだからこそ、イイモノもいっぱい手に入るんですけどね。陰毛も生えてない女の子とか。
中央群馬には沢山の売春街があって、よりどりみどりの女の子とセックスできるんです。
さて、そうした下心いっぱいに、群馬県唯一の電車で揺られ、やってきたのが中央群馬区特別群馬街でした。
大勢の人通り、そして怪しげに光る広告板の合間で、僕は余裕たっぷりの表情で女の子を物色します。
ここでの漁り方には二通りあって、一つは風俗店をあたること、もう一つはそこらへんの女の子に声をかけてやっちゃうこと。
風俗店の場合は技術は高いかもしれないけれど、お金はかかるし、プレイも平凡で、わざわざ群馬に来た意味が無い。
やはり玄人は、そこらへんの女の子から探す。群馬では、売春OKの子は大抵値札をぶら下げてるから、納得できそうな子に話しかける。

そうして数十分、とうとう探し当てたのが、裏路地に体育座りでまどろんでいる女の子。冒頭で話した美少女ホームレスちゃんです。
側の看板によれば、一回たったの100円。いかに群馬の物価が安いとはいえ、破格だと思います。相場がわからないのでしょうか。
大きな赤いリボンが印象的で、もみあげを二本にまとてめいました。ただ髪の毛はぼさぼさしていて、手入れが丁寧とはいえません。
生活苦で売り飛ばしたのか、服は下着だけです。その肌の上に、茶色く汚れた布をかぶり、世間の寒さに震えていました。
ろくに食事もしていないのか、裸足の両足は細いというより儚く、わずかに骨が浮かび上がっています。
その瞳は死んだ魚のようです。手と足を折りたたんで、小さくまとまり、路地の隅でどことも分からぬ場所を見つめています。

「君、名前は?」

その憂鬱そうな顔が、ゆっくりとこちらに向けられます。その小さな口が、戸惑いがちに開かれ、言葉を紡ぎました。

「……れいむ」
「一回100円だよね。100円で本番までいける?」
「そ、そんなわけないでしょ。100円じゃ、フェラまで……よ」

やはりそう上手い話は無いようです。それでも、100円で舐めさせられるなら格安でしょう。

「じゃあいいよ。舐めてよ」
「いい……けど、でも、先払いよ。ここの空き缶に入れて」

僕は100円硬貨を缶に放り込むと、チャックを開けてペニスを取り出します。ギンギンに勃起した20cmに、霊夢ちゃんは戸惑ったようでした。
亀頭を鼻先まで近づけるものの、付いたチンカスが気になるようで、なかなか咥えようとしません。
じろじろと鈴口を見ては、思い切って口を開け、そして思い切りが足らずに閉じることの繰り返し。
ぷるぷるとした唇がペニスを咥え込んでくれることは、なかなかないのでした。

「萎えるじゃん。早くしてよ」

僕がわざととげとげしく、怒気を込めて喋ると、霊夢ちゃんはびっくりとした様子で目を見開き、漸く舌先を亀頭に這わせ始めました。
この霊夢ちゃんという女の子が、フェラに慣れていないのは明らかでしたが、むしろそのほうがそそられる。これが僕の持論です。
やがて口全体がペニスの先端を咥え、さらに真ん中まで唇は達しましたが、舌使いはたどたどしく、気持ちい者ではありませんでした。

「じれったいなあ」

そして僕は霊夢ちゃんの後頭部を掴むと、無理矢理喉の奥にまでペニスを挿入しました。
まんこのようにぎゅうぎゅう締め付けてくるそこが、とても気持ちいいで。

「ん……むうぅ!? んぐ、んっ!? ん゛むうぅーっっ!?」

霊夢ちゃんの口を性器に見立てて、ガンガン腰を打ち付けると、声にならないくぐもった悲鳴をあげ、叫び出します。
苦しいのか頬を真っ赤に染めて、ぽろぽろと涙を流し始める。その様子で、ペニスはますます硬くなりました。
そしてその、鼻水をたらした情けない顔、とても可愛らしい。あまりに憂鬱そうにしていたから気が付かなかった。
霊夢ちゃんは珠玉の美少女、ペニスを咥え込んで悲鳴を上げる姿は、それに何乗も出来るくらい可愛かったのです。
僕のペニスは爆発し、真っ白くて濃い精液が、霊夢ちゃんの喉に直接流し込まれていきます。
ごぼごぼと咳き込んだような動作をしたものの、霊夢ちゃんはそれ以上反応することができません。
やがて行き場を失った精子が、鼻の穴からどろどろと流れてきました。顔は真っ青に青ざめています。
僕は霊夢ちゃんももう限界で、コレ以上やると窒息してしまいそうなので、ペニスをそっと抜いてあげることにしました。

「うぁ……、う」

霊夢ちゃんは口から、よだれのように精子をこぼしつつ、暫く呆然としていましたが、
やがて吐き気がこみ上げてきたのか、両手でその口を抑えます。四つん這いの格好になって、汗をだらだらと流します。
しかし、もはや逆流に逆らうこともかなわず、精子とごはんの入り混じったものをげろげろと吐き出しました。
びちゃびちゃと地面を染める黄色い胃液、そして肌にはべっとりと脂汗が浮かんでいました。
フェラに抵抗があり、イマラチオで戻すような女の子が売春をしている。これが群馬県の現実。
まあ、僕としては、この現実にたっぷりと乗りかかっていくつもりなのですが。

「ねえ、霊夢ちゃん」
「はぁ、はぁ、はっ……!!」

霊夢ちゃんはまた、胃の中に残っている物を吐き出します。口の周りはゲロまみれで、苦しさから涙まで浮かんでいます。

「霊夢ちゃん可愛いからさぁ、こっちも買いたいんだけど……」

僕は四つん這いでぜいぜいと息をしている霊夢ちゃんをよそに、そのろくに洗濯もしていない汚れパンツを剥ぎ取り、
少女の桃のような秘所を空気にさらしていました。すると霊夢ちゃんは真っ赤になって抵抗しようとします。

「……やっ、やあぁ!!」

悲しげな目をしたまま、下げられかけたパンツを抑えてしまいました。

「だ、駄目! 駄目なの!」
「はぁ?」
「こっちは、その、売り物じゃなくて……」

ぼそぼそとつぶやく。霊夢ちゃんの慌てたような顔は、歳相応の少女らしく、美しい。そして獣欲をそそられる。
そしてその霊夢ちゃんの、なんだか困ったような対応から、僕は霊夢ちゃんがひょっとすると処女なのではないかという仮説を、
現実的な可能性として理解し始めていたのです。

「うるさいなぁ」

僕は霊夢ちゃんの、パンツを戻そうとする手を払いのけ、無理矢理下着を剥ぎ取ります。
そして霊夢ちゃんの小さな腰を掴み、20cmを超えて怒張しはじめた物を、陰毛もまばらなそこにぬらぬらとこすり始めました。

「あ、ひ、嫌、いやああぁ、返して、もう止めてよぉ!!」
「フェラだけの売春婦なんて、そんなんじゃ甘いよ。中出しまでするからね」

仰向けになった霊夢ちゃんを抱きしめ、僕はその、ほとんど濡れていない割れ目の入り口に、ペニスを叩きつけ始めました。

「嫌、いや、嫌ああああぁ!!!」

霊夢ちゃんは腕の中で暴れようとしますが、こう細く枝のような四肢では、全くなんの意味もありません。
足裏のやわらかさがむしろ気持ちがいいぐらいなのです。やがて亀頭が、メリメリと小さかった膣穴に潜り込んでいきました。
ぶちりと、肉が裂ける音がして、血が流れ始めます。破瓜の血に違いありません。

「あ゛ああぁぁぁああああ゛ああぁ!!!!」

叫びます。叫びます。でもまあ、警官が来たら、袖の下で対応すれば十分でしょう。
へばりついた処女膜を破り、子宮口にまで突き進んだペニスは、膣を目いっぱいにまで押し広げています。
霊夢ちゃんの小さい膣では、ペニスの半分しか食べることができません。
悲しみからか、霊夢ちゃんはぼろぼろと涙を流し、震えながら歯を食いしばり、痛みに耐えています。

「抜いて、抜いてよぉ、こんなの、嫌あぁ!!」

僕は霊夢ちゃんに構わず、暴力的に勃起したペニスで膣の壁を引っ掻き回していきました。
その度に霊夢ちゃんはビクリビクリと痙攣します。痛みからか、快感からか、濡れ始めている所を見るに、恐らくは両方でしょう。

「くっ、ほら、出すよ!」
「い……、やぁ……っ!!」

霊夢ちゃんの膣は、意思とは無関係に精子を受け入れようと、積極的に収縮をはじめます。
それと同時に僕のペニスから、また新鮮な精液が送り出され、霊夢ちゃんの処女まんこを精子でいっぱいにしてゆきます。
子宮口に叩きつけられた精子は、ほんの小さな穴から子宮の中に流れ込んでいき、霊夢ちゃんと赤ちゃんを作るため泳ぎ始めるのでしょう。
わずかに膨らんだ胸からいって、霊夢ちゃんももう、初潮を済ませているに違いありません。

「なに、これ……、なんで……?」

霊夢ちゃんは精子でべっとりと濡れた自分の膣を見て、さめざめと泣き始めてしまいました。

「ほら、お代だよ」
「あ゛っ……」

霊夢ちゃんの膣からは、収縮の度、あふれるほどまでに精液がこぼれ続けています。
僕はその、まだ交尾の感覚の残った生暖かい膣の中に、いくばくかの謝礼をつっこんでおこうと考えました。
セックス代1000円、中出し代500円、それに堕胎費用500円を入れて、まあ2000円が相場でしょうかね。
そう思った僕は、千円札二枚だけ膣に押し込み、立ち上がります。霊夢ちゃんはまだ、毛布に顔をうずめて泣き続けています。
泣いたって中出しされた事実は変えられないのにね。

僕は思いました。そうだ、記念写真を撮ろう。
携帯電話を取り出して、泣き続ける霊夢ちゃんを撮影します。そして精液まみれの膣、汗ばんだ体。

「ほら、霊夢ちゃん」

そして僕は無理矢理、霊夢ちゃんの腕を掴み、毛布を奪い去りました。
霊夢ちゃんの顔は、精子と涙と鼻水に濡れて、それはそれははしたないものとなっているのです。

「帰ったらブログにアップしてあげるから」

尻よりも胸よりも、恐怖に歪んだ顔がなにより性欲をそそります。
僕はあまりに悲しげなその顔に向け、面白半分でシャッターを切ると、意気揚々とその場から去っていきます。
僕の背中には、いつまでもいつまでも霊夢ちゃんの泣き声が響き続けていました。



そして一週間後、群馬県から帰ろうという日に、ついでに霊夢ちゃんにも会ってみようかという考えに至りました。
まあもう一回ぶちこめればいい気分になれると思ったからです。
しかし、そこには霊夢ちゃんはいません。街中をさがしても、影一つありません。
気になって、近くの売春婦に小銭を握らせつつ聞いてみると、どうも昨日から姿を見せていないそうです。
あの後、妙な評判が立ってしまったのか、何度もレイプまがいのプレイを強要されて、精神的におかしくなってしまったのだとか。
数日前などは、自分の手首にナイフを当てる始末で、ときおり奇声を上げることもあったようです。

霊夢ちゃんはもともと神社の巫女で、この群馬でもそこそこ豊かに生活をしていたのだそうです。
しかし霊夢ちゃんの両親が群馬ザウルスに食い殺されると、神社を切り盛りするのは、霊夢ちゃん一人の仕事になってしまいました。
そののちお賽銭がなくなり神社が破産すると、霊夢ちゃんは路頭に迷い、この特別群馬街にやってきたのだそうです。
食うあてもなく、やがて売春に手を染める霊夢ちゃん。けれども、まだ幼く、没落して間もない彼女にとって、
売春生活はあまりにもつらいものであったのだそうです。
あの濁った、なにもかもに絶望した死んだ魚のような目も、この売春の厳しさによるものだったのでしょう。

だいたいの所を聞いた僕は、とうとう霊夢ちゃんに会うのを諦め、群馬中央部の駅から県外に脱出することにしました。
群馬の駅には人がいっぱいで、いずれも古典的な群馬の伝統衣装で自らを着飾っています。
人をかき分け、ホームの先頭に立つ。そして、一時間に二本しか来ない列車を、のんびりと待っていたのでした。
そうして10分、アナウンスがなります。

「二番線のホームに、電車がまいります」

その時僕は、確かに見たのです。向こう側のホームに霊夢ちゃんがいるのを、見てしまったのです。
霊夢ちゃんの瞳は泥のように濁っていて、半裸のまま、ぼろぼろの毛布をかぶっていました。声もなく、涙だけを流します。
そして、黄色い線の外側に、一思いに飛び降りました。

ものすごいスピードで走る群馬エクスプレスが、霊夢ちゃんの小さな体を、べちゃべちゃのミンチに変えてしまいます。
血しぶきはホーム中にふりそそぎ、人々は一瞬の後、人間が死んだという事実に悲鳴を上げ始めます。
しかし、霊夢ちゃんが死んだのは上り路線でのこと、下り列車は予定通り運行することでしょう。
僕は数分後にやってきた一本の列車に乗ると、群馬県の思い出と霊夢ちゃんに、別れを告げることにしました。

めでたしめでたし。

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堕胎うつほ(空/堕胎)

さとりの眉は、うつほの言葉を聞いてぴくりとだけ動いた。

「妊娠した、ですって?」
「はい! とっても元気な赤ちゃんが居るって、お医者さんが」

うつほは軽く膨らんだお腹をさすりながら、太陽のようににこやかな笑顔でそう告げた。
妊娠していたのだ。彼女ほどの美少女である、胸もスイカのように大きい。地底の男だって放っておくわけがない。
発情期になったうつほは、あっという間に地底の男とセックスして、子供を設けていたのだ。
うつほの話によれば、相手の男はそれなりに裕福で、優しくて、頭も良くて、包容力があるのだという。
のろけ気分の話であるから、ある程度誇張はあるだろうが、それでも番とするには上等のように思えた。

「そう……」

さとりは口元で笑い、しかしその両目は氷のように冷たかった。うつほは気付かず、まだまだニコニコしている。
さとりは手早く手に布を巻き、ボクシンググローブを身に着けた。真っ赤に燃える様は、まさにマントルそのものだ。
そしてゆっくりと立ち上がり、そして空に向かってファイティングポーズを取る。

「うにゅ?」

空は首を傾げる。

「さとり様、どうしてグローブなんてつけてるんですか?」
「そんなの決まってるじゃない」

さとりは軽く裏返った笑い声を出すと、丸く膨らんだうつほの腹に、強烈な右ストレートを食らわせた。

「がはっ!?」

さとりのパンチは、その細身にもかかわらず異様に強烈であった。
うつほの臓器が圧迫され、すっぱい胃液がこみ上げてくる。腹を殴られたのに頭までくらくらとして、二歩三歩とたたらを踏んだ。
しかしさとりの攻撃はとまらない。左で二、三回のジャブを食らわせると、今度は膨れた子宮を潰すように全力のアッパーを入れたのだ。
うつほの視界がぐらんぐらんと揺れる。天井のシャンデリアがまるでゆらゆらと動いている。

「ふふっ、痛いでしょう?」
「あ、がッ、ざ、ざとりさま……?」

ままならない呼吸でぱくぱくと数語だけ喋ると、こらえきれなくなって胃の中の物を嘔吐しはじめた。
うつほは口元を両手で抑える。ねっとりとした黄色が、そこに交じるご飯粒が、胃液に混じって生半可に消化された状態でこぼれてゆく。
止められない。喉を強引にこじあけるようにして進む吐瀉物で、うつほはしばし息ができなかった。うっすらと涙が浮かぶ。

「いぎぃ……あ゛があああッ!!!」

一撃、内臓がいくつか破裂したように思えた。狂ってしまいそうだった。

「あ゛っ!!! があ゛ッ!?」
「痛い? ねえ、痛い? ほら、ほらっ、痛いでしょう? どうなの、赤ちゃんが潰れていく感触は?」

そしてまた腹のど真ん中に強烈なストレートが入る。悲鳴を上げることもできない。うつほは吐瀉物で窒息しかけていたのだ。
白目をむいて倒れてしまいそうになるが、さとりの乱打がそれを許さない。ひざが笑っている。
これはなんだろう。これは、夢ではないのか。優しいさとり様がどうして。

「夢なんかじゃないわ」

次の一撃は、どれにもまして強烈である。新幹線のように速いパンチが腹に吸い込まれると、体全体がびくびくと痙攣した。
出産が始まる。早すぎる出産。膣から漏れだし、ふとももを伝って垂れてゆくのは、黄身と羊水の混じったぐちゃぐちゃの液体だ。
その中にはいくらか真っ白な卵の殻が混じっている。しかしまだ形成途上であったようで、ふにゃふにゃと柔らかい。

「交尾なんて汚らわしい」

出産の激痛はなかった。ただ粘っこい液体を子宮から排泄しているだけなのだから。
染み渡るような絶望と、内蔵をぐちゃぐちゃにされた痛みで、うつほはとうとう倒れた。どさりと無抵抗に、仰向けに倒れた。
しかしその後も、無残な出産のようななにかは、母体の意思とは無関係に続いてゆくのだ。
ミックスジュースのような生臭いそれを吐き出し終えると、こんどは出来損ないの胎児を、膣から一つづつ、糞のように嘔吐する。
まだ何の生き物かもわからないような赤い肉塊が、ビーフシチューのようなねっとりとした血液をまとい、ぴくりと蠢く。

「あ、あがちゃん、わだじのぉ、わだじのおおお……!!」

胎児を吐き出す痛みがうつほを覚醒させたのだろう。しばらくぜいぜいと息をしていた空は、白黒の床を這う。
そして、なんとか手を伸ばし、自らの産んだ胎児を触ろうとした。しかし、うつほがその肉塊を視界に入れた瞬間、さとり足があった。
さとりはその生肉のような胎児を踏みつぶしていた。彼女にとってそれは、道端の雑草のように無価値な代物だったのだろう。

「あ゛、あっ、あ゛っ……」

うつほは口をぽかんと開けたまま、痙攣するような泣き声をあげ、だらだらと涙を流していた。
ほんのわずかな間だけ、抱いてあげることすら出来なかった。さとりが足をどける。そこにはぬちゃりとしたミンチ肉しかなかった。

「私の可愛いペットは、恋愛や交尾になんて汚い物に興味を持ってはいけないのよ」

そしてさとりはくすりと笑った。うつほの肩ががくがくと震える。
そのいやに優しい笑顔が、今ばかりは悪魔のそれに見えた。

「いい? もう交尾なんてしないって、約束できる?」
「あ、う゛あぁぁ……」

こんなの、やだ。こんなのさとり様じゃない。こんなの嘘。
やだやだやだやだやだ……。うつほの頭に、数日前までの幸せな展望が浮かんできた。
うつほの体はびっしょりと冷や汗をかき、体はなぜか、氷水に浸っているかのように冷えきっている。

「あなたの"彼"は始末して、ドブネズミのごはんにするわ。それで構わないわね?」
「う……」

うつほの頭には恐怖しかなかった。ただ、この苦しみから抜けだして、もとの世界に戻ってしまいたかった。
そして一度だけ、鼻水とよだれと涙だらけの顔で、緩慢に一度だけうないずいたのであった。
もうさとり様には逆らいません。私はさとり様のペットです。さとり様が喜ぶことだけをします。
頭の中にはそれだけがぐるぐると渦巻いていた。

そうしてうつほはもとの生活に戻った。さとりは昔のように優しく、お燐も他のペットたちも以前と全く変わらなかった。
それなのに心の傷はいつまでも癒えず、自傷行為を何度も繰り返し、やがて発狂して地底の業火へと自ら飛び込んでいった。

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アリス工場(アリス/グロ)

『産廃創想話例大祭』参加作品



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そこはただ無機質な鉄と、規則的な機械音だけで作り上げられた、非人間的な空間であった。
なぜ、私はこんなところにいるのだろう。アリスは辺りを見回しながら自問自答する。
ここ数時間の記憶が、アリスの脳みそから欠落していた。記憶が正しければ、つい先程まで魔理沙の家への道を歩いていたはずだ。
それが何故、こんな所に居るのだろう。少なくとも夢でないことは確かであった。

「それにしても、なんだか不気味な所ね」

この工場のごうごうという巨大な換気扇の音は、幻想郷に入れば殆ど聞くこともない。頭が痛くなった。
おそらく、その自然とかけ離れたリズムが、魔法使いであるアリスにとって耐えがたい苦痛なのだろう。
一刻も早く抜け出して外の空気を吸わなければ、今にもおかしくなってしまいそうだ。

「まったく、どういう異変よこれは……」

アリスは頭を抱える。なぜだか動悸が止まらない。心臓がバクバクと鳴っている。
鈍色の壁、わんわんと響く機械のエンジン音、タイル張りの床がこの上なく不快なのだ。
何か呪いでもかけられているかのようだ。こめかみの2cm上が針でつつかれるように痛かった。
アリスは頭を抱えながらたまらずうずくまった。そして膝をタイルにつき、はぁと息をついた。
すると突然に天井から、無機質な機械音声が彼女を呼びかけてきたのだ。

「アリス・マーガトロイド様、アリス製造工場へようこそいらっしゃいました」

アリスは驚き辺りを見回すが、そこにはアリス以外誰もいなかった。
機械音声なのだから当然であるが、幻想妖怪のアリスにとって、一人でに声を発するカラクリなど縁遠い品だったのである。

「な、なに? 誰かいるなら、姿を見せて……、それにアリス製造工場って」

しかし、機械音声はアリスの声に応答しなかった。決まりきったことを繰り返す、レコーダーのような存在らしい。

「工場見学ツアーが始まります。そこのコースターに腰をお掛け下さい」
「無視しないでよ……」

不安がるアリスをよそに、部屋の中央部の地面がだんだんと開いて、そこから屋根のない四人乗りの車のようなものが現れた。
その車にはハンドルがない。自ら操縦するものではなく、あくまで自動で進んでゆくもののようだった。
勝手がわからないアリスは、しばし警戒しながらそれを観察し、なかなか席に着こうとしない。
なにせ突然連れてこられた場所である。警戒しないほうがおかしいのだ。
あたりを調べて、他に出口はないか探してみることも忘れなかった。
しかしそこには、換気扇を除いて出入りできるような場所はない。

「やっぱり、乗らないなら外には出さないというつもりなのかしら?」

もちろん機械音声は答えない。アリスはその沈黙を、ある種の無言の圧力だと判断した。
アリスはため息をつき、とうとう観念して車の方へと近づいていく。イスはプラスチックで、座るとお尻が冷たそうだった。
ちょこんと腰をかけたアリスは、また辺りを伺う。

「ほら、座ったわよ。これで……って、きゃあああ!!」

椅子の上の重量を感知したのか、車はアリスをシートベルトでがんじがらめにした。

「な、何、なによ、離して!!」

右肩から左尻、左肩から右尻へと、二重に備える厳重さである。パニックになったアリスはシートベルトを引き剥がそうとする。
しかし引っ張ると縄のように固くて、自力では脱出できそうにない。魔法のたぐいも効果がないようであった。
そうしてアリスがシートベルトと戯れていると、床には淡い光とともに、緑に光る線路のようなものが浮かんだ。
車はその線路に沿うように、ゆっくりと走り出す。線路に合わせてがたんごとんと揺れ、アリスも多少揺さぶられた。

「そっか、紐で縛るのは落ちないためなのね」

アリスはシートベルトにやましい理由がないと分かると、ほっと息をつき、ひとり納得する。
そして車はのんびりと部屋を一周した後、急に方向を変え何もない壁へと走行を始めた。
車のスピードもだんだんと上がり、駆け足程度から、やがて自転車に匹敵するぐらいにまで加速していた。
それでも車は進行方向を変えず、まるでそこに道があるかのような勢いで突き進んでゆく。アリスの顔がひきつった。

「きゃ、ぶ、ぶつかっちゃうわよ! ちょ、下ろして!」

暴れるアリスは、しかしシートベルトに捉えられていた。たまらずアリスは、頭を守るようにぎゅっと身をかがめる。
しかし、正面にあった壁は、車に反応してまるで扉のように横に開いてしまった。もともと激突などしないつくりなのである。
アリスはそのカリスマガードのような姿勢のまま、しばし衝撃に備えていたが、やがて聞こえてくる機械音声で、漸く我に返った。

「こちらは、アリス生産施設になります。当工場で育てられるアリスは、100%自家生産となっており、外国産は使用しておりません」
「へ……、あ、なんだ。大丈夫なのね」

アリスはゆっくりと顔をあげる。激突しないということが、漸くアリスにも分かったらしい。なんだか恥ずかしくなった。
いきなりかがんだせいもあって、髪の毛はくしゃくしゃだ。乙女の身だしなみとして、思わず整える。
しかし、車の外に見える光景を見て、アリスの手は凍りつくように止まってしまった。

「5年ほど培養液で育てられたアリスは、すぐにこちらの檻へ入れられます」
「な、何これ……、何の冗談よ……」

線路の両側には、山のような檻が設置されていた。そこにいるのはアリス・マーガトロイドそっくりの生き物たちだ。
いや、実際あれらはアリス・マーガトロイドなのかもしれない。少なくとも外から見る限りで、アリスと彼女たちは全く同じである。
同じ青い瞳、同じ金色の髪、いくらか幼い個体もいるが、半分ほどはアリスとちょうど同じ年齢に見えた。
それらは全て裸であった。シンボルマークであるカチューシャはあったが、下着すら着ることもなく、それを恥じる様子もなかった。
そうしてアリスがあっけにとられていると、突然部屋中にブザーが鳴り響きはじめる。

「食事だ!」

一斉に現れた看守たちが、アリスたちに食料を与えてゆく。看守たちは鉄でできたカラクリ人形、いわゆるロボットである。
人型をしたそれらは、関節をギシギシと鳴らしながら、広いこの生産施設を走り回っていた。
檻の床に設置された餌皿には、何かの肉と内臓の混ざったものが盛りつけられていく。
肉は調理されるどころか、火さえ通されていない。まさに動物の食事であった。その生臭い匂いは車の上のアリスの所にまで漂ってくる。
まるで先ほどまで生きていたかのような生々しい色の肉、新鮮な血液までこびりついていた。
アリスたちは、そんなグロテスクな何かを、地面に這いつくばって、犬のように腹に収めてゆく。
遠目に見たら、犬か何かに見間違えるかもしれない。魔法使いとしての尊厳がふみにじられるような眺めであった。
そんな光景をよそに、車はどんどんと線路を進む。檻の中のアリスは、車の中のアリスに視線を向けることさえしなかった。
純粋に興味がなかったのだろうか。あるいは反応することを禁じられているのだろうか。
もっともアリスの方も、檻の中にいる者たちに声をかけるのは恐ろしく、ただ黙ってやり過ごそうとしていたのだが。

「何なのかしら、これって……」

アリスのようなものたちが大量に育てられている。それは、機械音声の説明からも明らかなことであった。
しかし、どうしてそんなことをする必要があるのか、考えても見当がつかなかった。
アリスが理解できるのはただ一つ、この工場を作った人間が、この上ないぐらい悪趣味だということだけだ。
そして、車で暫く進むと、今度は檻ではなく、教室のようなものが見えてきた。

「これは……、寺子屋?」

その部屋の前後には黒板があり、前方にはロボット型の看守が教師としてついている。
教室のような部屋に、机が50個ほど並べられていた。そこに座ったアリスたちは、思い思いに本を読み、勉学に励んでいる。
突然の光景の変化に困惑するアリスであったが、機械音声がまた喋りだして、ようやくこの場所の役割が理解できた。

「ここは学校です。アリス・マーガトロイドとしてふさわしい知識・思考・仕草を身につけるための機関です」
「何よそれ、訳が分からないわ……」
「アリスとしてより相応しい個体が抽出され、そうでない個体は別の工程へ向かいます」
「そんな事して何になるっていうのよ……」

理解できても、目的は不明である。収まりつつあった頭痛が、ここに来てまた酷くなってしまったような気がする。
アリス・マーガトロイドという魔法使いは唯一自分だけ。このようなコピーを作って、どうするつもりなのか。
不気味だった。得体のしれない何かを感じた。こんな不毛な行為をするのは、どんな奴なんだろう。
それとも、アリスには分からない、何か崇高な目的があるのだろうか。

「この学校でアリスの選別を進め、もっとも優れた、かつアリスらしいアリスを探しだすのです」

アリスが教室の様子を、こわばった顔つきで見ていると、そこに突然新たな看守が現れ、一部のアリスたちを連行し始めた。
その看守の手には銃器が握られており、それを水平方向に構えている。有無を言わさない様子だ。
アリスたちの顔は青ざめ、泣き叫んでいるようにも見える。看守に腕を掴まれて、失禁している個体もいた。
アリスはなんだか嫌な気分になった。自分、いや自分のようなものが乱暴な扱いをされて、気分が良いわけがないのだ。
何よりあの光景を見ていると、アリス自身の体から血の気が引いて、震えてしまいそうになる。
胃液がこみ上げてきて、思わず教室から目をそらす。アリスには、これ以上耐えられなかったのだ。
そんな様子を察知してか、車はまた速度を上げる。そしてそのまま、教室を抜けて通路へと入っていった。
車一台が通れるだけの狭い通路である。真っ暗な場所であったが、異様な光景から離れたアリスは、漸く一息つくことができた。

「おつかれさまでした。以上で生産施設の見学は終了です」
「ふぅ……何なのよ、一体……」

アリスは額を汗で拭う。そうしてやっと、アリスは自分が異様に汗ばんで居ることを知った。
全身の神経がいやに張り詰めているのは、非現実的な光景への拒否反応だろうか、それとも。
アリスは服の襟をつかんで、ぱたぱたとあおいだ。汗で張り付く服が、なんだか不快だったからだ。
なんだか落ち着かないようで、暗闇の中をきょろきょろと見回す。
しかし、暗闇の通路には案内板一つなく、ただただ機能的なトンネルであった。この先に何が待つかは分からない。
衝動的に帰りたくなって、またシートベルトを外そうとした。
だが、外すための場所は見当たらない、自らの意思では解除できないことを確認しただけに終わった。
そうしているうちに、機械音声はまた、施設について口を開き始める。

「次は、処分施設です。規格外のアリスを加工処分する施設になります」
「処分、ですって……?」

トンネルの向こうに光が見える。嫌な予感がした。
人型の生き物を扱う施設で、処分という単語が出てくること自体、正気の沙汰ではなかった。

「主な転用先は食用ですが、時期次第ではインテリア用の剥製などにも加工されます。一部は工場維持のため、愛玩動物として内密に取引されます」

次の施設は、今までのものとは比べ物にならないほどの、悪趣味な施設だ。アリスの体がこわばる。
しかし車は進んでゆく。アリスが乗っている乗り物は、アリスでない者の意思によって進んでいる。
通路を抜けた。アリスは目をつむり、眼の前に広がる現実から逃げようとする。
だが、工場の真実は、まずその無防備な両耳に容赦無く飛び込んできたのであった。

「い゛やあああ゛あぁぁあああ!!!!」

その一声で全身が凍りつくには十分である。命を奪われ、すり潰される瞬間の悲鳴であった。
悲鳴というものは生き物を耐え難い緊張下に陥れる。悲鳴ある所に、死は満ちているのだ。

「私の、わた、わた、し、の手、て、手があああああ!!!」
「ぎゃああああ゛ああぁ、いたい、痛いいたい、いたいいたい!!!!」
「あ、ゆ、許して、許して……」

アリスたちの叫び声、この世で最も聞き慣れている声で、断末魔が上がっている。
その音を聞くだけで、目を瞑るアリスの目の前に、屠殺場のグロテスクな光景が広がっていくようだ。
アリスの体は不調に耐え切れず、体の中のものを吐き出そうとする。
自らの口をおさえ、一瞬だけ我慢しようとしたが、体の反応はもはや抑えきれなかった。
発作のように喉がびくびくと蠢き、胃液がこみ上げてくる。そして指の間から、生ぬるい液体がこぼれた。
食パンと卵とハムがぐちゃぐちゃに混ざり合った液体を、ぼろぼろとこぼしてゆく。アリスの瞳に涙が浮かんできた。
そしてアリスのスカートは、吐瀉物にまみれて汚れてしまった。

「うっ……、はぁ、はぁ、はあぁ……」

呼吸を吐瀉物に押しとどめられ、足りなくなった酸素を必死でかき集める。
アリスの口にはすっぱい味が広がり、頭痛もひどく、そして全身に寒気がはしる。病気にかかってしまったかのような最低の気分だった。
そしてそんな弱ったアリスにも、死にゆく失敗作の叫びが、糊のように張り付いてくる。全身が震え始めた。
アリスにはとても耐えられない場所。

「あ……」

機械音声は無慈悲に解説を加える。

「身長・体重・体格・仕草・知識・性格などの面で、アリス・マーガトロイドと認められない個体は、ここで処理されます」
「や、やだ、やだ、やめてよぉ……」

肉を引き裂く音、血が飛び散る音、内臓はぐちゃりぐちゃりと引き出される音がする。
アリスの心臓は、滝のように血液を送り出していた。全身から冷や汗が出て、呼吸が異様に乱れてくる。
悲鳴を聞く度に全身に鳥肌が立ち、シートベルトを引きちぎってでも、逃げ出してしまいたくなった。
もっとも、それはどうしても叶わないことなのだ。アリスの一挙手一投足は、全てアリスの自由にない。
アリスに出来るのは、ただ子供のように目をつむって、嵐が通り過ぎるのを待つことだけだ。

「処分対象のアリスの多くは、ここで食肉加工され、出荷されることはありません。こうして、アリスブランドは守られるのです」
「嫌、いや、いやいやいや……」
「このように山のような出来損ないを処分することで、今の可愛いアリスが維持されているのです」

肉がぐちゃぐちゃとかき混ぜられる。そしてまたアリスが一匹、死にゆく声を聞いてしまった。
しかしその非日常の声は、実際のところアリスが育った場所では、ありふれたものではなかったか。
アリスの記憶が引き摺り出されてゆく。幻想郷で暮らす、美人でおすましな人形遣いには不要な記憶であった。
そのような封がなされた不純物を、この工場見学が無理矢理かき出そうとするのだ。

「止めて……」

アリスの歯がかちかちと鳴る。アリスは魔界からやってきた魔法使いの少女ではないのか。

「このような品質の維持向上により、ブランド価値はますます増しており、今年の人気投票では2位という快挙を成し遂げ……」
「あ、あ、あ……、お、母さん……」

そうつぶやいた瞬間、突然左の方向から液体が浴びせられた。鉄のように生臭い。
目をつむっていても分かるその生ぬるい感触は、明らかに哺乳類の血液であった。

「ひあぁ!!」

アリスは驚いて、危険を回避するために、本能的に目を開けてしまった。そして見た。視線の先には血液の主が居た。
それはアリスから見ても、可愛らしいアリスであった。手術台のようなものに乗せられている。ほどよく膨らんだ胸、なめらかな顔の輪郭。
しかしそのアリスには、既に両腕がなかった。両足もない。いわゆるダルマ状態のまま、機械にいたぶられていた。
手足はチェーンソーのような刃を持つ機械で切り落とされたようで、全てベルトコンベアで運ばれている。
恐らくあれらはアリスの餌となるのだ。
そしてそのチェーンソーは、丁度アリスの腹を引き裂いている最中であった。

「あ゛、あ、あ……?」

蚊の泣くような悲鳴は、もはやそのアリスが長くないことを示している。
芋虫のような体をぴくりぴくりと震わせて、それは毛虫のような抵抗を見せる。しかし、なんら実質的意味はなかった。
そうして裂かれた腹に、今度は腕のように太いホースのようなものが挿入されてゆく。
そして数秒、そのアリスの体はいきなり痙攣するように跳ねた。

「あ゛……ああ゛あぁぁああ!!」

ずるずると内蔵が吸い出されてゆく。ホースの透明な管に、そのアリスの腸や膀胱などが、一緒くたになって登ってゆく。
生きるために必要な物が、取り出される度に、アリスの抵抗は弱くなりやがてほとんど動かなくなった。
そして、二人のアリスの視線が交わった。

「あ……」

死にゆくアリスの瞳には、外へ出れなかった無念と後悔だけが、涙となって浮かんでいる。
その死に様が、アリスの精神の奥底に封じられた、封じられた記憶を引きずり出す。
いつの日か、アリスは檻の中から外を眺めていた。
そして、看守に引き摺り出されるアリスの姿は、かつて自分が目撃した光景、そのものではなかったか。
アリスは、培養液で生育され、檻に閉じ込められ、ただ死にたくないばかりにアリス・マーガトロイドになろうとした人形だ。
主犯は誰だったのか。
生まれてからの記憶と、幻想郷での記憶が交じり合い、絡まって、爆発した。

「私は……」

内蔵を引き出されたアリスにはもう息はなかった。切断用チェーンソーは、アリスの首へと向かい、細い根本を切り落とす。
首の切断面が、ぴちゃりと水音を立てて血を垂らしたが、もうほとんど血液も無いのか、その流れはすぐに止まった。
そして尻が切り離され、次に腹の肉が切除される。残った上半身からはまず胸肉がはぎとられ、残りもすぐに解体された。
それぞれの部位は別のベルトコンベアへと仕分けられ、工場生産品のように分類されてゆく。
唯一アリスとしての雰囲気を残していた生首は、他のアリスの生首と纏められ、巨大なミキサーでぐちゃぐちゃのミンチにされてしまった。
アリスは殆ど生気の無い瞳で、その非人道的な一部始終を眺めていた。
唇が震えている。あれにはなりたくない。あれにならないために頑張って、アリス・マーガトロイドになれた。
なのに何故か、この忌まわしい工場に戻らされてしまった。
血なまぐさい臭いを吐き捨てるため、ごうごうと換気扇が働いている。そして、アリスの肉を運搬する、規則的なコンベアの駆動音。
アリスが嫌悪感を感じていたのは、機械の音ではなく、その奥にあった忌まわしい記憶だったのである。

「私は、私はアリスよ、私だけが……」

ぼんやりと一人口に出す。そしてアリスはそのまま白目をむいて気絶してしまった。

気絶したアリスは、一つの夢を見ていた。
森の中に建てられた小洒落た家で、アリス・マーガトロイドは人形を焼き、それを組み立てる。
そしてアリスの周りには、霊夢や魔理沙、そして様々な人妖が楽しそうに飛び交っている。走馬灯のように駆け抜ける光景たちだ。
アリスは心の中で思案する。あの思い出は、決して偽りなどではない。そこにはままごとではない、人間の息遣いがあった。
だが、結局その経験は、借り物の人格の上に建てられた、砂上の楼閣のようなものである。
アリスは、このアリスという生き物の一生はこれで終わるのだ。無慈悲に、理不尽に。

そして、どれほどの時間が経ったのだろう。アリスは夢から覚め、うっすらと目を開ける。
視界は暫くの間ぼんやりとしていて、なかなか一つの像を結ばなかったが、何度か瞬きをしているうちに、だんだんとはっきりしてきた。
青い髪、チェリーのような髪留めと、特徴的なサイドテールだ。

「お母さん……?」
「あたり」

神綺は、ぼんやりと空を舞うアリスの視線を、にこりと笑って受け止めた。

「おかえりなさい。私の創造物」

アリスの体は未だシートベルトに締め付けられている。新鮮な血で濡れたそれは、アリスが体をよじると、ぎしりぎしりと音を立てた。
車の側面に立つ神綺は、そんなアリスの顔を覗きこむ。アリスからは血糊が消えていた。帰ってきた娘のために、死に化粧を整えたのだ。
あまりにも残酷な創造主にも、やはり作ったものへの愛情というものが備わっていたようだ。

「お母さん、悪い冗談は止めて」
「冗談なんかじゃないわ。アリスちゃん、競争の激しいWin版であなたを一端のキャラクターにするには、これしかなかったのよ」

神綺は腕を広げて、まるでバレリーナのようにくるくると踊る。

「ただ創るだけじゃいけない。アリス・マーガトロイドは、日々進化して、ますます可愛くなっていくのよ」

くるりくるり。アリスは目を回しそうになった。

「心ないSSやイラストでアリスちゃんが死ぬこともある。常に新しいアリスちゃんを供給する必要があったの」
「そ、そのために、この工場を……?」
「そう! 今ごろ、あなたよりもっと可愛らしいアリスが、アリス・マーガトロイドをやっているわよ!」

神綺が指差す先には、42型の薄型液晶ディスプレイが備え付けられていた。

「ほら、見てみなさい」
「あぁぁ……」

アリスの頭がぐらんぐらんと揺れる。アリスの小さな両肩が小刻みに震え始めた。
そこにはアリスがいたのだ。そのアリスが何事もなかったかのように、魔理沙とのお茶会を楽しんでいる。
そのアリスは、前のアリスより少し童顔で、人形のように儚く、そして何より猫のように愛くるしかった。
立ち振る舞いもよっぽど洗練されていて、比べ物にならない。

「あの子は10年に1度の逸材よ。きっと人気投票1位を奪い取ってきてくれる」

自分がいるべき場所、自分が守ってきた席をあっさりと他のアリスに奪われる。
魔理沙も、同席していた霊夢も誰も気づかない。胸にぽっかりと穴があいてしまったような気分だった。
アリスは、アリス・マーガトロイドというキャラクターを構成する部品の一つにすぎないのだ。

「それじゃあ、私は用済み? お母さん、ねえ、私はどうなるの……!?」
「ごめんなさい。不要なアリスは処分するわ。……本当にごめん。これもアリスちゃんの為なのよ」
「そんな! 私は、処分なんてされたくない! 嫌、帰して! 私を幻想郷に帰してよぉお!!」
「許してアリスちゃん。あなたが死んでも、アリス・マーガトロイドという概念は永久に不滅よ」

アリスは何とかして逃げようと、じたばたと体を動かす。
しかし車に備え付けられたシートベルトがそれを許さなかった。シートベルトは安全のためでなく、アリスを逃さないためにあったのだ。
神綺の手には一つのカプセルが握られている。ほんの粒のようなそれは、半分が赤で、半分が白。楕円形のそれ。
アリスにそれを飲ませようと、その真っ白な指が近づいてくる。爪は血のように赤く塗られていた。

「い、嫌」

あれは危険だと、本能的に悟った。あれを飲んではいけない。

「飲みなさい。アリスちゃん」
「嫌よ……」
「飲みなさい」
「……いや」
「大丈夫だから。ね」
「やだ。絶対に飲まない……」

神綺はにこりと笑う。アリスは歯を食いしばって唇を締め、いつまででも反抗する構えだ。

「ほら、私の目を見て」

アリスは神綺の瞳を睨みつけた。するとアリスの頭がぼうっと暖かくなって、全身の力がだんだんと抜け始めた。
抗いきれないめまいのような感覚、全身の筋肉がだんだんとほぐれ、弱まってゆくのが分かる。
そしてアリスの口がぽかんと空いた。神綺はアリスの口に指をつっこみ、奥歯の間にカプセルを置くと、顎に手を添えそれを噛ませた。
全身がしびれるような、不思議な感じがした。すうっと意識を刈り取られてゆくような感じがした。
アリスはそんなまどろみに体を委ねながら、やってくるであろう己の運命を悟ったのである。

「ねえ、お母さん」
「何、アリスちゃん」
「私って、何だったの……? 何のために、生きてきたの……?」
「あなたは大事な、いえ一番大切な私のお人形、私の最高傑作よ。あなたは私のアリスをより完璧にしてくれた」

その返答を聞き終えることはできたのだろうか。睡眠薬が体全体に回り、アリスは深い眠りに落ちていった。
全ての緊張が解けたような安心した表情で、すうすうと寝息を立てている。神綺はそんなアリスの腕に一本の注射針を向けた。
筋弛緩剤と呼ばれる藥品が、その中に漂っている。筋肉の動きを停止させ、臓器を止め、死に至らせるための液体だ。
このような毒薬で殺すことは、アリス・マーガトロイドとして頑張った彼女への、神綺なりの報奨なのであろうか。
少なくとも、生きたまま解体されて食肉となるよりは楽な死に方だった。
針の先がアリスの体に潜り、そして液体が血管に注入されてゆく。そうして数分、アリスはただ眠り続けていた。
だんだんと呼吸が弱まり、体の動きもなくなる。そして、最後の息が吐き出される。
こうして、アリスの心臓が止まった。

アリスは、今までに幻想郷で生きていたアリスたちと同様に、工場裏の共同墓地に埋葬された。

「なんか、今日のアリス雰囲気が違うな」
「そう?」
「なんていうか、全体的に大人びてて、その、綺麗というか」
「あら、お世辞なんていっても何も出ないわよ」

次のアリスがこの墓地へとやってくるのは、数ヶ月後か、数年後か、はたまた数日後のことなのだろうか

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アリス・マーガトロイドの大脱出マジック!!!(アリス/事故)

「く、くそ、開かないぞ?」

魔理沙は、この日のために建てられた茶色い木造倉庫の扉に、必死になってかじりついていた。ふたたび、鍵穴にはりがねを差し込む。
かちゃかちゃと音が鳴るが、肝心の手応えはない。何度も何度もリハーサルを行ったにもかかわらず、全く鍵が開かないのだ。
このままではまずい。制限時間はあと5分しかない。魔理沙の手の平はじっとりとした嫌な汗で濡れている。
その木造倉庫から10メートルほど離れた場所では、そんな事態も知らず、司会である文と椛がマイクを握っていた。

「爆発まで後、5分ほどになりました……、魔理沙さんは本当にアリスさんを助けられるんでしょうか?」
「分かりません。倉庫の鍵は物凄く厳重ですから」

河童たちが撮影器具を持って、倉庫の周りを忙しく走りまわっている。メインカメラが文の緊張した面持ちを映しだした。
文々。TV初の生放送であり、脱出マジックの放映としても初めてである。この企画の成否には、放送事業の行く末がかかっているのだ。
汗ばんだ文の硬い表情も、震えるようなその声も、いたって当然のことだった。

「なにせ、木造の倉庫には、5重の鍵がかけられていて、簡単には侵入できません! そして中には入れたとしても、
 アリスさんを助けるには、厳重な縄をほどき、3つの手錠、4つの足かせを解除しなくてはならないのです!」
「でも文さん、魔理沙さんもアリスさんも魔法を使えますよね。魔法を使えば脱出は簡単なのでは?」
「それは不可能です。お二方には、博麗神社提供の魔法禁止の御札が貼られています。ほんの数ミリ、空をとぶことさえできません」
「なるほど。純粋に、開錠の速さが問われるんですね」
「ええ。さあ、幻想郷初の大脱出マジック、果たして本当に成功するのでしょうか!」

2人のコメントで、魔理沙は余計に焦る。5個の鍵のうち、解除できたのはたったの2個だ。
脱出マジックが始まって1分半、残り時間は4分半、倉庫から離れる時間も考えると、かなり厳しいペースであった。
3つ目にかけられていた南京錠を、外して地面にかなぐり捨てる。

「落ち着け、私……」

リハーサルでは、最初の数回を除いて何度も成功してきた。直近の10回は全て成功している。
そして鍵の解除練習は、その何倍もやってきたはずだった。それなのに何故、本番では上手くいかないのだろうか。
魔理沙は汗ばんだ手を、エプロンドレスの裾にぬぐった。手元がぬめって、針金をつまめないほどになっていたのだ。
そして深く深呼吸をする。バクバクと踊る心臓をなんとか鎮めようとする。落ち着いてやれば、こんなもの簡単なはずだ。
魔理沙はふたたび解錠にとりかかる。すると、今度はスムーズに開けることができた。
さらに扉の最後の鍵も、流れるように外し、そうして第一関門である倉庫の扉を、やっとのことで開けたのである。

「よっしゃ!」

魔理沙は思い切り扉を開けると、全速力で飛び込んだ。

「おおっ! 魔理沙さんが第一関門を突破しましたよ!」
「でも、少し遅いようです……」
「あと爆破まで3分半です。確かに、少し遅れているかもしれません。それでも魔理沙さんなら、やってくれるはずです!」

そのような解説を背に、魔理沙はアリスの座る椅子の前に座った。アリスは泣き笑いになっている。
このマジックには、何のトリックもない。鍵を外してもらえなければ、椅子の爆弾が爆発してしまうのだ。

「遅かったじゃない魔理沙ぁ……、私、ほんとにこわくて……っ!」
「ごめんな、ちょっと手間取っちまった」

アリスの手錠と足かせは、椅子にがっちり括りつけられている。さらにイス自体も地面に固定され、少女の力では動かせない。
つまり、アリスが脱出するためには、魔理沙に鍵を解いてもらうしかない。そしてアリスに出来るのは見守ることだけだ。
魔理沙はスムーズな手つきで足かせの鍵を外してゆく。一個、二個、三個、四個、流れるような手つきであった。
そして四つの鍵を外すと、漸くアリスの足が自由になる。アリスもやっと、安心したような顔を見せた。
魔理沙は袖で、額の汗を拭う。まだ気は抜けない。手錠を外し、時間を見計らって、逃げなければいけない。
魔理沙はしゃがんだまま3歩あるいて、椅子の裏に回った。そしてアリスの手錠を手にとった。時間はまだ二分半もある。

「このペースなら、なんとか大丈夫よね」
「ああ、楽勝だぜ!」

魔理沙はにっこり笑う。2分半もあれば、一つの鍵で30秒使ったとしても、余裕を持って脱出できる。
歩いて脱出しても間に合うぐらいだ。むしろスリルがなくて、番組的に困るぐらいかもしれない。
魔理沙は細い針金を、そっと鍵穴に差し込んでいった。

「あれ?」

最初は違和感から始まった。鍵穴の感触が少し違うような気がしたのだ。しかし、気のせいだろうと、魔理沙は思い直した。
魔理沙は針金をかちゃかちゃといじりはじめた。そのまま無言で作業をすすめる。
そしてその金属が触れ合う音は、一秒ごとに大きく、細かく、やがて焦りを含んだものになった。
魔理沙は無言だ。べたついた手をまた裾で拭う。そして再び鍵穴をいじる。開けなれたはずの、鍵が開かない。
何も喋らない魔理沙に、アリスは不安を感じ、首を捻って後ろを振り返った。

「魔理沙、大丈夫よね?」
「あ、ええと……それは」

魔理沙の声には明らかな焦りが含まれていた。

「アリス、落ち着いて聞いてくれ……、この手錠、リハーサルの時と違うんだ。同じやり方じゃ開けられない」
「……へ? そんな、なんでよ?」
「分からない。何かの手違いかな」
「やだぁ、大丈夫よね」
「大丈夫、だと思う……」

アリスもそれ以上、言葉を紡ぐことができなかった。魔理沙はふたたび、未知の錠前に挑み始める。
この種の鍵には、ある程度共通した形式がある。だから、見たことのない鍵でも、経験を応用すれば開けられるはずだ。
問題は、あと2分しかない残り時間で、錠前の差異を掴んで解除することができるかということである。
初めての脱出マジックの放送に、文も椛も、幻想郷中の視聴者たちもドキドキしているだろう。
しかし、このマジックで一番肝を冷やしているのはこの2人、特に命がかかっているアリスであった。

「魔理沙、早くしてよ、こ、このままじゃ、私達、まずいわよね」
「……分かってるよ」
「じゃあ早く、早くしてぇ、怖い、怖いよ、ああ、お母さん……」

時間が進む旅、アリスは早口になった。額には汗の玉がうかび、頬は焦りからか真っ赤に染まっている。

「魔理沙、まだなの? ねえ、早く、早くして、もう私、限界なのぉ」
「おい」

魔理沙は苛々したような声を出した。魔理沙も焦りはじめているのだ。

「ちょっと黙っててくれよ。集中できない」
「……うん」

その声で、漸くアリスの声は止まった。代わりにびくびくと震えながら、うっすらと涙を流し始めた。全身が汗で冷え切っている。
真っ白なドロワースだけでなく、その上のスカートやブラウスにかけてまで、べったりと汗で濡れ始めていた。
魔理沙も魔理沙で、焦りは相当のものだ。まだ最初の鍵さえ外せていない。手元はぷるぷると震えている。残り時間は1分。

「お、よし! 一個開けた!」

そうして奮闘した成果か、手錠の3つの鍵のうち、1つを外すことができた。あとは二つだけ。二つ外せば外に出られる。
最初の一個に時間を賭けたが、後の二つは同じようにやれば良い。なんとか、間に合わせられる。
すぐさま次の鍵穴を外そうとする。15秒ほどで外れた。残り45秒。

「アリス、もう大丈夫だ」
「ほ、ほんと……?」

アリスは、ずっと椅子に座っていたにもかかわらず、極度の緊張で疲労しきっていた。

「ぐす、もう、一生脱出マジックなんてやらないんだから……」

脱力したアリスは、そんな本音ほぼそりとつぶやいた。
そして魔理沙は最後の鍵穴にとりかかる。2つ目の穴と何度は同じ、だから、何の問題もない。
魔理沙はそう思っていたし、それは理屈の上から言っても正しいことであった。

「あっ!!」
「な。なに!? どうしたの!?」
「折れた……」

最後の最後で、突然、魔理沙の針金が折れた。何度も何度も使って、手に馴染んだ針金であった。
しかし本番に入って、焦りから少々酷使しすぎたのだろう。真ん中の部分が限界になって、ぽきんと情けなく折れてしまったのだ。
魔理沙はすぐさま予備の針金を取り出そうとする。しかし、無い無い、魔理沙はどのポケットに針金を入れたのか、忘れていた。

「あああ、まずい、まずい……」

魔理沙は狂ったようにポケットを探る。魔理沙のエプロンドレスには、幾つものポケットがあった。
そのどこかにあるわけだが、どこにあるかが分からない。焦りさえなければ、5秒でみつかるはずの針金だった。
やっとのことで、スカートのポケットから取り出す。魔理沙は倉庫の時計を見る。残りはわずか25秒しかない。
アリスはがたがたと震えはじめた。あと25秒で脱出できなければ、死ぬ。背筋がぞっとして、全身の毛が逆立った。
また見れば、もう23秒しかない。

「あ、あ、あ、魔理沙、まりさ!! ひゃ、早く、はやく!」
「わ、分かってるよぉ、わかってるのに……っ!!」

アリスが叫ぶ。魔理沙は必死で鍵を開けようとする。しかし、手元が震えて、解錠どころではない。
魔理沙とて、このような死に直面して、冷静でいられるほど図太くはなかった。結局2人共、根っこはただの女の子なのだ。
あと20秒。時計の針の音が、心臓に響いてくる。
かちり、19。
かちり、18。
かちり、17。
かちり、16。
かちり、そうして、魔理沙の心は折れた。

「アリス、ごめん!!」
「えっ……!」

魔理沙は解錠を投げ出し、倉庫から飛び出していった。全力疾走だった。爆薬の火力はすさまじく、5メートルは離れないと危険だ。

「ま、まり、冗談よね……? あ、ああ、あぅ……う、嘘、嘘よ、こんなの嘘よお゛お!!!」

アリスは泣き叫んだ。じょろじょろと小水を漏らしながら、なんとか逃げようと暴れ始めた。両足をばたつかせ、狂乱して体をねじる。
しかし、アリスの両手は手錠でがっちりと固定されており、イスから決して離れない。魔法も使えないアリスが逃げる道はない。
黄色い水がイスをびちゃびちゃに濡らし、靴下とブーツはぐっしょりと濡れて、暗い色に染まった。

「ああ゛ああああ!! 助けでえええええ!!! 嫌ぁあ゛ああぁぁあああ!!! 死にたくないよお゛おおぉぉおおぉっっ!!!!」

残り時間、あと3秒。

「戻ってわたしをだずげてえええぇぇぇ!!! あああ゛あぁぁ、魔理沙あ゛ああああ!!!」

そして、時計の針が、最期の一秒を刻んだ。それと同時に、イスに括りつけられていた爆弾が、非情にも爆発した。光は赤かった。
屋根が吹き飛び、空中でばらばらになる。そして木造倉庫は明々と燃え始め、真っ黒な煙を空に向かって吐き出し始めた。
一面にたちこめるその煙と、立ち昇る炎は、茶色の倉庫を殆ど覆い隠してしまった。
消火準備をしていた河童のスタッフたちが、河童製の消火器で炎に立ち向かう。さらに外由来の旧式消防車が、勢い良く水を叩きつけた。
白い煙がぶわっと上がり、火はだんだんと掻き消えてゆく。しかしそれでも、火の手はなかなか収まらなかった。

「あ、あの魔理沙さん。これって、演出ですよね? ね? 失敗じゃ、ないですよね?」

魔理沙は、倉庫から離れた場所で泣き崩れていた。文は震える声で、魔理沙にマイクを向ける。
しかし魔理沙は嗚咽をもらしながら泣いていて、まともな声がでない。やっと出た声も、枯れ切ってしまっていた。

「ちがう、しっぱいした……、早く、早くして、じゃないと、アリスが死んじゃう……」

文の顔はさっと青くなった。椛は不安げに、しっぽをばたつかせている。
消火活動は案外早く終了した。炎はすべて収まり、煙もほとんど消えてしまった。
あらかじめ消火準備をしていたのが、意外な形で役に立ったのである。
煙の奥から現れた倉庫は、真っ黒に焼け焦げていた。壁はほぼ崩れ落ち、柱も殆ど吹き飛んでいた。
火災現場の様子をカメラが記録してゆく。そしてそのカメラが、肌色の物体を捉えた。

木炭の合間に、アリスの体がころがっていたのだ。両足は千切れ、あらぬ所にころがり、強い炎で茶色く焼け焦げていた。
片腕は豪快に吹き飛んだらしく、唯一残っていた真っ黒な柱に、矢のように突き刺さっている。
そして上半身は、床に転がっていた。腹部は完全に吹き飛んだようだ。生焼けの内蔵が、どろどろと漏れ出している。
アリスを象徴するあの青い服も、殆ど焼けてしまって、茶色い布の切れ端が肌のところどころにこびりついているのみだ。
露出した肌にはやけど跡がある。直接火を浴びたのか、左胸の周辺は炭化していた。
髪の毛もいくらか焼け焦げ、そして目は、まったくの白目を剥いている。右腕は思いきり伸ばされていた。
おそらく、吹き飛んだ瞬間から数秒は、わずかな意識があったのだろう。逃げようと、助かろうと、手を伸ばし他に違いない。
医師の診断を待つまでもなく、アリスは死んでいた。爆死したのだ。

「きゃあああああ!!!」
「止めて! カメラ止めて! 早く!」

河童が急いでカメラを止め始めた。幼い河童には、吐き気をこらえている者も居る。
椛は呆然と立ちすくんでいる。魔理沙はうずくまり、泣きながら居なくなったアリスに謝罪し続けた。

「ごめん、ごめんよアリス、ごめん、ごめんなさい……」

文は、片手に持っていたマイクを、足元の芝生に取り落とした。

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100年後の東方project(霊夢/鬱)

【1】
毎年のような幻想郷の異変は、ある日を境に全く起こらなくなった。原因は、外の世界で東方が忘れられてしまったことだ。
盛者必衰の理である。どんなに盛り上がったものでも、10年100年と時が経てば、嘘のように忘れ去られてしまうのである。
新作が出なくなり、それに呼応して、二次創作も作られなくなった。作品が新たな顔を見せることは、もうなくなったのだ。
だから幻想郷の時は止まり、新たな異変も、わずかな日常の変化も起こらなくなった。

とはいえ、東方projectが時代の波に追いやられた後も、幻想郷はそのままの姿で、現実とは別の層に存在し続けた。
木造の日本家屋が立ち並ぶ、緑あふれた懐かしい大地だ。百年前と何もかもが同じである。
木造のさびれた博麗神社も、人里のにぎやかな様子も、妖怪の山の張り詰めた空気もなのもかもが変わらない。
それはそれで、喜ばしいことでもあった。変化がないというのは平和のあかしであり、生きるという目的からすれば好ましいことなのだ。
妙な霧に苦しむこともなければ、春の消失に驚くこともない、退屈だが安全な世界に、人妖は皆なじんでいった。
ただ一人、博麗霊夢を除いて。

「やっぱり無いか……」

4月1日の朝、霊夢は100年前と同じ姿で、畳にあぐらをかき、スキマ経由で入手したノートパソコンで、様々なサイトをまわっていた。
それもこれも、東方の情報を集めるためだ。何かのきっかけで新しい動きがあるかも分からない。常に細心の情報を得る必要がある。
そのためには、外の情報を得られるうえに、伝達が早く、細かい情報にもアクセスできるパソコンを使うのが一番良い。
だが、外の世界の秘術を持ってしても、東方の新作はおろか、イラストやSSの一つさえ、見つからないのである。
言及されることぐらいはあるが、それは東方を楽しんだファンによる言及ではない。
昔のムーブメントの研究対象として、好奇心の客体として、ただただ観察されているだけなのである。

「はぁ……、つまんない」

霊夢はパソコンの電源を落とし、深くため息をついた。開け放った障子から、涼し気な風が流れこんでくる。木々がさわさわと囁く。
こんな退屈な空気じゃない。もっと刺激的な展開を、過激な新境地を、霊夢は欲していた。溢れかえるように世界が広がっていたあの日。
結局霊夢は寂しいのだ。100年前、なんだかんだ言って、沢山のプレイヤーが霊夢を見つめていた。東方の顔としてちやほやしていた。
その視線を鬱陶しく思う時もあったけれど、一度失うと、それがどれだけ心の支えになっていたか、痛いほど分かるのである。
そして、100年前にあった、白熱の弾幕戦、新しい仲間を迎えるあのドキドキとした感覚にも、狂おしいほどに飢えていた。

「もう、新聞とってこよ……」

いい天気だ。空は真っ青で、風もさわやかだった。その何もかもが、全くもってむなしい。
霊夢はわらじに履き替えると、だらだらとした調子で賽銭箱の近くに歩いていった。そこに、博麗神社の木製ポストが設置されている。
かちゃりと開ける。投函物はそれほどない。そこにはただ、文々。新聞の朝刊がいつものように突っ込まれているだけであった。

「あいつもご苦労なことね、毎日毎日」

幻想郷の新聞は、呆れるほどに退屈だ。もうとっくに、新聞にするようなネタもなくなっているのだ。
日常の些細な出来事を報じるか、そうでなければ大昔の異変について、焼き直すように書き付けるしかないのだ。
それでも霊夢が新聞をとる気になったのは、そのわずかな刺激が、気晴らしになるからだ。霊夢にはとにかく気晴らしが必要であった。
霊夢はさっそく新聞を開く。霊夢は、このけだるい気分を吹き飛ばすような、腹のよじれる愉快な記事があることを祈った。
天狗のがめつさは伊達ではなく、紙面の半分は広告である。それらを無視して、まずは一面の見出しに目をやった。

<東方project 久々の新作! 自機は霊夢氏と魔理沙氏>

「……へ?」

霊夢は目をぱちくりとさせ、その見出しをぐるぐると読み返す。
霊夢は記事の見出しを現実のものと分からなかったのか、しばし呆然としていたが、やがてその意味を頭に吸収していった。
記事は続いている。スーパーコンピューター上に再現されたZUN氏の仮想人格が制作を行うこと、懐かしい2D弾幕STGであること、
もちろん弾幕も健在で、スペルカードシステムも搭載されている。進化しすぎたいつも通りがテーマであるらしい。
つまり、数十年ぶりに、博麗霊夢晴れの舞台がやってきたのだ。

「うそ……大変、準備しないと!」

目をらんらんと輝かせて記事を三度読むと、霊夢は神社の離れに建てられている、古びた蔵に走っていった。
巫女装束のポケットから鍵を取り出し、がちゃがちゃと乱暴に扉を開ける。

「ここに、あったはずよね。ええと……」

この蔵を開いたのも、50年ぶりだ。なにもかもがほこりをかぶっていたが、不思議とどの物も痛んではいなかった。
霊夢は真正面の木箱を開けた。目的のものはそこにはない。なにせ50年ぶりだから、何がどこにあるか、検討がつかないのだ。
いくらか箱をひっくり返し、違うものが出ればそれを端に追いやる。

「まったく、一度整理しないといけないわね……、あ、あったあった」

太極図の描かれた箱には、またしっかりと鍵がかけられていた。霊夢はそれを、ゆっくりと開ける。
するとそこには、異変解決の道具が一式揃っていた。退魔針に陰陽玉、祓串に、胸を固定するさらしなど、何もかもがそのままだった。
霊夢はその箱を中身ごと蔵から持ち出し、神社の縁側まで運んでゆく。
そして、水をたたえる神社の池のそばで、霊夢は祓串を手にとった。そして、霊夢はあの日のように空へ飛んだ。

「ふふ、なんだか、気持ちいい」

吹き付ける風が、なぜだか爽やかで心地が良かった。そのまま弾を飛ばし、針を投げる。杉の木に命中し、ここんと景気の良い音を立てた。
すべて命中している。腕は全く鈍っていない。数十年ぶりの弾幕ごっこも、なんとか上手くやれそうだ。
霊夢は空中で弧を描き、一回転して地上に降り立った。大きなリボンが、風に揺られて翼のように羽ばたいた。

「そうだ、早くみんなにも教えなくちゃ」

霊夢は異変解決道具一式を、巫女装束に忍ばせると、地面を蹴って走りだした。
その顔はいつぞやのように静かで、晴れ晴れとしたものに変わっていた。



【2】
まず真っ先にやってきたのが、魔法の森にある魔理沙の家だ。
幻想郷は今も変わらず、魔理沙は今も半人前の努力家である。手癖のわすさももちろん治っていない。
そんな彼女でも、霊夢にとってはパートナーのようなものなのだ。まず知らせるとしたら魔理沙なのである。
空から森を俯瞰する。100年前のあの日のように、魔理沙の家は森にある。わずかに開けた所に、石色のえんとつが見えるはずだ。
長い付き合いだから、緑の樹海でも迷うこと無く、魔理沙の家を見つけることができた。
煙突からは煙がもうもうと立っている。料理をしているのか、それとも実験だろうか。
近くに降りてみると、木製の椅子に腰を賭けたアリスが居るのが分かった。
アリスは、椅子の側のテーブルに道具を置いて、裁縫に没頭していた。作っているものの細かさからすれば、それは人形のドレスであろう。

「アリスじゃない。こんな所で人形作り?」
「そうよ、今度人里で人形劇をやるから。魔理沙にも手伝ってもらってね。演出用のスペルカードを作ってもらってる所よ」
「あら。そうなの。間が悪かったわね。伝えたい事があったのに」
「もうそろそろ終わると思うわ。用事なら、待っているといいわ」

空からやってきた霊夢に、アリスは笑顔を贈る。アリスが人里にやってくるのも、もはやいつもの事だ。
あれから100年、アリスの周りにも何の変化もなかった。悲願である完全自立人形の制作も、全く進められない。
心の中に秘めた思いも、いまだ叶う気配がなく、そしてこれからも実現することはないだろう。
そうして霊夢は、アリスと談笑した。いつもの話題、いつもの内容。そうこうしているうちに煙突の煙は失せ、魔理沙が家から現れた。
白黒のエプロンドレスは全体的に煤けていて、悪戦苦闘していた様子が、ありありと浮かぶ。もちろん昔と同じ、少女の姿のままだ。

「魔理沙、やっと出てきたわね」
「霊夢。何か用か?」
「これ。久々の大ニュースよ」

霊夢は魔理沙に、今日の朝刊を渡した。開かれる新聞を、アリスも覗き込む。

「なになに、東方projectの新作……、だって?」
「そうなのよ。嘘みたいな話でしょ、ふふ、腕がなるわ」
「ん、ああ、そうか……、そりゃ、良かったじゃないか」
「何他人ごとみたいに言ってるのよ。あんたも自機なんだから、ちゃんと準備して勘を取り戻さないと、使ってもらえないわよ」

魔理沙は、目をそらし、きょろきょろとあらぬ方向を向きながら、額に汗を流した。
一方、新聞を覗き込んでいたアリスは、二人の顔色をうかがいながら、何やらもじもじとしている。何か言いたそうだ。

「でも、これって……その」
「……アリス」

しかし魔理沙が牽制すると、それきり話すことはなかった。

「何よ、あんたたち嬉しくないの? 東方の新作よ? それも、2D弾幕STGなのよ?」
「ああ、もちろん嬉しいぜ。その……、頑張ってな、霊夢」
「……? 変なの。もっとはしゃぐと思ったのに」
「ああ、私ももう、子供みたいにはしゃいじゃいられないから」
「何それ? おかしな魔理沙」

魔理沙がおずおずと新聞を差し出すと、霊夢はそれを受け取って、飛び立った。
霊夢はこのことを幻想郷中に伝えて、この新しい刺激を、喜びと共に分かち合いたかった。

「それじゃあ、私は行くから。二人共、平和ボケしてたら駄目よ! これから、また東方が動くかもしれないんだから!」

魔理沙とアリスの姿は、やがて米粒のようになり、見えなくなった。
そして森に背を向けて、幻想郷の地平へ、まずまず袖をなびかせながら飛びさっていった。



【3】
霊夢が飛び去ったのを見て、魔理沙とアリスは顔を見合わせた。思っていることは同じらしい。

「今日って、4月1日よね」
「……ああ」
「何で言ってあげなかったのよ、魔理沙」
「だって言いづらいだろ。あんなに元気な霊夢を見たの、久しぶりだぜ」
「……そうね」
「言えるはず、ないだろ」

魔理沙は頭を抱えた。東方の新作が途切れて、霊夢は変わってしまった。
表面上はいつも通りであるかのように取り繕っているものの、その表情は暗く、生きる希望さえ無くしかけているようでさえある。
魔理沙は、霊夢はめんどくさがりで、異変解決もしぶしぶ行なっているものと考えていた。
異変解決が楽しみであるのは、むしろ魔理沙や、早苗のような人種であるのだと思い込んでいた。
しかし、実際は違った。知らず知らずのうちに、霊夢は異変を心の支えにしていたのだ。

「本当のことを知ったら落ち込むぞ。いや、落ち込むだけじゃ済まない。あいつ、記事を書く前にこうなるって、分からなかったのか?」
「そうね。霊夢の反応をわかってたら、さすがにやらなかったと思うわ」
「あいつ、大丈夫かな。早く知らせたほうがいいんじゃないか」
「……さすがに、隠し通せるものでもないわよね」

魔理沙は家の中に走り、玄関に立てかけてあった竹箒を持ってきた。

「魔理沙、どうするつもり?」
「文の所に行ってくるぜ。事情を聞いて、謝らせないと。アリスはここで待っていてくれ」

魔理沙は箒にまたがって、飛んだ。それはもう、ものすごい速さで飛んだ。
これだけの速さで飛ぶのは、異変の解決をかけてスペルカード勝負をしたとき以来である。
魔理沙の心もなんだか、感傷に浸り始めていた。

「くっそ、あいつ、一発なぐってやろうか」



【4】
その後、霊夢は幻想郷の各地を回った。紅魔館から永遠亭、人里のような大きな場所から、見知った顔に知らせて回った。
新聞は全ての場所でとられているわけではない。霊夢の言葉で、始めてその記事を知る者も少なくなかった。
しかし、その記事をあらかじめ知っていようと知っていまいと、反応はたいてい同じなのである。
もごもごと黙りこむか、何か取り繕ったような言葉をだすか、素直に喜んでくれる者はそうそう居なかった。
紅魔館の主、レミリア・スカーレット曰く。

「あのさ、霊夢。あまり期待しない方が良いと思うわよ……、なにせ久々のことだからね」

霊夢は考えた。きっと皆、あまりに突然のことで、まだ心の整理がついていないのではないか。
だから、あんなにバツの悪そうな顔をするのだ。そこまで考えて、霊夢は初めて納得できた。
しかし、納得したからといって、心が満たされるわけではない。
喜び合って楽しい気持ちになりたかった霊夢は、すっきりしない気持ちを抱えながら、夕暮れの博麗神社にやってきた。
真っ黒なカラスが、オレンジ空でかあかあと鳴いている。その呑気な姿を見て、霊夢はため息を付いた。

「いけない。主人公がこんな陰気な顔してたら……」

霊夢は邪念を払うように頭を振った。両頬をぱんぱんと軽く叩く。これから新しい東方が始まるのだ、私だけでも笑顔じゃないと。
賽銭箱の前に着地をする。いちおう、賽銭を確認しておくのが日課なのだ。もちろん、賽銭など入っているはずがないのだが。
そのままいつものように縁側へ向かって歩き始めた。そういえば、今日は何も食べていない。やけにお腹が空いている。
今日の晩御飯は、いつもより豪華にしよう。前祝いだ。貰い物の高いお酒も、今日のうちに開けてしまおう。
そんなことを考えながら、縁側までやってくる。すると、そこには黒い羽を背負った、天狗の記者が座り込んでいた。

「ん? 何よ、文じゃない。どうしたの」
「霊夢さん……」
「今日の記事、久々のスクープじゃない。あんたの新聞をとってて良かったって、初めて思ったわ」
「ええ、それはどうも…‥、あの、そのことなんですけれど」

記者として、身だしなみに気を遣う文にしては、なにやら髪の毛が乱れていた。
瞳は赤く、目元には涙のあとが残っていた。その頬は殴られたかのように、赤く腫れている。
気まずそうな顔で霊夢を見ようとするが、まともに目を合わせられないようで、すぐにちらちらと逸らすのである。
霊夢はその天狗らしからぬ様子に、思わず首をかしげた。

「はっきりしなさいよ。新シリーズを前に、インタビューでもしたいって訳?」
「いえ、そうじゃなくて……あの、今日は何の日がご存知ですか」
「へ? 東方の新作が発表された、記念すべき日じゃないの」
「いえ、あのですね。今日は、エイプリルフールといって……」

4月1日はエイプリルフール。この日だけはふざけた冗談も許される。

「ええ、聞いたことはあるわね」
「で、ですから! あの新聞記事は……、東方の新作があるというのは、嘘、なんです」

文は立ち上がり、面と向かって頭を下げた。

「ごめんなさい。まさか、本気にするとは思わず、……他の人に霊夢さんの話を聞いて、本当のことを伝えようと思いました」

霊夢はしばし立ちすくしていた。何も、言葉を発さなかった。
文はゆっくりと、顔を伺うように頭をあげる。霊夢は、祓串を持った手をわなわなと震えさせていた。
泣いていた。あの霊夢が、無表情のままぽろぽろと涙を流していた。そしてぽとりと、片手の新聞を取り落とした。

「何で……?」

霊夢は袖で、目元を拭った。それでも涙が溢れてきて、霊夢にも止めることが出来なかった。
霊夢以外の人々は、みんなわかっていたのだ。それなのに自分一人踊らされて、バカみたいに言いふらしていた。
恥ずかしさと情けなさと、そして悲しさで、頬から耳にかけて、熱を帯びたように熱くなる。

「霊夢さん、すいません。あの、騙すつもりはなくて」
「……っっ!! うるさいわねっ!!」

片手の祓串を文に投げつけた。文の頭に思い切りぶつかるが、文はただ、申し訳なさそうに頭を下げた。

「あんたに、私の気持ちが分かる!? 文は良いわよ、新聞記者で、みんなにちやほやされて……っ!!
 私なんて、異変がなければ、誰にも認めてもらえないのよ、誰も参拝に来ないし、もう居ないのと、同じで……!!」
「そ、そんなことは……」
「今日のこと、聞いてっ……!! 嬉しかっだのに……!!」

感極まって、涙が滝のように溢れてきた。霊夢は土ぼこりの舞う地面に崩れ、わんわんと泣き始めた。
鼻水もたれて、子供のような表情になっているが、それでも涙を止めることは出来なかった。

「あの、ハンカチを」
「ぞんなの、ぐす、いらない……! もう、帰ってよぉ……っ!! あんたの顔なんか、もう見たくない!!」
「……はい」

文は悲しそうな表情をしたまま、ぱたぱたと飛んでいった。
そして誰もいなくなった博麗神社で、霊夢は地面にうずくまったまま、わあわあと泣き続ける。
霊夢は少女として作られ、そして今も少女であった。マイペースに見えて、霊夢の心にも思春期の繊細な部分があるのだ。
そして博麗の巫女という、退屈な、そして重要であると同時に、空気のように認知されない役職の重圧がある。
そのバランスを取っていたのが、異変とその解決と、それによる名声であった。
外の世界の変化に、一人必死にかじりついて、平和な幻想郷を受け入れなかったのもそのためだ。
とはいえ、どんなに隆盛をほこったものでも、時間が経てばたいてい忘れ去られてしまう。そのバランスが崩れるのは、運命である。
外の世界で東方が廃れてから、均衡は崩れた。それが全て、今日の出来事につながったのだ。

「もう、嫌ぁ、わたし、どうしたらいいの……?」

霊夢の塩っぽい涙が、ぽたぽたと地面に染みこんでゆく。
霊夢は胸のうちの怒りを吐き出すように、地面をひっかき、平手で何度も叩く。
しかし手の平が痛むばかりで、涙は止まらず、心も満たされなかった。

翌日、霊夢は博麗神社の居間で首をつった。それから数時間後に、やってきた参拝客によって死体が発見された。

テーマ : SM・拷問・調教・凌辱 
ジャンル : アダルト

魔理沙料理で毎日お腹いっぱいになりたい(魔理沙/カニバリズム)

魔理沙という肉畜がどうしてここまで人間に似ているのか、それは誰も知らない。

魔理沙は牛豚鶏に並ぶ家畜である。
豚のように繁殖させられ、牛のように狭苦しい小屋で育てられた後、鶏のように憐れに首をはねられるのだ。
そんなものを、どうして人間と一緒にできるだろう。魔理沙は肉であった。
その肉は様々な場所に流通し、日本社会に浸透しつつある。
魔理沙肉の市場は、今急激に拡大しようとしていた。
今日も青空である。雲もほとんどない。絶好の肉日和だ。

そんな駅前にて、朝から魔理沙料理店へと、金髪の全裸少女たちが列で行進させられている。
もちろん人間ではない。魔理沙だ。遠目に見れば人間と間違えてしまうが、十五頭はいずれも魔理沙だった。
一繋がりの手錠がそれぞれの魔理沙を拘束しており、まるで船に詰め込まれる奴隷のようだった。
「オラ! さっさと歩け!」
「抵抗したら、まっさきに殺してやるぞ。嫌なら歩け!」
従業員たちの乱暴な声。嘘じゃない。店員の服から、魔理沙の血の匂いがいやに漂ってくる。
待ちきれなくなり、すでに手近な魔理沙に腹パンしている者もいる。吐瀉物が辺りに撒き散らされている。
怒号ひとつで、彼女たちはビクリと体を震わせ、わずかな抵抗の気持ちすら握りつぶされてしまうのだ。
魔理沙たちは12歳から14歳程度の体つきで例外なく全裸。といってももちろん動物なので全裸は普通のことである。
目鼻はととのっていて、上がり気味の眉は勝気な性格を表しているが、
恐怖に浸りきったこの畜生どもは、もはや恐れ以外の顔をすることができない。
蛇に睨まれた蛙の心境で、魔理沙料理店へずらずらと行進させられるのだ。

公衆に裸を晒す。そのことに抵抗を感じる魔理沙も少なくない。
そのような魔理沙はせめてと、手錠でつながれた手を膣の前に回し、隠そうとする。
「色気づいてんじゃねえぞ!!」
突然一頭の魔理沙に、棍棒が振り下ろされた。膣も胸も丸出しにせよと指導されていたはずだった。
汚い魔理沙はどんな性病を持っているか分からない。魔理沙丼は健康に悪い。魔理沙どちらかというと生ゴミに近い。
そんなイメージ払拭するための全裸行進でもあった。
棍棒は腹に埋まり、あばらにぴしりとヒビが入った。内蔵は幾つか破れた。
「ゲホッ! ごほっ! ずみまぜ……ごほッがほッ!!」
その魔理沙は涎混じりの血を吐いた。他の魔理沙は悪夢を見るような目で一部始終を見守る。
殴られた魔理沙は瞳を濁らせ、ふらふらとした足取りながらもなんとか歩こうとした。
アバラがおかしい。しかし止まれば殺される。この魔理沙はそれだけ理解できた。
それだけ確認すると従業員は満足そうに笑う。魔理沙は愛想笑いさえ返せなかった。

魔理沙料理店は駅前店らしい堂々とした大きさで魔理沙たちを迎え入れた。もちろん魔理沙たちは食べられる側だ。
裏口の奥の肉置き場は、肉を置く場所であるが、この店では屠殺場も兼ねている。
扉を開けるだけで、恐ろしい血の香りはますます強くなって、魔理沙たちから汗が吹き出る。
しかし先ほどの一騒動もあり、魔理沙たちの誘導はスムーズ極まりない。
全員を一列に並べる。その上で万歳をさせ、手錠を天井に通る鉄棒に固定し、鉄製の足かせで個々の魔理沙を拘束してゆく。
大の大人三人での作業、数分もせずに魔理沙たちの最後の自由は失われた。

シャッターが開く。開店。午前十時が開店時間だ。
魔理沙の人生は家畜の人生。教育は存在しない。出荷が決定するまで、牧場で豚のように育てられてきた。
人間社会を知らない魔理沙は、ここがどこかも、この人達がだれなのかも分からない。
魔理沙はシャッターが何故開いたのかそんなことすら分からない。
「いらっしゃいませー!」
三十代ほどのサラリーマン風の男性が、3人ほど店にはいってきた。
「はい魔理沙丼大盛りで、三つ! 大三つ入りましたー!」
「はいよ!」
その声とともに、屠殺場一番左にいる魔理沙の命運は尽きる。
大型の包丁を持った店員が、13歳ほどに見える中型の魔理沙の目の前にやってくる。
魔理沙はもう店員の顔を見るだけで恐ろしいのか、目に涙を浮かべて、体をくねらす。
店員は形良く括れたその腹部に手を添えると、包丁をそこに添える。そして一気に、魔理沙の腹をかっさばいた。
「あ゛ッ……!? あぁ、あああ、あああぁぁ……、ああああああああ!!!!」
突然の激痛に魔理沙は絶叫した。裂けた腹から造物がどろどろとこぼれてくる。
叫ぶのも当然だ。殺されようとしているのだから。
膣からは尿は噴出し、タイル貼りの床を黄色く染めてゆく。しかしその黄色も、すぐに血の赤で塗り替えられた。
店員はずるずると内蔵を摘出すると、それをすべてゴミ箱に捨て、かわりに腹の肉を切り取りはじめた。
内蔵を失った魔理沙であるが、痙攣しつつ、しぶとく生きながらえている。
もっとももはや叫び声も枯れ切ってしまい、白目をむいたまま泡を吹いているだけだ。
肉はどんどん切り取られる。そして解体の対象はやがて足に変わった。
少女らしいむちむちとした健康的な足が、付け根から切り離されると、あっという間にまな板へ向かう。
まな板へ向かった肉はバラバラに解体され、肉片の集合体へと変わった。
そして一口大に切りそろえられた肉は、まとめて中華鍋に投入され、じゅうじゅうと焼けながら良い匂いをたてる。
魔理沙肉独特の、さっぱりとした脂の匂いだ。カロリーも鶏肉以下で、メタボな男性にもオススメだ。
「へい、魔理沙丼お待ち!」
ほかほかと湯気を立て、魔理沙丼が並べられてゆく。
柔らかい肉と、甘辛いタレが絶妙にマッチしており、客たちは夢中でご飯を崩してゆく。
そうして一杯平らげた後は、魔理沙丼の虜になり、また店に足を運ぶことになるのだ。
実際、魔理沙丼の店がはじめてここに出来てから、客足は増える一方、魔理沙は殺される一方である。
最初に腹を裂かれた魔理沙は既に事切れており、上半身だけが手錠で繋がれ、むなしく鉄棒にぶら下がっていた。
他の魔理沙たちは、次は自分だと考え、震えが止まらなくなる。
店員がまた屠殺場に入っていく。今度は左から二番目の魔理沙が標的になった。
仲間が殺された場面を見た魔理沙は、精一杯抵抗しようとする。両手両足をじたばたさせ、店員をはねとばそうとする。
しかし魔理沙の体力は、所詮13歳ほどの少女のそれにすぎない。大人の店員が本気で抑えつければ抵抗することなど叶わないのだ。
結局その魔理沙も腹を裂かれ、絶望の中で失血死していった。
残った魔理沙は泣き、ある者は叫び、一部はすでに発狂してうふうふと奇妙に笑っている。
遠からず全員があの世行きになるだろう。

飲食店の例に漏れず、昼になると、魔理沙料理店は途端に忙しくなる。
魔理沙丼の注文もみるみる増え、魔理沙は次々と殺されてゆく。
「嫌あぁ、嫌あああああ!! 殺さないでええええ!!!」
楽しそうに談笑する客たちは、屠殺される魔理沙の悲鳴を聞くと、じゅるりと涎をたらした。
魔理沙は殺したてが美味しいというのは、魔理沙について多少の知識がある人ならば、もはや常識である。
魔理沙の悲鳴は、すなわち美味しい魔理沙丼を意味するのだ。
そして丁度殺された魔理沙の肉が、ほかほかのどんぶりとなって、客の前に並べられる。
「上魔理沙丼、お待ち!」
上魔理沙丼は、魔理沙丼を少し上等にしたものだ。具体的にどこが違うかといえば、使われている部位が違うのである。
魔理沙丼には腹肉と足肉が使われていて、これも一応美味しいのだが、
魔理沙の中で特に柔らかくジューシーなのは、二の腕、おっぱい、尻の三箇所である。これを霧雨魔理沙3種の神器と呼ぶ。
これらの場所は魔理沙の中でも特に人気が高く、また取れる量も少ない。
そのため、上魔理沙丼は魔理沙丼の三倍の価格となる。しかしどうせなら美味しい魔理沙を食べたいというのが人情だ。
えぐりとった尻肉の豪勢さ、おっぱいのやわらかい弾力に、とろけるような二の腕。
上魔理沙丼の注文はいつも絶えない。日によっては、屠殺が間に合わなくなることすらある。

そして夜になると、客のサイフの紐が緩むのか、ますます値の張る品が注文されるようになる。
「魔理沙コブクロ揚げお待ち!」
子宮をまるごと引っ張り出し、高温できつね色になるまで揚げたこの一品は、魔理沙料理でも特に値が張るものだ。
魔理沙一頭につき、一個しか取れないのだからそれも当たり前だろう。
コブクロ揚げは、コリコリした独特の食感をもち、その匂いもクセがある。
しかし常連には、そのくさみが却って食欲を増進させると、もっぱらの評判だ。
ソーセージを詰め込んで揚げた魔理沙セックス揚げや、子持ち魔理沙のコブクロを揚げた魔理沙親子揚げなど、
バリエーションも豊かで、極めようとしても極めきれない奥深さがあるのである。

そして閉店、24時をまわると、客足も少なくなりラストオーダーとなる。
後は掃除をして収支を確認し、明日に備えて家に帰るだけだ。
夜になると屠殺場は赤黒い血まみれの地獄絵図と化す。魔理沙の内蔵や肉片がそこらじゅうに飛び散り、生臭い臭いをたてている。
これだけの魔理沙を殺すと出てくるゴミも凄い。特にかさばるのは骨と生首である。
骨は言うまでもない。大抵の部位は食べられないため、ゴミに出すしか無いのだ。
スープやタレの出汁を取るため残しておく分もあるが、多くはただのゴミであった。
また、タンなどを除けば、生首も食べられる部分は少なく、毛も多いので食用には向いていない。
今日は40個。全てをビニール袋に放り込み、固結で二度結んでしまった。
「おい、終わったか」
「はい、ゴミは全部片付けました」
大量のゴミを始末するだけで、軽く一時間はかかってしまう。
魔理沙料理は美味しいが、魔理沙を料理するのは楽ではない。まったく厄介な家畜も居たものである。

生き残った魔理沙たちは、閉店時間が来たことを知ると涙を流しはじめた。
安心感からだろうか。それとも、仲間を殺されてしまった悔しさからだろうか。
いずれにせよ、人間には関係のない事だ。一般社会にいる大抵の人間は、肉畜に同情するほど優しくない。
この魔理沙たちも明日には屠殺され、人間たちの腹の中に収まるのだろう。
と、そこに一人の店員が入ってきた。バケツを持っており、その中にはありったけの残飯が詰められていた。
「おら、食えよ」
生き残った魔理沙たちには食事が与えられる。
ただし、これは生かすための食事ではなく、肉としての品質維持の為の食事だ。
弱った結果、肉として駄目になっては仕方がない。残飯の内実は、死んだ魔理沙の内蔵と肉の集まりだ。
店員はバケツから肉を人づかみにすると、一頭の魔理沙に近づき、その口に押しこもうとした。
焼けた魔理沙の臭い。さすがに同族の肉には嫌悪感があるらしかった。その魔理沙は青ざめて、いやいやと首をふる。
「チッ、ふざけてねえで早く食えや豚が!!」
店員は残飯を床に叩きつけると、魔理沙のほほに鉄拳を食らわせた。
「がはっ……!!」
魔理沙の顔が赤く腫れ上がり、口からは血と砕けた歯がぽろぽろとこぼれ始める。
店員の制裁は止まらない。右頬を殴れば次は左、左の後は右だった。
十回ほど殴られ、歯が殆ど抜けきってしまうまで、その魔理沙は殴られ続ける。
その間ほかの魔理沙は、抗議することさえ叶わず、弱々しいヒヨコのように震えていた。
「ごべ、ん、なざい……、ごべ、んなざいぃぃ……」
壊れた人形のように同じ事を繰り返す。わがままな魔理沙は体に教えるしか無い。
その魔理沙は恐怖のあまり過呼吸になり、全身を痙攣させながら、前と後ろの穴から汚らしく排泄物を漏らしていた。

全員に食事が行き渡る。
絶望と恐怖と痛み、全ての魔理沙はさめざめと泣きながら、牧場に帰りたいと願った。
牧場でも魔理沙は家畜扱いされていた。しかしそれでも、金に変わる商品として大切にされていた。
1%ぐらいは魔理沙に優しくしてくれる飼育員もいた。仲の良い魔理沙同士、笑い合うこともあった。
しかしそれは叶わない。
魔理沙という畜生がどのように扱われるか、それは人間が決めることなのだ。
「私たちだって、人間と変わらないじゃないか……」
食事を終え、泣いていた魔理沙がふとつぶやいた。
顔をくしゃくしゃにして泣く姿は、下手な人間よりも可愛らしい。
しかし、それを聞きとった店員は笑った。
「お前らは人間とは違うんだよ」
扉が閉じる。真っ暗になる。それがこの世界における魔理沙の全てであった。

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